私と彼は終日働き続け、かなり仕事がはかどった。だが、それでも、この言い知れぬ緊張感があった。どの局面でも、それを感じた。アンドリューは緊張していた。イライラしているように見えた。それまで電話で何度も話し合ってきたのに。彼は、電話では、いつも、温かみがあって優しく、時には私をおだてたりもしてくれていて、決して緊張したり、イライラしたりすることはなかった。私は、アンドリューは何か個人的な問題を抱えていて、そのために集中力がそがれているのではないかと考えた。
私は、他の多くの女性たちに比べると、男性の勃起状態について、あまりコメントできる資格がない。男性との経験がどちらかと言うと少なかったから。私にとっては、これまでずっと、仕事がナンバー・ワンの優先事項だったのだから。それでも、これまで男性が何人か短い時間だけ勃起しているのを見たことはある。・・・でも、「短すぎて私の好みには足りない」(言ってる意味が分かるかしら。私は『Whose Line is it Anyway』(
参考)というテレビ番組のファンなの)
だが、アンドリューの場合は、朝の9時から、夕方の5時までずっと勃起したままなのだった。どうして、そんなことを知っているかと言うと、チェックしていたから。しかも、頻繁に。私は、ひょっとして彼はズボンの中に何か特別なものを履いているのじゃないかと思い始めた。でも、その日の朝には、彼の下のところがそうなっているのには気づかなかった。彼の真ん中のところが突き出てるのを見たのは、私たちの手が触れ合った後になってからだった。彼は固くなって、その後、ずっとその状態のままだった。私は、どうやって仕事に取りかかれたのか、自分でも分からない。頭の中はアンドリューの勃起のことだけになっていたから。
火曜日、私はすこし早めに出社し、女性社員用の部屋に行って着替えをした。それからメインのオフィスへ出てくると、アンドリューが私に背を向けて、テーブルに座っているのが見えた。数名の同僚たちとおしゃべりをしている。どうやら、社員同士の親睦を図るための、仕事前の談話を行っているようだった。
そのグループに私が近づくと、とても可愛くて若い女の子が、別の方向から、そのグループへ歩いていくのが見えた。彼女はアンドリューの隣に座り、胸のところを彼の腕に押し付けるような格好になった。にっこり微笑み、体を触れさせている。若い女の子が、有望そうな男性から反応を引き出そうとする時に、よく見せる行為。アンドリューは、この若いメス猫の悪巧みに気づいていないようだったけど、私には彼女が何を考えているか分かった。私は、自分の感情に嫉妬心が忍び込んでくるのに気づき、我ながらショックを感じていた。
私も、そのグループに近づき、おはようと声をかけた。アンドリューは、視線を、体を持たれかけている綺麗な女の子から、私に向けた。彼は私の目を見て、そして、その後は、全然、視線を泳がせることはなかった。じっと私を見ている。
グループに近づきながら、私はちらりと彼の股間を見たのだけど、その時は、何もなかった。多分、月曜日の、あの状態は何かの間違いだったのだろうと思った。でも、彼が私を見た時、そして私に微笑みかけた時、彼のズボンの前が、私に向かって突然、膨らんだのだった。
私はめまいを起こしそうになった。なんてこと! 彼、私を求めている! 私を見て勃起している! 私は、あわてて、ちょっとごめんなさいと言って、会議室から飛び出した。何としても落ち着かなければ。でも、アンドリューは私のすぐ後に部屋を出てきて、私を追いかけてきた。落ち着くチャンスがない。落ち着くことなどできない。彼の目を見るのが辛い。
その日、ずっと一緒に仕事をした。彼は、その間、ずっと固くなったままだった。彼は、居心地が悪そうにしていたけれど、でも、ずっと、完全に紳士として振舞っていた。私は、彼の視線に体を焼かれ、貫かれているような気持ちだった。でも、彼は、何らかの点で性的とみなせるような発言もほのめかしも一切行わなかった。私はびちゃびちゃだったのに。