そのうち、レキシと私は、たくましい男性3人組の目を引きつけたようだった。3人とも有名なプロのスポーツ選手だった。チャンピオンシップのシーズンが終わって何ヶ月か経っていたものの、街全体が、その余韻でいまだ湧き上がってた。この3人組は、シーズン中のヒーローで、店内の皆にもてはやされていた。ちょうど、私とレキシがディナーの時にレストランでもてはやされていたのと同じだった。3人のうち1人が分かれ、店の奥へと向かった。残りの2人が私たちの方へ来て、ダンスを求めてきた。ダンスは1回が2回、2回が3回になり、やがて私も回数を数えるのをやめてしまった。2人のマナーは紳士的だったが、性的なアピールは野生的と言えた。私は、この出会いがどこに向かっているか分かっていたが、そこに向かうことに対してためらいを感じていた。私は席をはずさせてもらい、レキシを誘って、化粧を直すためにトイレに行った。
化粧をチェックし、口紅を塗りなおした後、私は鏡の前、立ち止まってじっと自分を見つめた。レキシは、その私の様子にすぐに気がついた。彼女は落ち着いた声で私に話しかけた。
「話してみて」
「今の、やれるかどうか、自信がないの。自分自身、求めていることなのかも分からない」
「あの事件のこと? それともダニーのこと?」
「前に比べて、知らない人とセックスすることについては、ずっと用心深くなったわ・・・でも、自分が男たちに求められる魅力的な女だということは否定するつもりはない。だから、セックスの問題じゃないの。ダニーのことが大半ね。今のような辛い状況になってしまったそもそもの原因が、私の男遊びだったわけだから。もし今度も大変なことになってしまったら、ダニーとは二度と・・・」
レキシは私の両腕を押さえ、じっと見つめた。
「もし本当にその気になれないなら、2人で戻って、あの人たちにバイバイすればいいのよ」 そこまで言ってにっこり笑い、付け加える。「・・・でも、後で、このことであなたに文句を言って痛めつけることにするから。うふふ・・・真面目に言うけど、私は、あなたが心の準備ができていないことはどんなことでも一切、強制するつもりはないの。だけど、ちょっと考えてみてほしいの。あなた自身、もうダニーについて独占権はなくなったって私に認めたでしょう? 彼女の方も、あなたと寄りを戻すことについて胴感じていようとも、あなたと同じように感じていると思わない? あなたとダニーが寄りを戻すと決めたら、いろいろ修復するのはその時になってからでいいのよ。大丈夫。あなたが幸せになって一番嬉しいのは、誰でもない私なのよ・・・」
「・・・それに、あなたにはあなたの人生があるの。もう一度、人生を楽しみ始める時期が来ているのよ。あの男たち、危険だと思う? もちろん危険よ! アブナイ男じゃなかったら、全然つまらないじゃない? でも、今日でなくてもいいの。あの2人、会いたくなったら、会う方法を知っているから。彼らの連絡先を教えてもらったしね」
レキシは、笑顔で私を説得しながら、ウインクをして見せた。それから私の腕に腕をかけ、トイレの出口へと私を連れて行った。
「・・・それに、なんとなく予感がするんだけど、今日のことをダニーが考えたら、彼女、あなたに、さあ、先に進んで楽しんできなさいって言うような気がするわ。何と言っても、今日はあなたの誕生日。ダニーも、あなたには元通りの完全なあなたになって欲しいって思っているの。そうなるチャンスじゃない? クリステン? ダニーは、それだけあなたのことを愛しているのよ。それにあなたが彼女のことを愛していることも、誰も疑っていないわ」
私は、レキシが言うことを考えながら、うつむいて床を見つめ、唇を噛み締めた。それからゆっくりと頭を縦に振った。レキシは、頭を下げ、下から見上げるようにして、私の目を覗き込んだ。
「いいわね?」 いたずらそうな笑みを見せている。
私も笑顔になった。 「ええ、いいわ」
「オーケー!」
レキシは明るい声になり、私を抱き寄せながら、ダンスフロアへ向かった。
「そうとなったら、思いっきりエッチになりましょう!」