私はジェニーンの手を握った。優しく。
「で、ジェニーン、あなたはどう感じたの?」 彼女の夫の女装趣味が彼女にとって、とても重要なことであることを察し、優しさを込めて尋ねた。
「正直言って、私は、ずっと、夫の趣味を気持ち悪いと、もっと言えば、病的なもののように感じていて、基本的には、ただ無視して我慢し続けてきたの。夫は、ほとんどいつも、女性用の下着をつけているわ。彼は私に理由を説明しようとしたけど、私にはまったく理解できなかった。何か、夫とものすごい距離感ができてしまったと感じているの。特に、夫婦間の身体的な親密さの面では特に。私がいない時、夫が何をしているか全然分からない。夫は本当はゲイなのかどうかすら分からない。彼が私を愛してくれて、気遣ってくれているのは分かるの。他の男性ならやろうとしない細々したことをたくさんしてくれるわ。洗濯すら、喜んでしてくれる」
「ねえ、聞いて。あなたが私やゲイルより年上で、世代が別なので、物事に対して、私たちよりも保守的な見方をするのは分かるわ。でも、私、今朝ちょっとネットで読んで分かったの。男性は、どうしてパンティを履くかについていろんなことを言うらしいの。例えば、肌触りが良いとか、ブリーフだと擦れて痛いとか、そんなことね。でも、どんな説明をしようとも、本当の理由はと言うと、それは、パンティを履くことで興奮するということ。他の方法では得られないような性的な感覚を味わえるからというのが本当の理由。そういった男性の大半は、ランジェリーを着たままセックスをすることを思い浮かべただけで、すごく興奮して、無上の幸福感を感じるほどになるらしいの。それに、私自身の経験から言えるけど、それって、私たちの方から見ても、素晴らしい興奮材料にできるのよ。セックスとファンタジーが混じり合った興奮。私、人間がセックスから得られる快感の99%は、私たちの脳の産物だと信じ始めているの」
ジェニーンは悲しそうな眼で私を見つめた。
「肉体の快感であれ、精神的な快感であれ、そういう快感を味わったのは、もう5年も前になると思うわ。時々、映画を見たりして、興奮する時があるの。でも、もうずっと、何も行動につながらない」
私は同情しながらジェニーンを見つめた。彼女の手を擦りながら言った。
「ジェニーン?・・・きっと大丈夫。あなたからイニシアチブを取って、ご主人を女性化してみるの。そうすれば、また2人の間に興奮がよみがえってくるはずよ。ご主人にその気があるなら、あなたがすべきことは、そこにちょっとスパイスを仕込むことだけ。つまり、ご主人が何を着るか、いつ、それを着るかを、あなたが仕切ることにするの。それから、セックス面に関して、命令と報酬のシステムを作ること。ご主人が、あなたが命令することに従わなかった場合の懲罰のシステムも、ね。本当のお仕置きでなくて、お仕置きのフリだけで良いの。軽くお尻をスパンキングするとか、ちょっとした小さなことでご主人に恥ずかしい思いをさせるとか、そういう類のこと」
ジェニーンの瞳が少し輝き、顔に小さな笑みが浮かぶのが見えた。
「でも、私にできるかどうかわからないわ。そういうのを好む性格じゃないし、それに私自身、もうセクシーじゃないと感じているから。もう、そういうことはすっかり卒業したと感じているの」
「ジェニーン? 『自分から感じる』ということがキーワードよ。早速、お店に行って、自分が今25歳で、映画スターのようなルックスをしているとしたら買うだろうなと思う、そういうアイテムを買うのよ。そして、ご主人にも同じアイテムを買うこと。そういうアイテムに適するようにご主人の体の方を整えて、それから、実際に着せるの。賭けても良いわ。そうしたら、ご主人に抱きつこうとすると、絶対、ご主人の勃起がお腹に当たって、なかなか抱きつけなくなるはずよ」
「ありがとう。あなたがおっしゃるとおりだと良いわ。少なくともトライしてみるつもり。試してみても困ることはなさそうだし、ひょっとすると、うまくいくかもしれないから」
「そうよ。ご主人が、とても美しい女性になれるよう、手伝ってあげて、その後、どんな変化がおきるか見てみて。私とビクトリアの場合は大興奮の結果になったわ。それに、ここにいるゲイルもちょっと私たちに手を貸してくれると思うし」
ゲイルは私に笑みを見せた。「任せておいて!」