「気に入った?」
ブレンダはジャケットの前を広げ、僕に、あの素晴らしいバスとを見せてくれた。ビスチェの胸の部分は、いささかサイズが小さすぎのようだった。と言うのも、ブレンダの乳房の脇の部分が左右とも脇の下の近くではみ出ていたからである。それに薄地のレース生地を通して、彼女の大きな茶色の乳首も見えていた。胸の部分のレースのカップが覆っている部分は、ブレンダの乳房全体の半分にも満たない。
「気に入ったよ!」 さらに素早く付け加えた。「正直言って、僕はうっとりしている」
僕は、にっこり微笑むブレンダの顔を見た。そして、彼女がいつもより少し濃い目に化粧を施していることに気が付いた。何色か色を複合したアイシャドウ。頬は赤く染まっているように見せている。唇には明るい赤色の口紅。光沢のある濃い茶の髪を降ろし、ブラシで広げて、量感たっぷりに見せていた。頭を振ると、その長髪は両肩を滝のように流れ下り、胸元を覆った。まさに超高級コールガールのように見えた。決して悪い意味で言ってるのではない。まさに僕がブレンダに望んでいた姿がそこにあった。
「こんな格好で外に出ることがなくって良かったわ」
「どういう意味? 外に出ることがないって?」 僕はびっくりして訊いた。
「え? トム? 私、この格好では外に出られないわ!・・・まるで、あの手の女性のように見えるもの」
ブレンダは、売春婦とか娼婦と言った言葉を決して使わない。そのような言葉を口にするのは、彼女には似つかわしくないのは確かだ。
「娼婦のこと?」
「ええ」
「僕は、君はとてもセクシーに見えていると思うよ」
ブレンダは顔を赤らめた。妻は、愛の表現に関して情熱的な女性だが、セックスについて話しをするのを嫌っているのも本当だった。僕は、そんなブレンダのかたくななところを、少しだけ、柔らかくさせたいと思っていた。ひょっとして、ブレンダも、このセクシーな服装で公の場所を歩き回ったら、そういうことを気に入るようになるかもしれない。僕はそう思った。何とかして、妻を部屋から連れ出せるように話しを持っていかなくては。
「ちょっと、下にある、ホテルのバーに行って、飲み物を飲んでくるというのはどう?」
ブレンダは、少し、僕の提案を考えているようだった。僕の瞳に浮かんでいた懇願する表情は確かに見えていたはずだ。彼女にも、これが僕にとってどれだけ大事なことか理解できたのだと思う。とうとう妻はこう言ってくれたのだった。
「そうね、・・・ほんのちょっとだけね」