僕たちは、それから10分か15分、岩の周りでだらだらしていた。僕は、辺りにスペルマが浮いてないか、注意したが、形跡はなかった。その後、泳いで岸に戻ることにした。岸に上がり、2人で歩き出したが、このときもアネットが、僕のあそこをチェックしているのに気がついた。まぁ、さっきはじっくり見せてもらったわけだから、お礼として、僕も隠さず歩いた。それから、服を着て、車が置いてあるところへ向かって、岩道を戻った。
「私、いつもここで、車のエンジンがかかってってお祈りするの。ママに電話して、採石場に迎えに来てなんて絶対言えないもの。そんなことになったら、30歳になるまで外出禁止にされちゃうわ」
車のある場所に着き、アネットは僕にタオルを投げてくれた。そのタオルで頭を擦り、髪の毛の水気をとった。そして車に乗り込む。ちゃんとエンジンがかかった。問題なし。
車を動かし、採石場から戻る途中、アネットが僕に言った。
「あなたが何をしてたか知ってるわよ。いけないことだわ。あそこでは何も起きちゃいけないって言ったでしょう? 他の人は、あそこで性的なことが起きて欲しくないと思っているの。その人たちの気持ちを尊重しなきゃダメよ。何か変なことが起きちゃったら、お堅い人たちが大騒ぎして、郡にあそこを閉鎖するよう仕向けるかもしれないんだから」
「何も起きなかったよ」
実際、何も起きなかった。確かに、オナニーはしたさ。だから何だって言うんだ。オナニーなら、僕の家のすべての部屋でやったことがあるし、学校のトイレでもやったし、すぐには思い出せないけど、オナニーをした場所は、他に、多分30箇所はある。でも誰にも見られていない。なんでそんなに大ごとに考えるんだ?
「なんにも!」 僕は繰り返した。
「嘘をついてるわね! ちゃんと見たんだから」 ずいぶん自信に満ちた言い方だった。
「僕が、ちょっと固くなっていたのを見たっていうことなら、その通りだよ。確かに。でも、アレは無意識の反応なんだよ、分かるだろ? それも収まったし。だから、何も起きなかったんだよ」
「いいえ! 起きてたわよ。水を通して見たんだから!」
「あのね、まず第一に、あの水は暗すぎて、中は見えなかったじゃないか。それに第二に、見えたはずがない。そもそも、何も起きていなかったんだから」
一度、嘘をついた以上、嘘を隠すために嘘をつき続けなければならなかった。
「知ってるのよ! それに、私に嘘をつくのも止めてくれない?」
「僕は嘘をついていない!」 と、僕は嘘をついた。
「嘘ついてるのは分かってるわ。証明もできるし」
「ええ、そう? ふーん、どうやって?」 アネットは、どうやって証明するんだろう?