クリスは手を伸ばして、助手席で気を失っているジャネットの柔らかな手に重ねた。その手を握り、太ももから顔を出している膨らんだマッシュルーム状の頭部の上に乗せた。そして、非常にゆっくりとしたリズムで彼女の手を前後に動かし始めた。クリスにとっては、何度も繰り返してきたお馴染みの動きであるが、いま彼の分身を擦っているのは彼自身の手ではない。意識をなくしてはいるものの、成熟した女性の手なのだ。安全に家まで送り届けるよう責任を持たされた女性の手。だが、どんなに罪の意識を訴えようとも、今のクリスを押しとどめることはできなかっただろう。
クリスの手はジャネットの手をしっかりと握ったまま、プレカムでぬるぬるになっているペニスの肌をゆっくりと前後に動き続けた。そのスピードは徐々に速まり、やがて安定したリズムに変わった。突然、脚が震え、睾丸が緊張するのを感じた。延べ何十時間も実践をしてきたクリスにとっては、次に何が起きるかは自明だったが、彼にはそれを留める力はなかった。唇から喘ぎ声が漏れ、同時に膨らんだ亀頭が顔を歪め、大きく開いたスリットから熱い白濁を吐き出し始めたのだった。クリスは、必死になりながらも、車を道端に寄せた。肉竿がヒクヒクと痙攣を続け、太ももに体液を撒き散らし、その液が脚を伝って足首にまで流れていった。年若のクリスだったが、彼の人生の中で最も強烈なクライマックスのひとつだったことは間違いない。
ほとんど、始めたと同時に終わっていた。次の瞬間、罪悪感が心に忍び込んできた。萎み始めたペニスをズボンの中にしまいながら、クリスは思った。
・・・僕は何ということをしてしまったのだろう・・・
今や、彼の片方の肩に乗っている天使の方が元気をつけて、羞恥に戸惑う若者に罪悪感をせっせと積み上げ始めているのだった。
ジャネットの家の前に着いた。ジャネットがすっかり酔いつぶれたままであるのを見たクリスは、彼女の体を抱き上げ、家の中へ運んだ。両腕で抱きかかえたまま、階段を上がり、彼女に助けを求めずに、寝室を探した。ドアを開けて中を確かめていく。2つ目のドアを開けると、中は一番大きな寝室のように思われた。クリスはその部屋に入り、彼女の体をベッドに降ろした。ベッドに降ろすとすぐに、ジャネットは仰向けに横たわった。クリスはそのまま出て行こうとしたが、一度、立ち止まり振り返った。
・・・どう考えても、こんな格好のまま置いていくわけには行かないよね・・・
クリスはベッドに戻り、彼女の足元にひざまずいた。
・・・少なくとも、靴だけは脱がせて、ちゃんとベッドに寝せてあげるべきだ・・・
ジャネットの靴を脱がせる時、当然、彼女の脚を広げさせる形になった。クリスは、顔を上げ、下着に覆われた股間を目にした。これは今夜3回目になる。車の中では気づかなかったのだが、彼女のシルクの下着の中心部分に大きな湿った部分ができているのを見て、クリスは驚いた。同時に、シルクの下着を着けた女性の姿がとても美しく感じられたクリスだった。
ジャネットの足元にひざまずいている間、クリスは彼女の香水の香りに気づいていたが、別の香りも彼の鼻腔を刺激しているのにも気づいた。香水より、もっと生物にふさわしい匂いだった。大学での女子学生の友達との付き合いで覚えがある香りだった。女性が発する甘く、むっとした感じの香り。クリスは、彼女の太ももの間に頭を入れたくなる衝動を押さえ込むのに必死だった。
突然、ジャネットがうめき声を上げ、寝返りを打った。両脚を動かし、スカートが腰に捲れあがるまで脚を開いた。片足は膝を曲げて立たせ、もう片足はまっすぐ伸ばしたままになる。濡れた薄地の下着の股間部分を通して、クリスには彼女の陰唇の輪郭がはっきりと見えていた。
クリスは、今すぐ、ここを立ち去らなければならないと思った。さもないと、大変なトラブルを引き起こしかねない行動を取ってしまいそうだった。素早く立ち上がり、ジャネットの足をベッドに乗せ、慌てるようにして寝室から出た。文字通り駆けるようにして階段を降り、車へと向かった。この時ばかりは、天使の方が小さな勝利を収めたわけである。
つづく