ブレンダは、急に嬉しそうな顔に変わった。さっと立ち上がり、外にはみ出ている乳房をビスチェの中に押し戻しながらドアへと向かう。僕の妻は、本当に下に行って、見知らぬ男を引っ掛け、ここに連れ込んでこようとしているのか? 信じられない思いだった。いそいそと外へ行こうとするブレンダにアンソニーが声を掛けた。
「おい、そのジャケットは置いていけ。奥さん、自分の持ち物をあの男に見せてやりたくなるだろうし、その時にはジャケットは邪魔になるだけだ」
ブレンダは、いたずらっぽくはにかんで笑い、ジャケットを脱いだ。ビスチェに押さえつけられながらも乳房がぷるるんと揺れる。妻は、ハンドバックを手に部屋を出て行ってしまった。
僕は、アンソニーの方を向いた。
「どうして僕の妻を盗むんだ?!」
アンソニーは平然とした表情で僕を見た。
「俺は何も盗んじゃいないよ。あんたの奥さんの方から、俺に抱かれたがっているんだ。俺も、今夜が、奥さんにとって、一生の思い出になる夜になるよう、きっちり楽しませてやるつもりだ。俺は、朝になったら出て行く。多分、奥さんが旦那さんのところから離れることはないだろう。もっとも、奥さんに戻ってきて欲しいかどうか決めるのは、あんたの問題だけどな。俺が奥さんの体を楽しんだ後は、奥さんのあそこは、2ドルぽっきりの売春婦と同じくらいユルユルになっているはずだから」
アンソニーは窓の外を見た。
「アレを見てみろよ。あんたの大事な奥さん、ほんとに2ドルぽっきりの娼婦のように歩いてるぜ」
窓の外に目をやり、ブレンダが、角を曲がって歩いてくる男たち全員に、手当たりしだい声を掛けているのが見えた。それも時間はかからなかった。1分もしないうちにブレンダは男を見つけたのである。いや、実際、彼女がひっかけた男は複数だった。妻が、路上だと言うのに、2人の若者たちの股間に手を伸ばし、その部分をぶるぶると揺すり、ホテルへ連れ戻ってくるのが見えた。
「ブレンダがあんな風に振舞うなんて、信じられない」
「まるで売春婦みたいにってことか?」
「ああ」
「コロンのせいだよ」
「え?」 僕はアンソニーに向き直った。
「俺のコロンさ。・・・俺が体につけているコロンのおかげで、どんな女でも、俺の匂いが嗅げる程に近づけば、娼婦に変身してしまうのさ。俺のちんぽを手に入れるためなら、どんなことでもするようになるし、スペルマをぶっ掛けてやれば、ロケットのように宙に舞い上がるようになる。まあ、見ていれば分かるぜ。ブレンダはブレーキが利かなくなるはずだ。むしろ、俺に抱かれなかったら、奥さん、病気になったみたいになるはずだぜ」
「だったら、どうして、そんなコロンをつけているんだ?」
「女が好きで、女とやるのが大好きだからだよ」
ふと、今はブレンダはアンソニーのそばにいるわけではないことに気がついた。
「もし、お前のコロンを嗅ぐことで女たちが罠に落ちてしまうというのが本当だとして、だったら、どうしてブレンダはあの男たちをひっかけているんだ? 妻は今はお前のコロンの匂いを嗅いでいないはずだ」
アンソニーはクククと笑った。
「コロンの化学成分のせいさ。コロンの香りでブレンダは俺に興味を持った。それを受けて、俺は顔を奥さんのおっぱいにたっぷり擦り付けたし、唾液をつけて舐めまわったわけ。コロンと俺の体液とあんたの奥さんが分泌した汗や体液。そいつが混じりあうと、俺と奥さんの間にはがっちり絆ができてしまうのさ。この絆は、俺と奥さんの両方が性的に完全に満足するまで、絶対に切れない。俺の場合は、3発までが限界だ。だが、あんたの奥さんは、それだけじゃ足りないだろう。俺が奥さんに、他の男を連れて来いって言ったわけは、それなんだよ。奥さんが、最後にはきっちり満足してもらわないと、俺が困るんだ。俺が終わった後、奥さんがまだやりたくてムンムンしたままだと、いつまで経っても絆が切れないことになってしまう」