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デス・バイ・ファッキング 第1章 (5) 

僕は難局に立っていた。どうしてもディアドラから手を離すことができないようなのだ。彼女に何か話していたか、あるいは、単に小さい唸り声を喉で鳴らしていたか、それすら分からない。耳の奥で轟々音がしていたので、そもそも、よく聞こえていなかった。

ディアドラは、優しく僕の手を解き、椅子に腰を降ろした。僕は、正気に戻り、会議テーブルを挟んで彼女の向かい側に座った。あらためて彼女をチェックして、彼女が年上であることに気づいた。何歳かは推測できなかった。成熟した25歳なのか、非常に若さを保った40歳なのか。25歳から40歳の間だろうとしか分からなかった。

ディアドラは早速仕事に取り掛かった。ペニスを勃起させ、半分正気を失った男から目を避けるようにして。

すぐに分かったことは、ディアドラは僕とは階級が違うということだった。この女性に近づくなど、絶対に望みがないだろう。美人だし、聡明だし、大きな仕事をして、恐らく、僕の4倍は稼いでいるだろう。そして、あの瞳。だが、彼女は僕とは住む世界が違うのだ。僕は、自分が、羨望の眼差しでチアリーダーのトップを見つめる、地味でオタクな高校生になったような気がした。この圧倒的に素晴らしい女性には、決して近づくチャンスなどないのだと諦めつつ、見つめる男子高校生。

ディアドラは僕の手が届かない存在だと分かったことで、かえって、僕は自分を取り戻すことができた。いいさ、いいさ、ともかく彼女のそばにいられるだけでも。どうせ、それしかできないのだから。今を楽しむんだ。今まで生きてきたうちで最高の女性と一緒に時間をすごせるだけでもありがたい。だけど、深くかかわろうとはするんじゃないぞ。そんなことは所詮、不可能なのだから。口笛を吹いて墓地を通り過ぎる(参考)ように、平気を装うのだ。

僕たちは話しをした。ビジネスの話。最初はなかなか集中できなかったが、次第に、僕たちが一つ一つ調べようとしているビジネスの情報に意識を集中しつつも、同時に彼女に全注意を傾け続けることができるようになった。

午前中いっぱい、僕たちは一緒に座って、あれこれの部局や、僕が提供した種々の報告書や、その報告書が強調するビジネス・トレンドの意味について話し合った。そして、その間ずっと、最初から最後まで、僕は勃起したままだった。

そして、最初から最後まで、僕はストイックな顔をし続けた。決して感情を顔に出したりしなかった。子供の頃から、ミスター・スポックのことを勉強し続けてきていたので、物事に対してバルカン星人の顔になる術は心得ていた。ディアドラと面会した最初の時に、子供のように(というか、ペニスを勃起させた子供のように)振舞ってしまったが、その後は、ディアドラが、職務上、必要とするものを適切に彼女に提供し、僕の仕事をきちんとこなしていたと思う。

だが、それは難しかったのは事実だ。ディアドラは、絶えず、僕の注意を逸らしてしまう存在だった。僕は彼女のことすべてを記憶に留めておきたいと思った。

ディアドラの見地からすれば、多分、僕はいい加減な教育を受けて育った、単なる子供にしか映っていなかっただろう。僕のことを、企業内の出世の階段で、僕の能力上、到達できる最高位に到達してしまって、もはや、これ以上は上がれない人間と思っていたかもしれない。確かに、僕は、自分の論理的な思考力を感情と統合するのに時間が掛かったが、それでも、何とかそれを成し遂げたのである。最後には、心の奥底で、彼女のことは、手に入れたい、是非とも手に入れたい女性ではあるが、完全に手が届かない女性でもあると納得できたのだ。心ばかりでなく、僕の体全体も、ようやくそれを理解してくれた。いや、体全体とは言っても、一箇所だけは別だった。決して消せない欲望を燃え立たせている20センチのチューブ状の代物のことである。そいつだけは、彼女をやりたいと叫んでいた。


[2008/03/06] 本家掲載済み作品 | トラックバック(-) | CM(0)

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