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報復 第4章 (11) 

「ジミーがお前に口説きかけていた時、お前がちゃんと身を引いて見せていたら、スティーブもそんなに怒らなかったんじゃないのかね?」

「でもジミーは何も私を口説いてたわけじゃ・・・」

だがバーバラは途中で言葉を打ち切った。急に何か考え事をし始める。リディアは、ただバーバラを見るだけで、沈黙が続くままにした。

「・・・ああ、そうなのね・・・ジミーはその気だったのね」 長い沈黙の後、バーバラが言った。

「そうだと思うよ」 リディアは、素早く相槌を打った。「そして、ジミーは、お前の夫の真ん前で、そういうことができるとも思っていた。さて、そこでだけど、どうしてジミーは、そういうことができると思ったんだろうね? お前に分かるかい?」

バーバラは返事をしなかった。

リディアが明るい声の調子で続けた。

「こんな想像がつくんだけどね・・・つまり、お前がいつも彼とランチを食べていたから・・・彼が話すジョークを、お前がいつも笑って聞いていたから・・・あるいは、お前はジミーと、二人にしか聞こえないような、小さな声で話すのが好きだったから・・・二人しか分からない話題だったから・・・」

「・・・お前がスティーブについてジミーに愚痴を言っていたからかもしれないね・・・スティーブに腹が立ったときとか、お前がして欲しいことをスティーブがしてくれなかったときとか・・・ジミーは、スティーブのことを男として一種、笑い者にできる対象だと考えたかもしれないよ・・・ちょろい相手だと・・・ジミーが、好んで自分が属していると思っている人間集団のことを考えると、スティーブは、そういう集団にいる人間ほど頭がよくないなと思ったかも・・・そして、お前も、そう思っていたんじゃないのかい?・・・お前は、自分はジミーの思う人間集団に属していると思っていたんじゃないのかい?・・・そしてスティーブは、そこには属していないと?」

バーバラは不愉快そうに祖母を見た。小さな声で答えた。

「ノニー? 誓っても良いけど、私はジミー・ロバーツと、間違ったことは決してしなかったわ。決して、前も、その後も・・・」

「でも、お前はすでに、まちがったことをしたんじゃないのかい?」 リディアが口を挟んだ。「スティーブはジミーのことを何て呼んでいたっけ? ジミー坊や? えーっと・・・ちょっとスティーブみたいな口調になってきたわね・・・まあ、ともかく、お前が最初に、そのジミー坊やとやらにスティーブをさげすむようなことを言った時、その時、お前はすでに自分の夫のことを『バカに』していたんだよ。そして、その後、お前がジミーとランチに行ったり、仕事帰りに会ったり・・・それにディナーを食べたりかい?・・そういうことをし始めたときに、またもスティーブのことをバカにしてしまっていたんだよ」

バーバラは、ジミーとディナーを食べたんじゃないかと言われた時に特に激しく頭を振った。


[2007/10/29] 本家掲載済み作品 | トラックバック(-) | CM(0)

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