クリスは、エンジンを切った後も、車の外に出ようとしなかった。外に出て、ジャネットのためにドアを開ける気配を示さない。それを感じジャネットはクリスの方を向いた。彼女にはクリスが何を求めているか分かっていた。
私は、応じてあげるべきなの? もしキスをしたら、再びその先に進んでしまうはず。
その問いに答えを出せぬままにいるジャネットの肩に、クリスの腕が回った。強く抱き寄せられる。
クリスはその場で絶頂に達してしまうこともできただろう。ジャネットを抱き寄せたと同時に、彼女の柔らかい唇が自分の唇に触れるのを感じたからだ。クリスは口を開いたが、舌を差し出すことはしなかった。逆に、彼女の舌が入ってくる。それを受けて、彼の口から甘い溜息が漏れた。彼の口内を探るジャネットの舌。クリスは、唇を軽く閉じて、ジャネットの舌を包み、彼女の唾液を吸った。その甘い味にクリスは小さく体を震わせた。
ジャネットは、クリスの震える手が、自分の上着の中に滑り込んでくるのを感じた。ためらいがちに、彼女の体に触れている。彼女の頭脳は、クリスをやめさせなさいと命じていたが、彼女の心は、このままにしているよう言って聞かない。クリスの手が、服の上から彼女の胸を押さえた。今度は、ジャネットが甘い溜息を漏らした。クリスがブラウスのボタンを1つ外し、ゆっくりと手を忍び込ませ、ブラに包まれた彼女の柔胸を覆うのを感じる。ジャネットの心の中、しっかりして、と言う声が響いていた。
クリスは、手に包んだジャネットの胸が想像以上に重く量感があるのを感じ、心臓が高鳴り、鼓動が早まるのを感じた。優しく揉み始め、親指を使って乳首の辺りを擦る。すると、その乳首は、待っていたかのように、すぐに固くなったのだった。クリスは、その手を下方にずらし、ブラジャーの下の素肌のところへ降ろした。伸縮性があるブラの生地の下へと指を忍び込ませ、優しくブラを押し上げた。ジャネットの大きな半球の上にブラが押しあがる。柔らかい生肌の乳房をクリスの手が包んだ。それと同時にクリスは切なそうな甘い溜息をついた。
そこまでキスを続けていた2人だったが、ジャネットは、突然、体を引き、キスを解いた。
「家に帰らなくちゃいけないわ」
ジャネットは、ハアハアと呼吸を乱しながらクリスを押し離した。しかし、クリスの顔に悲しそうな表情が浮かぶのを見て、再び顔を寄せ、短くはあったが心のこもったキスをした。そして、そのキスも、再び長い、ディープキスへとつながり、舌を絡ませあうことになる。ジャネットは、自然に腰が上下に動き始めているのを感じた。クリスの手がストッキングに覆われた膝頭に触れる。その瞬間、電流が走ったようにジャネットは切なそうな泣き声を上げた。頭では考えていないのに、自然に彼女の脚がゆっくりと開いていく。
クリスはゆっくりと手を太ももに這わせた。シルクの滑らかな肌触り。ひんやりとして、手に気持ちいい。彼の手は、ストッキングの上の温かい生肌に触れた頃には、すでに小さく震えていた。指が湿った部分に触れると、その手をジャネットが押さえるのを感じた。彼の指が、ぷっくり膨らんだ陰唇に触れるのをとめようとしているのだ。それでもクリスの指は、短い時間ではあれ、ジャネットの濡れた下着に確かに触れていた。ジャネットは、再びクリスの体を押し、離れた。
ジャネットはクリスの隣、呼吸を整えようとしながら、しばし座ったままでいた。体が自然に震えてしまう。一度、大きく深呼吸をし、それからブラウスの中に手を差し入れ、ブラジャーを元に戻した。
「もう家に帰らなくちゃいけないわ」
弱々しい小さな声だった。
クリスは、勢いをつけて車から出た。無意識に笑顔になっていた。助手席のドアを開け、ジャネットに手を差し伸べ、彼女が降りるのを助けた。一緒に玄関前まで歩き、彼女が鍵を取り出し、ドアを開けるまで待った。
ジャネットはドアを開けた後、振り返り、少し離れたところで見守っていたクリスを見た。ジャネットは、小娘のようにつま先で彼の元に駆け寄り、再び、軽くキスをした。手のひらで彼の頬を撫でる。
「もう帰って」
そして彼女はくるりと向きを変え、家に駆け込んだ。玄関ドアを閉めると同時に、力が抜けたように、そのドアに背中をもたれかけた。足に力がなく、崩れ落ちそうだった。すぐに下着を変えなくてはと思った。今度はジャネットが、自慰をするため自分の部屋へと急ぐ番だった。
つづく