俺は、下のリビングに降りて、テレビを見た。親たちが帰ってくるのを待つ時間が、やたら長く感じる。ようやく母親の車がガレージに入ってくるのを聞いた。ピザを抱えてキッチンに入ってきた母親にハグをして出迎える。
「今夜の夕食は軽めにするわね。お母さんは着替えをしてくるわ。お父さんもすぐに帰ってくるだろうから、それから食べましょう」
母親が寝室に入ってすぐに、父親が帰ってきた。父親も寝室に着替えに入った。俺はピザの箱をテーブルに置き、紙皿やナプキンを並べ、冷蔵庫からコーラを3本出した。
両親が出てきて、3人で食べ始めた。おしゃべりもしたが、大半が親たちが仕事のことについて話していた。食べた後、俺は後片付けをし、親たちがコーラを飲んでるのを見ながら、自分の部屋に戻った。ベッドにごろんとなり、小さな音でステレオを流した。明日の夜、グラフ先生の家の様子を見に行くのが待ち遠しい。
朝になった。いつもの朝と変わらない朝。一つ、違っていることと言えば、遅くまで寝ていたこと。先生の家に確かめに行くのを待つのは、死にそうなくらいいらいらする。昼過ぎまで寝て過ごせば、夜の9時が来るのも早くなるんじゃないかと思ったから。
ベッドから出て、シャワーを浴び、メールをチェックするためパソコンを立ち上げた。ネットにつなぎオンラインになると、ブラッドもオンラインになっているのに気づいた。俺たちは早速インスタント・メッセージで、昨日の警官のことについて話し始めた。チャットをしながら、メールもチェックしていたが、何も変わったことはなかった。山のようなジャンク・メールだけ。
ずいぶんチャットをしていたと思う。気づくと、親たちが仕事から帰ってくる音が聞こえた。パソコンを切り、親たちを出迎える。両親は夕食に中華料理を持ってきた。俺は中華はあまり好きじゃない。なので黄色いライスだけ食べた。もちろん、この日も俺は良き息子を演じ、両親がリビングでくつろいでいる間、食器を洗った。その後、親たちと一緒にテレビ番組を見て、9時になるのを待った。
ようやく番組が終わる。もうすぐ9時だ。俺は靴を履いてガレージに出た。親たちには俺が出かけることを知られたくないので、小さいドアからこっそり自転車を出した。自転車に飛び乗り、ペダルを漕ぐ。グラフ先生の家の場所は知っている。
俺は、直接、先生の家の通りに行く代わりに、次の通りに向かった。ゆっくりと自転車を走らせながら、家々の間を見る。次に見えてくる家が先生の家だ。心臓がドキドキしていた。さらに速度を落として、家の間からグラフ先生の家を見た。9時ちょうど、先生の家の玄関のポーチ・ライトが点くのが見えた。俺は、それを見届けた後、狂ったようにペダルを漕ぎ、家に向かった。警察がいたらヤバイから。
家に着き、静かに自転車をガレージに入れ、家の中に戻った。そして、リビングの前を通り過ぎながら、何もなかったように親たちに、もう寝ることにするよと告げ、自分の部屋に入った。
部屋に入り、早速、パソコンを起動する。ワープロを立ち上げ、次の手紙の文面を考えた。心臓が狂ったように鼓動しているのを感じた。先生をどういう風に犯してやるかを考えるだけでも、興奮して背中がゾクゾクしてくる。この手紙を読んだら、先生も俺と同じく、ゾクゾクするに違いない。