キンバリーはスティーブに微笑みかけ、落ち着いた声で訊いた。
「覚えている? あのバーベキューの時のこと? あなたに、バーバラよりも私の方を好きにさせるつもりよと言った時のこと?」
スティーブは覚えていた。彼とバーバラが結婚する直前の頃だった。キンバリーは、当時、まだ、おしゃべりな12歳の少女で、スティーブが到着するとすぐに、彼にぴったりくっついて離れなかったのだった。あの時、バーバラはキムのこの振る舞いに腹を立てていた。彼女の反応に驚いたスティーブは、フィアンセであるバーバラに、未来の義理の妹に対して優しく接すること以外何も考えていないと説明しなければならなかったのだった。バーバラを和らげるのにかなり時間が掛かったのを覚えている。
あの時のキムが、今は、魅力的で、快活な若い女性に変わっている。改めて彼女を見ながら、スティーブは、またも、先に感じたのと同じく、股間が反応し始めるのを感じた。バーバラは背が高いのに対して、妹のキムは155センチほどしかない。バーバラがほっそりと洗練され、しなやかな印象なのに対して、キムは野性的で、がっちりした体格の印象があった。バーバラはBカップだが、キムの胸はCカップでも窮屈そうなのは確かだった。
キムは、バーバラよりも、しっかりした体つきをしていた。大きな胸を支えるためにも、そういう体つきになるのが当然なのだろう。太もももふくらはぎも、バーバラの足よりも、肉付きがよかった。曲線美の優劣は変わらない。単にキムの体つきの方が、しっかりしているという印象だった。
キムが16歳になったときだった。太ももの太さを気にするキムに対して、スティーブは、なだめるつもりで、薄着になるほど、素敵に見えるよと言ったのだった。実際、ショートパンツやビキニの格好になると、キンバリーは、ハッと息を飲むような魅力的な若い娘に見えた。頭からつま先まで、すっぽり衣類に包まれていると、実際の姿よりも、ずっと太って見える印象があった。
あの、キムが16歳になった時のようなことは、繰り返さないようにしようとスティーブは思っていた。その日の午後、キムは体の内側から発せられる熱で輝き、火照っている様子で、その日が暮れるまでずっとスティーブのそばにくっついていた。その次にスティーブがバーバラの家を訪れた時も、キムは同じことをした。スティーブは、キムの気持ちに水をさそうと試みた。バーバラたちに間違った意味に取られたくなかったからだ。不安定な10代の若者を元気付かせ、安心させることしか思っていなかった。
「ああ、覚えているよ」 しばらく間を置いて、ようやくスティーブは返事した。緊張してきているのを隠すために、微笑を見せて話した。「君は、元気な幼い12歳の女の子で、辺りにいる大人には、あたり構わず生意気な口を叩いていたし、年頃の男の子には、あたり構わず色目を使っていたね」
キムは、顔をしかめ、スティーブに舌を突き出して見せ、スティーブは、それを見て嬉しそうに笑った。ふと、スティーブは、こんなに声に出して笑うことは、ずいぶんなかったなあと思った。キムが、カウチの上、自分の隣のところを軽く叩いてみせた時、スティーブは、自分がそれまでずっと立ったまま、キムのことを見ていたのに気が付いた。スティーブはゆっくりカウチに近づき、キムに引き寄せられるのに任せて、彼女の隣に腰を降ろした。