スティーブは、彼女に追いついてリビングに入った。彼女は窓の外を見ていた。つい先ほどまでは、それほどでもなかったが、今は雨が激しくなり、雨粒が窓ガラスを叩いていた。キンバリーのことをスティーブはキムと呼んでいる。キムは、スティーブが見ているのに気づくと、振り返り、にっこりと微笑んだ。
彼女は、何気なさを装いながらスティーブに歩み寄り、両腕を広げて、彼の首に絡ませた。スティーブは、キムが突然、迫ってたのを見て、たじろぎ、2、3歩後ずさりした。だが、彼女はなおも彼の後をつけ、追い詰めた。そして、つま先立ちになり、スティーブの頭を自分に引き寄せ、キスをした。淫らさが混じったキスで、舌を差し入れ、スティーブの舌をちろちろと弾いた。体でも、腹部をスティーブの腹部にぐりぐりと押しつける。
再びたじろいだスティーブは、キムの大胆な行動に対して素早く反応し、体を離そうと押し返したが、決してそれに成功したとは言い難かった。
だが、彼女は、突然、スティーブを離し、ゆっくりと後退した。そして優雅な立ち振る舞いでソファに腰を降ろした。
「うちのアバズレの姉と離婚するのは、いつになるの?」
彼女は、唐突に問いかけた。スティーブは、大胆な質問に、しばらく、ただ彼女を見つめることしかできなかった。
「・・・ああ・・・それは、さらにもう何か月かかかりそうだよ」 スティーブは、ようやく言葉を発した。「バーバラの弁護士が、先週、審議継続を求めて新しく措置を取るよう、書類を提出したんだ」
スティーブはいやいやそうに話した。彼は、この件をバーバラの妹であるキムと話しあうのがいやだった。それに加えて、キムが自分の姉であるバーバラを呼ぶのに使った言葉も、彼には居心地の悪さを感じさせるものだった。適切な言葉じゃないように感じられた。そもそも、キムのキャラクターから逸脱した言葉使いだった。