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報復 第6章 (4) 

いや、単に機会というより、もっと正確に言えば・・・機会と誘惑。

「こんばんは・・・」 

明るい声がスティーブに呼びかけた。「・・・私に会えて嬉しい?」

「あ、・・・ああ、もちろん・・・キンバリー・・・元気だった?」

スティーブは慌てた。彼にとって、この若い義理の妹は、今夜、玄関先に出迎えるとは予想していなかった人間の一人だった。

「ええ、もう、とっても!」 18歳の娘は嬉しそうに答えた。

多分、この答えが、彼女が自分の生活について感じていることを正確に表わしているのだろうと、スティーブは思った。彼女は、いつも、出会った人々や出来事について、熱っぽく喋り捲っていた。高校時代は、3年間、毎年、最も人懐っこい人物に投票で選ばれていたし、同じく毎年、全員一致でチアリーダーに選ばれていたのも、彼女だけだった。生徒たちも教員も、彼女と一緒にいることを楽しんでいたし、どこに行っても、彼女の周りには、開けっぴろげで明るい仲間たちがいつも付き添っていた。

スティーブは、キンバリーのことを、いつまでも輝きを失わないキラキラした個性を伴った、可愛いく、活発な娘だと思っていた。だが、最近は、それに加えて、どことなく、セクシーな若い女性へと変身したようにも感じていた。彼女の瞳の奥に、何か官能的にくすぶったものがあるように感じていた。

自分を見上げる彼女の仕草には、何かゾクゾクさせるものがある。そのような興奮は、これまで彼女との関連で感じたことなど一度もなかった。スティーブは、自分がこの義理の妹に反応しているのを知り、うろたえた。さらに悪いことは、自分がうろたえていることを彼女が分かっているらしいことだった。股間が熱くなるのを感じたが、自分がそれを感じたと同時に、彼女もそれに気づいたのは確かなように思えた。

「私を家に迎え入れてくれないつもり?」 キンバリーは、にっこり微笑みながらスティーブを見上げた。

スティーブは、またも、うろたえつつ、スクリーン・ドアを手で押さえ、キンバリーを家の中に迎え入れた。彼女はつかつかと玄関ロビーへと進んだ。歩きながら、レインコートを脱ぎ、それをスティーブに手渡す。スティーブは、無言のまま、後ろ向きになって、レインコートをコート掛けにかけた。女の子っぽい笑い声を後に残しながら、彼女は、一人でリビング・ルームに歩み進んで行った。


[2008/04/08] 本家掲載済み作品 | トラックバック(-) | CM(0)

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