ある、非常に忙しい日だった。ジャネットは仕事に集中しすぎ、すでに昼食時になっていることに気がつかなかった。そのジャネットにクリスが声をかけた。
「先生、もうお昼ですよ?」
たいていの日は、2人とも近所のデリにサンドイッチを注文し、それで済ましていた。
「あら、もうお昼の時間なの?」
「はい。今日は天気が良くて、すごく気持ちのいい日なんです・・・一緒に外に出て、通りの向かいの売店でホットドッグでも買って、公園で食べませんか?」
「それも良さそうね。とりあえず、2時15分までは予約患者もいないし」
数分後、クリスとジャネットは、公園の中の小高い丘の上、大きな樫の木の下に座り、昼食を食べていた。クリスは、敷布がわりに自分の作業着を広げ、ジャネットに座らせた。彼自身はジーンズを履いていたので、草の上にじかに座った。
「これからは、あなたの上着を汚さないよう、敷布を持って来たほうがいいわね」
「実は、僕の車の中に、敷布があるんです」
「じゃあ、今度は忘れずに持ってきて」 ジャネットは微笑みながら言った。
クリスは、ジャネットの方から、暖かいそよ風に運ばれて、甘い香水の香りがしてくるのに気づいた。
「ああ、あなたはとても良い香りがする」
突然だった。クリスは何も考えずに思わず口にしてしまったのだった。言った後から顔を赤らめた。
「・・・あっ・・つまり、とても良い香水だなってことです。何と言う香水なんですか?」
ジャネットは微笑んだ。
「ありがとう。ラベンダー・ブリースと言うの。私のお気に入り」
それからジャネットは、クリスのコートの上に仰向けに横たわった。明るく透き通った青空を見上げる。
「なんて良い天気!」
青空の中、大きな白い雲が、柔らかな夏のそよ風にゆっくりと流されていくのを見ている。
クリスもジャネットの隣に横たわった。片手を枕がわりにして、横向きに、ほとんど彼女に触れそうな形で横たわった。彼は空ではなくジャネットの姿を見ていた。ゆっくりとした呼吸に合わせて、彼女の胸が上下に隆起を繰り返している。彼女の胸は、仰向けの姿勢のため、普段より平坦に広がって見えていた。胸が横に広がったのを受けて、ブラウスが左右の方向へ引っ張られているのが分かる。そして、ブラウスや下着の生地を通して、彼女の胸の中心にある乳首の色によると思われる茶色の陰も。
クリスは視線を彼女の顔に移動した。こんなに間近に見たことはない。それに、クリスは、彼の方を振り向いたジャネットの顔に見知らぬ表情が浮かんでいるのが見えた。その表情を、クリスは、服従の表情と解釈した。彼はゆっくりと顔を降ろし、唇を彼女の唇に重ねた。
ジャネットは何が起きているか分かっていたが、彼女の体の筋肉は、それをやめさせるために動こうとはしなかった。唇に重なっているクリスの唇の圧力が強くなるのを感じた。そして、小さな喘ぎ声、ほとんど泣き声に近い声が、彼女の唇から漏れた。