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ポルノ・クイーンの誕生1(3) 


僕が抱えていた問題をトレーシーに話し終えると、彼女は少し間を置いて僕に語り始めた。

「若い頃の反抗的な態度のことについては私もよく分かるわ。私自身、ティーンエイジャーの時はものすごく反抗的だったから。でも、あなたのような問題だったら、私が助けてあげることができると思う。知ってると思うけど、私は家の中の仕事をしてくれる人を探していたの。家の掃除とか簡単な洗濯とか食事の給仕をしてくれないかしら。ときどき、それ以外のことも多少してもらうと思うけど、それはその時になったら話しましょう。週あたり350ドル払うわ。寝泊まりする部屋とまかないつきで。でも、朝から夜遅くまで、いつでも仕事できるように、そばにいてくれないと困るの」

僕は自分の運の良さが信じられなかった。彼女は、一挙に僕の問題を解決してしまったのだ。

「ほ、本気なんですか?」 そう尋ねた勢いは、とてもその場にふさわしいとは思えない勢いだったかも知れない。

トレーシーはくすくす笑った。「もちろん本気よ。いつから始められる?」

「今すぐにでも!」 喜びもあらわに答えた。

トレーシーは、あの素敵で心暖まる笑みを見せた。「まずは、このお店にこのことを知らせなければいけないわ。明日は、あなたが着るユニフォームの仕立てに付き合ってもらうわ。今度の月曜から働いてもらうことにしましょう」

「仕事を始める前に、僕はこの髪の毛を切らなきゃいけないですね?」

トレーシーは、僕のポニーテールの髪を触って、言った。「その必要はないわ。私、あなたのポニーテール、気に入っているわ。もっと言えば、ぜひ、それを切らないでいて欲しいの」

どうしてトレーシーが、その翌日、僕の仕事がオフになっているのを知っていたのか? 僕には分からなかったが、僕はあえて訊こうとはしなかった。僕は支配人に事情を話した。支配人は、たいていの人が、いきなり辞めると言って彼に迷惑をかけるのに対して、僕が事前に話したことで、むしろ感謝してくれた。翌日、トレーシーは僕を紳士服店に連れていき、黒いズボンを数本、白いシルクのシャツを6着、買ってくれた。それにサテンのブリーフ10着も買った。まるでパンティのようなデザインに見え、僕は気に入ったわけではなかったが、僕は不平を言うつもりはなかった。

土曜日が、僕の食堂での仕事の最後の日だった。日曜日は、一日中、荷物をまとめることに費やした。その夜の8時にトレーシーが車で僕を連れに来ることになっていた。父は、僕が住む場所を見つけられたと知って喜んでいた。そして、この時も、このような形で僕を置いていくことになってすまないと謝っていた。確かに僕も父も、このような形がベストなのだと思っていた。トレーシーは8時きっかりに僕を迎えに来た。僕の荷物は2、3個のバッグに収まるものだけだったが、それを車のトランクに入れた後、彼女はロスアンジェルス盆地を片づくっている丘陵地へ向けて車を走らせ始めた。

彼女の家は非常に大きく、ロス市街とその先の太平洋を見渡せる岩だらけの丘の頂上に位置していた。リビングルームとその外のプールの間をガラスの壁が仕切っている。トレーシーの寝室にもガラスの壁があって、そこから寝室の中を見るのは、ハッと息を飲むような興奮を起こさせるものだった。

それに比べると、僕に割り当てられた部屋は、小さな窓が一つだけの、いささか平凡的な部屋だった。もっとも、この部屋にもシャワールームつきのバスルームがある。それに、クイーンサイズのベッドがあった。ベッドは天蓋つきで、その白いレース飾りのため、かなり女性的な雰囲気があるベッドだった。ベッドのシーツはサテンで、ピンク色のサテンのキルト掛けぶとんがかかっていた。部屋にはテレビが置いてあり、その前にはリクライニングできる安楽椅子があった。ドレッサーは二つあり、机と化粧台もあった。

クローゼットの中を見ると、僕のユニフォームが掛かっており、他に5着、メイド用のユニフォームもあった。メイド服はかなりセクシーなデザインのものだった。丈が非常に短く、レースのアンダースカートが幾重にもついている。このユニフォームを着るセクシーで可愛い女の子もいるのだろうか? そのような娘に会うのもまんざらではないなと思った。

多分、僕の前には女の子がメイドとしてトレーシーのところで働いていたのだろうと思った。この服は、そのメイドのものだったのだろう。それにクローゼットの床にはハイヒールも置いてあった。そう考えると、ベッドのピンク色のサテンの上掛けや、天蓋のレース飾りも説明がつく。二つあるドレッサーのうち、最初のドレッサーを開けて見ると、中には女性用のランジェリーが入っていた。様々な色のパンティ、ブラジャー、ガーターベルト。すべて新品のように見えた。こんな新しいまま、全部を置いて去ってしまうとは、そういう人がいること自体、信じがたいことだった。もう一つのドレッサーには、ランジェリーばかりでなく他の女性用の衣類も入っていたが、やはり大半がランジェリーであることには大差なかった。

僕は持ってきた衣類を全部しまうと、トレーシーが部屋にやってきた。

「明日は7時頃には起きてちょうだい。コックさんが7時半までに朝食を作っているはずだから、あなたには7時45分に、その朝食を私に出して欲しいの。朝食後は、あなたを連れて一つ一つ部屋を案内するわ。あなたの仕事も教えます。朝は早いから、もう就寝する準備をしたほうがいいわね」

彼女は僕の頬に軽くキスをして、出ていった。

僕はシャワーを浴び、持ってきた白コットンのボクサー・パンツを穿いた。黒サテンのブリーフはユニフォームを着た時だけと思ったからだ。ベッドに入ったものの、少しも疲れていなかった。だが、少なくとも眠ろうと試みてみようと思ったのだった。

ちょうど11時を過ぎた頃だった。僕の寝室のドアノブが回る音が聞こえたのだった。誰が僕の部屋に入ってきたのかは見えなかったが、その香水の香りから、トレーシーだと分かった。彼女は僕のベッドの中に滑り込んできて、僕の隣に横たわった。そして次の瞬間、彼女の唇が僕の唇に重なるのを感じたのだ。

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