このときの休憩時間に、女の子たちはもう一度、着替えを行った。マリアは黒ビニールのタイト・ドレスに着替えた。裾が本当に短い。胸元も深く切れ込んでいて、胸は乳首が見えそうなほど。ヒール高15センチのスティレット・ヒールのパンプスを履いていた。他の女の子も、おおよそ同じような衣装だったが、マリアほどはセクシーに見えていなかった。もっとも、そういう見方をする私は、確かに、偏見を盛って見ていたのだと思うけど。
全員が着替えを済ますと、私は、また、ディレクターズ・チェアに座った。その間、マークが、演技者たちに、次のシーンで、各自何をするか話していた。私が座っていると、先にフラッファーをしていた女の子が近寄ってきて、私の隣の椅子に座った。
彼女は、身長155センチくらいの可愛らしい人で、茶色の巻き毛の髪をしていた。ほとんどお化粧をしていないようだったけれど、そもそも、化粧の必要がないと言ってよかった。べっ甲フレームの眼鏡(
参考)をかけていたので、実際より目が大きく見えていた。
最初、彼女が私の隣に座った時、私は、彼女の仕事を奪ったと、私に怒るのではないかと恐れていた。でも、彼女はすぐに私の気持ちを落ち着かせてくれた。
「さっきは、仕事を手伝ってくれて、ありがとう。私一人では扱い切れない仕事になっていたのよ。ちなみに、私の名前はヘレン。よろしく」
彼女はそう言って、手を差し出した。
私は彼女の細い手を握り、握手しながら返事した。
「私はステファニー。正直、マリアを立たせる手伝いをすることが、ここでは仕事になっているって知らなかったの。それが、他の人にとって仕事になっていると知ってたら、しなかったわ」
ヘレンはくすくす笑った。
「私も、仕事とは思っていないわ。でも、好きなことをしてるだけで、お金をもらえるって言うんだから、それは嬉しいけれどね。うふふ」
「じゃあ、あなたは、楽しんで、これをしてるということ?」
「ええ、ものすごく。私、おちんちんをしゃぶるのが大好きなの。口に含んだ時の感触が大好き。嫌なことと言ったら、男の人に口の中に出されたときね。あの味は好きじゃないわ。でも、この仕事だと、私は誰にも射精させちゃいけないわけでしょ? だから、上手く行ってるのよ。ただ、男の人のを固くさせて、撮影の間、そういう状態にさせておくだけでいいんだから。あ、でも、勘違いしないでね。私、お金も大好きよ。つまり、好きなことをしてお金がもらえるなら、その仕事は一番良い仕事に違いないって、そういうことなの」
ヘレンが話し振りから、その声に何か情熱的なところがこもってるのを感じられた。私は、どのくらいもらっているのか訊こうとしたが、その時、マークが「静かに!」と言ったので、訊けなかった。
次のシーンは、玄関ドアにノックの音がするところから始まった。