僕は背中に手を回し、ブラジャーを外そうとしたが、ドナはそれを止めた。
「そのままで、上に服を着てくれる? あなたが服の下にそれをつけていると思うだけで、あそこがトロトロに濡れちゃうの」
僕は、ドナに従って、ブラの上にシャツを着て、整えた。シャツの下、胸のラインがはっきりと見えていたことだろう。さらにパンティやストッキングもそのままに、その上にジーンズを履き、チャックを上げた。そして、ソックスに手を伸ばした。
「それは不要じゃない?」
ドナはそう言って、僕のソックスや下着をバッグの中にしまってしまった。
ストッキングのまま、テニス・シューズに足を入れたが、なんか変な感じだったし、ゆるい感じもした。ドナは、外したタグを集め、試着室のドアを開けた。支払いをするため、カウンターに向かった。レジにいたのは、先ほどの店員とは別の店員だった。ドナにタグを渡され、それに目をやった。
「まあ、あれを着ることになさったんですね?」 と売り子はドナの顔を見ながら言った。「着ていらっしゃった衣類のためのバッグを差し上げましょうか?」
「ええ、お願い」
ドナはそう言い、紙袋を渡されると、バッグから僕の下着やソックスを取り出し、その中にタグと一緒に入れた。
売り子は、BVDや男物のソックスを見て、眼を丸くしていた。ちらりと僕の方を盗み見し、すぐに僕のシャツの下、ブラジャーの線が出ているのに気がついたようだった。売り子は冷静さを装いつつ、下着類のレジを打ち、ドナにレシートを渡した。
「あのアンサンブルはとても素敵です。きっと、喜んでいただけると思いますわ」 売り子は横目で僕を見ながら、にっこりと笑みを見せた。
僕は顔を赤らめ、何と言ったらよいだろうと、焦った。
ドナは、僕を救うためだと思うが、売り子に笑みを返して返事した。
「ええ、彼女は喜ぶはずよ。それに、私も」
そして僕たちは、さっと向きを変え、店を後にした。