レオンは、マホガニーの大きな机に行き、その端に座った。両腕を胸の前に組み、捕らえた獲物を熟視する。
娘は、長椅子の上、ぴくりとも動かず、横たわったまま。か細い左右の手首は布で縛られている。細く長い指、そして、その先の爪は、ピンク色の完璧な楕円形をしていた。顔は、光沢のある深紅の布で覆われ、見ることができない。顔を覆う絹の光沢の布は、扇のように広がり、胸元へと続いていた。レオンの視線は、静かで、安定した呼吸に合わせて、上下動を繰り返す2つの小さな丘へと辿った。娘の他の体の部分は、修行僧が着る灰色の厚地服の下に隠され、謎のまま。
レオンは、この、気づかぬまま眠る生き物へと音を立てずに近づいた。この女が美しいか、美しくないかは、我が目的には関係がない。この娘は、望む、望まぬに関わらず、我が手に掛かり、屈服し、やがて呪われた子を身ごもることになるのだ。そして、時期が整えば、この女は、殺しを犯した父親を隠れ家の奥からおびき出す生餌となるであろう。
レオンは、長椅子の横にひざまずき、短剣を抜いた。娘の縛られた手首を、大きな手で掴み、縛られた布地を容易く切り解いた。足も同様に縛られているだろうと推測し、重たい灰色の裾を捲り上げ、驚くほど優美な足首を露わにし、拘束を切り解いた。
好奇心をそそられ、レオンは裾の中に手を指し入れ、クリームのように滑らかな肌に沿って探るように手を這わせ、膝頭を掴んだ。女が動かぬのを見て、彼は、意識を失っている囚われ女の秘密を探り知ろうと、無抵抗の太ももをぐいと引っ張り、開かせた。レオンの大きな手のひらが、女の柔らかな内腿を這い上がり、同時にごわごわと重たい服地を引きずり上げていく。
その太ももの頂点部を覆う茂みが、燃えるような真紅の髪に相応しきものか、それを探ろうと目を凝らすレオン。だが、突然、娘の両膝が弾かれたように閉じ、彼ははっと息を飲んだ。彼の手が、絹のような柔肌の太ももに挟まれ、捕らわれていた。
~ * ~
男に縛り布を切られる間、全神経を使って意識を失っているふりを続けたものの、彼女は裾から男の両手が這い上がってくるのを感じ、その衝撃に、本当に再び気絶しそうになった。この19年の人生で、これほど厚かましく肌を触ろうとした男は一人もいなかった。顔を覆うもつれた赤毛を通しては、男の動きを目で追うことは叶わない。だが、彼女は、なされるままに横たわりつつも、密かにゆっくりとした動きで、指を、ゆったりした袖の内側に隠し持っていた小さなナイフに近づけていたのだった。
侵入を進める手が、蛇の如く内腿を這い上がってきた時、彼女は、その手に引き起こされるわずかな体の震えによって、意識を取り戻していることが明らかになる前に、戦いを始めなければなぬと思った。
左右の腿を強く閉じ、男の手を挟んだ。手が動けなくなっているはずと、彼女は闇雲にナイフを男に向かって突き出した。ベールのためにおぼろげな視界ではあるが、できる限りの傷を負わせようと思いながら。
「くそっ!」
突然ナイフを突き出され、レオンは口汚く罵った。同時に、自由になっている手で娘の手首を掴み、骨が砕けそうな力で握り、ひねった。その苦痛に、娘の目に涙がこみ上げる。彼が、もう一方の手を娘の脚の間から捩り抜いたとき、ナイフが力を失くした手から滑り、毛皮の毛布に落ちた。真新しい血の色に染まっていた。