クリスティンは頬が火照るのを感じた。顔が赤くなっているだろうと思う。ビジネス服を着ているにもかかわらず、この男性たちが、自分の容姿に満足しているようだと分かる。先ほどまで、「派手目の服」を着なければならないことについて感じていた居心地の悪さは、すでに消えていた。いまや、彼女は自分の体型に誇りを感じているし、男たちがそれに気づいていることに満足していた。脚の間が少し疼く感じがしたが、それを無視しようとした。
少し、気まずい沈黙があったが、クリスティンは早速、仕事に取り掛かった。
「それでは、よろしければ、ボブが提案する物件に私の車でお連れいたしますね」
だがジョンは断った。
「クリスティン、その必要はないよ。君が道を教えてくれたら、僕の運転手のジェフリーが連れてってくれるから」
クリスティンと2人の男性は、ホテルのフロントドアを出た。そこにはジェフリーが待っていた。カーブのところに長大なリムジンが止まっている。ジェフリーは巨体の黒人で、素早く車のドアを開け、クリスティンは促されて乗り込んだ。ジョンとトムは、車に乗り込む前に、互いに目配せをしウインクをしあった。2人とも、クリスティンのことにたいそう満足していたのである。
クリスティンは、最初の物件に行く途中の車内で、ジョンが、この都市でビジネスをするときに使う家屋として、この物件を求めていることを知った。どうやら、オーエンス氏はかなりの富豪で、複数の都市に同様の高価な邸宅を所有しているらしい。彼は、おもてなしなどのために使う邸宅を必要としており、家族が居住するのに適した家屋は求めていないとのことである。ジョンは独身なのである。
最初の物件に到着すると、クリスティンは早速、彼女なりに最善のセールス・トークで説明を始めた。ただ、エアコンが作動していないのに少し悩まされた。今は8月の上旬であり、非常に蒸し暑いのである。蒸すような暑さの中、10分ほど説明した後、クリスティンはジョンたちに許しを求めた。
「大変恐縮なのですが、ジャケットを脱いでもよろしいでしょうか? 申し訳ございません。暑いので・・・」
「ああ、もちろん!」
ジョンもトムも、待ってましたと言わんばかりに、即答で、答えた。クリスティンは、2人の返事の即答ぶりに、少しぎこちなく笑った。
クリスティンがジャケットのボタンを外し始めると、トムが手助けし、物件の書類ファイルを持ってあげた。ジャケットの中からクリスティンの大きく盛り上がったバストが姿を見せると、2人とも、驚きの溜息をついた。薄地のブラウスのため、中のレースのブラジャーが透けて見える。クリスティンはジャケットを脱ぐと、それを畳んで脇の下に抱えた。
「トムさん、ファイルを持っくださってありがとうございます」