「バースデイ・プレゼント」第7章
その日の仕事の残りを終えて、僕はゲイルに施錠するように頼み、外に置いてある僕の車に向かった。車に乗り込み、キーを差し込んでイグニッションをかけたが、何の反応もない。何度か試みたが、結果は同じだった。そういえば、最近、バッテリーの警告灯が点滅していたのを思い出す。調べてもらうつもりだったのだが、すっかり忘れていた。僕は携帯電話でサービスの人に電話をかけた。彼は、担当の人を送り、車を引っ張ってくれると言った。
ちょうどその時、ゲイルが出てきた。立ち止まって、ドアに鍵をかけている。
「ゲイル、僕を乗せてくれないかなあ?」
「ええ、いつでも乗っていいわよ」 ゲイルはそう言ってウインクした。
僕は苦笑いした。
「いや、そっちの『乗る』の意味じゃないんだよ・・・僕の車が動かないんだよ」
「あら、まあ、それは大変。でも、いいですよ。そっちの方の意味でも、いつでも。・・・さあ乗ってください」
彼女の車で家まで送ってもらった。家の前に来たとき、僕はゲイルを誘った。
「良かったら、家に来て、コーヒーでも飲んでどう?」
僕は職場ではめったにコーヒーを飲まない。ドナは、僕が帰るのを待って、いつもコーヒーを入れていてくれる。
「ええ、ありがとう」
2人で車を降り、家に入った。書斎に入る角を曲がった時、僕たちは、ハッと息を飲んで立ち止まった。僕もゲイルも唖然として、口紅をつけた口を大きく開けたままだったと思う。
そこにはドナが立っていたのだった。昨夜、買ったばかりの女王様のコスチュームで! 手には乗馬ムチを握り、脚の付け根には、ストラップ・オンのディルドが自慢げにそそり立っていた。ドナが驚き、恥ずかしさのあまり愕然としていたのは言うまでもない。
3人とも驚いていたのだが、最初に立ち直ったのはゲイルだった。
「ごめんなさい、ドナ。私、まずい時に来てしまったかも。それとも、まさにちょうど良い時に来たのかも。私としては、ちょうど良い時に来たのだと願いたいところだけど・・・」
僕は、驚いてゲイルを見た。でもゲイルは、口を半開きにしながらも、まっすぐにドナを見つめている。ちらりと舌を出して舌なめずりするのが見えた。
「車が動かなくなってしまって・・・」
僕も、慌てたままだったが、とりあえず、ゲイルがどうしてここに来たのか説明しようとした。
次に立ち直ったのはドナだった。
「ゲイル、あなたはいつも大歓迎よ。一緒にプレーしない?」
ドナの言葉を聞いて僕はドキドキするのを感じた。そしてゲイルの返事を聞いて、さらに動悸が高まった。
「是非とも。こういうプレーをするのをずっと待っていたの」