医師は、私が不安な気持ちになっていることに気づいたに違いない。私と握手をしながら話しを始めた。
「何も心配することはないのよ。マリアに出て行ってもらったのは、彼女、私がする質問に全部、答えてしまう可能性があったから。特に、彼女に向けた質問ではなくとも、答えてしまいそうなので。まあ、リラックスして、診察させて」
私は、黄色のサン・ドレス(
参考)を脱ぎ、ブラやパンティなどの下着類も脱いだ。ストッキングだけを身につけた裸の状態になる。
「まあ、素敵に日焼けしているのね。ビキニ・ラインが見えるわ。・・・体毛は剃っているの?」
「はい。その方が女性っぽく感じられるので」 実際はトレーシーに促されて剃ったのだが、この方が正直な答えだと思った。
医師は私の体を検査した後、服を着るように促した。着替えている間、彼女は矢継ぎ早に様々な質問をした。私の子供時代から現在に至るまでの、あらゆることについての質問だった。それに私の性体験についても質問をした。
「あなたは、相手として女性よりも男性の方が好きなの?」
「特に好みはないんです。どちらも好きなんだと思います」
1時間ほど、問診が続いた。
「なるほど。あなたが、真剣に考えていることは分かったわ。それに、あなたが望んでいることを私がしてあげなかったとしても、あなたなら、それを行える、誰か他の人のところに行くだろうということも。私は、ホルモン投与から始めるつもり。でも、一つして欲しいことがあるの。それは、私が主催しているあるグループに参加して欲しいということ。毎週、水曜日、夜7時にミーティングを開いているわ。そのミーティングの後で、私はあなたにホルモンのレベルを上げる注射をします。それを2ヶ月ほど続けること。その後で、その先、どうするかを改めて検討することにしましょう」
私は、マリアと同じようにお尻に注射をされた。それに薬の処方箋ももらった。医師は、例のグループの時間と場所が書かれたカードを私に渡し、来週の水曜日に面会しましょうと言った。病院から出た時には、100ドルほどお金が消え、代わりに、左の尻肉に鈍い痛みが与えられていた。
マリアと私は、軽いランチを食べた後、家に戻った。マリアは夕食の準備を始め、私は洗濯に専念した。午後4時を回ったとき、トレーシーが帰宅し、すぐ後にマークも帰ってきた。4人でテーブルに着き、早目の夕食を始めた。
食事中、マークは私に1枚のDVDを渡した。
「これ、宝物として取っておきたくなるかもしれないよ」
「何ですか?」
「この前の日曜日、カメラを出してたのは覚えているね。うちの技術者に、そのときの動画をDVDにしてもらったんだよ。君へのお土産にしようと思ってね」
「つまり、私たち以外の人が、これを見たということですか?」 マークは、私の声に恐怖感が混じっているのを察したと思う。
「一人だけだよ。それに、彼も、これはすごく良いって言っていた。彼に、君が一度もポルノに出たことがないと言ったら、驚いていたよ」 マークは私を落ち着かせようとする声の調子で言った。
正直、マークが行ったことは、嬉しくなかった。だが、すでに私にできることは何もないのも事実。ともかく、誰か知らない人が、淫乱に振舞う私の姿を見ているということを知りつつ、生活していかなければならないのだろうと諦めた。
食事の後、それぞれナイト・ウェアに着替えた。トレーシーと私は、タップ・パンツ(
参考)にキャミソールを選んだ。マリアは、太ももの中ごろまでの丈のシース型(
参考)のナイティ。マークは、サテンのボクサー・パンツ。みんな、マークのパンツでは、彼の勃起を隠しきれないだろうと分かっていたが、本当に気にしている人は誰もいなかった。