翌日の夜もスーザンは現れ、僕を散歩に連れ出した。そして、僕に言ったのだった。
「今度、リサに、出張で2日ほど家を離れるって言いなさい」
断ろうとしても無駄だった。彼女はあの写真を僕の前に掲げて見せ、脅かしたからである。結局、その週の日曜日、僕はリサに嘘をつき、ボストンに出張に出るので空港に行くと言って家を出たのである。実際にはスーザンの家に車を走らせたのだ。
家の玄関に着くと、スーザンは僕を迎え入れ、直ぐにドレスを渡し、僕に練習をさせた。その夜、僕は薄地のナイトガウンを着て寝た・・・カウチでだった。
翌日、スーザンは、仕事に行っている間、練習するようにと命令した。彼女は、僕の普通の服を持って仕事に出てしまった。その夜、スーザンは、これから一緒にバーに出かけると言った。
「ありえない!」
僕は反射的に返事したが、考えが甘かったと言ってよい。スーザンを押しとどめることなど不可能なのだった。
結局、僕はスーザンに連れられ、街の繁華街に行き、あるバーのテーブルについていた。そして、そこでビールを飲んでいると、向こうからリサが歩いてくるのを見たのである。
僕は息が止まりそうになった。スーザンは手を振ってリサに知らせ、呼び寄せた。その瞬間、このことすべて、スーザンが仕組んだことだと悟った。
スーザンは僕の名をジャッキーと紹介し、ニヤニヤしながら座っていた。僕は、できるだけリサと目を合わせないよう注意し続けた。だが、僕が注意しそこなった時でも、リサは気が付いている様子を全く見せなかったのである。3人で、さらに2杯ほどビールを飲んだ。リサとスーザンは噂話のおしゃべりをしていた。僕は会話から外れたままだった。リサは、僕を会話から仲間はずれにしていることについて、2回ほど僕に謝っていた。
そしてとうとうスーザンがリサにこう言ったのだった。
「ねえ、分かる?」
「何が?」
「ジャッキーは男なのよ」
「やめてよ!」 リサは、明らかに、悪い冗談と思ったようだった。リサはちらりと僕を見た。
「ほら!」
スーザンはそう言ってリサの腕をつかみ、その腕を、スーザンの膝の先、僕の方へと引っ張ったのだった。リサの手を僕の股間へと押し付ける。リサは、スーザンがしたことにショックを受けているようだったが、スーザンはそのまま指で僕のペニスをいじっていた。リサの顔からはショックの表情が消えないままだった。
「どう思う?」
リサは僕の顔をじっと見つめたままだった。僕は、彼女がすぐに僕のことに気づくと思っていた。だが、何センチも離れていないところでじっと僕の目を見つめているにもかかわらず、リサは全く気が付いていないようだった。長い沈黙の後、リサが口を開いた。
「私、帰るわ」
「あら、ダメよ。アハハ」
結局、リサは帰ることはなかった。リサは、スーザンが意地悪をするのを放っておくことにしたのだろうと思った。気まずい沈黙が続いた。リサは、居心地が悪そうな顔をしていた。