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報復 第6章 (2) 

カウンセリングのその後の時間は、スティーブのためにバーバラとヒューストン氏にはどんなことができるかを探すことに変わった。スティーブの感情を和らげるために必要なことは何か? バーバラは道を外す前、彼のどのような要求を叶えていなかったのか?

スティーブは、フラストレーションのあまり、目を剥いた。彼は、こんなたわ言を、一刻も早く終わらせたいだけだった。それが今は、ただ話しを聞いているだけでは済まなくなり、話し合いに参加するよう求められている。話せ、話せ、話せ。そればかりを、求めてくる。

ヒューストン氏は、最初のカウンセリングの時に、スティーブとバーバラに記入させた質問紙を取り出した。

「多くの点で、お2人は、感情的に必要としていることに関して、大変似た考えを持っています。ご主人、あなたは、男女関係における主要な要求として、セックスよりも思いやりを優先させてすらいる。大半の男性は、最も重要な要求としてセックスを挙げるものですよ。ということは、お2人の性的要求は満たされていたと考えてよろしいのでしょうね」

スティーブは、突然、不満の声を上げた。

「それは間違いだ。哀れなレイフと僕には一つだけ共通していることがある。どちらも、僕の妻からセックスをさせてもらっていないし、させてもらっていなかったということだ」 声に皮肉が混じっていた。「・・・僕は、3月末から一度も、自分の妻とセックスしていない・・・それに、それ以前にもほとんどなかったようなもの」

「では・・・どの時点で、性行為が不満なものに変わったのですか?・・・例えば、お話ししてもらった、例の去年のクリスマス・パーティの前はどうでしたか? それまでは、満足できていた?」

「はい」とバーバラが答え、同時に、「いや」とスティーブが答えた。

バーバラは驚いた顔でスティーブを見た。その驚きの顔は、ほとんど瞬時に、怒りの顔に変わった。

バーバラが声を出す前にヒューストン氏が質問を続けた。「では、いつ頃から不満だったのですか、ご主人?」

スティーブはしばらくバーバラの顔を見つめながら、じっくりと答えを考えた。そして、ようやく答えた。

「新婚旅行から戻って2ヶ月ほど経ってから」

バーバラはハッと息を飲んだ。

「何ですって?」

二人の相違により、それからもう30分間、話が続いたが、最後には、スティーブはまったく話さなくなってしまった。彼の我慢の限界に近づいていた。

ヒューストン氏が、「トイレ休憩」を入れましょうと言った後、スティーブは、ヒューストン氏にもバーバラにも何も告げずに、カウンセリングが行われているビルを抜け出した。車に乗り込んだとき、携帯電話が鳴ったが、彼はそれを無視した。

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[2008/03/19] 本家掲載済み作品 | トラックバック(-) | CM(0)

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