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ポルノ・クイーンの誕生 第5章 (10) 


マリアはプレートにレタスを並べ、その上にツナサラダを山盛りに乗せた。そして、さくらんぼ、トマト、きゅうりのスライス、みかんの房を添えて飾る。マリアがそれをしている間、私はフォーク類と、ワイングラスを6つ取り出した。マリアはワインを飲むことになるとは言っていなかったけれど、多分、飲むことになるだろうと私は思っていた。

プレートの盛り付けが終わり、私はマリアに訊いた。

「ワインは、どんなのがいいかしら? それと、トレーシーがヘレンのことを求めていたって知っていた?」

マリアは冷蔵庫からワインを3本出しながら答えた。

「あら、ちょっと焼餅? その質問への答えは、ノーね。私は知らなかったわ。でも、そうじゃないかなとは思っていたけど。実際、今日までトレーシーがヘレンに誘いをかけていなかったことの方に驚いているのよ。多分、ヘレンがあなたと楽しんだという事実で、ヘレンにはバイの気があるのがはっきりしたと感じたのじゃないかしら。それがなかったら、トレーシーも、ヘレンに接近しても、どういう受け取られ方をするか自信がなかったんだと思うわ」

私はワインのボトルを開けながら答えた。

「もちろん、ヘレンは、私のことを気に入ってくれたのだから、バイの気がなくちゃおかしいわね」

「もちろん、そうね。でも、ヘレン自身はそのことに気づいていないかもよ。人の気持ちはデリケートなものだというのを忘れないこと。ストレートの男や女の子だと、あなたを見て、男だと言うでしょう。たとえ、あなたが女の子のように見えて、女の子のように振舞って、女の子のような服装をしていても。あなたが実際は男だと示すものは、あなたの足の間にぶら下がっているものだもの。ストレートの人は、そこを見て、あなたは男だと言うわけ。バイの人も、それを見るけど、そこから、女の子になろうとしている男の子の姿を見出すのよ。どっちの人がどこに眼をつけるかにかかわらず、私たちにとっては、セックス・パートナーになる可能性がある人には変わりないわ。ヘレンは、あなたを女の子として見てるけれど、ストレートの心もあって、それはあなたを男として見ている。どちらの見方をされても、あなたの場合は大丈夫よ」

私はマリアの言うことを理解した。それに、トレーシーが、ヘレンにはバイの気があると知るとすぐにヘレンのことを誘う気になったことも理解した。

「でも、トレーシーとヘレンはバイセクシュアルだと知っていた?」

「そうねえ、トレーシーはそうだとは確信していたけど、ヘレンについては、あなたと寝るまでは分からなかったわ」

「私はトレーシーがバイだとは気づかなかった」

マリアは笑い出した。

「えーっ、どうして気づかなかったの? いいこと。普通のポルノ映画では3つのことが起きるものなの。一つは、女の子がおしゃぶりをして顔にスペルマを振りかけられること。2つ目は、その娘はバギナを犯されることになるし、アナルもされちゃうの可能性も大きいこと。そして、3つ目には、映画にもう一人、女の子が出ているなら、その女の子ともすることになること。だから、そもそもバイセクシュアルでない娘だったら、この業界では長続きできないものなのよ。そして、トレーシーの場合、もうたくさん映画に出ているわけだから、彼女がバイセクシュアルでないはずがないのよ。それに、そうじゃないとしたら、どうして私やあなたをそばに置いておくと思う? トレーシーは私たちと一緒だと、ストレートとバイの両方の世界の美味しいところを楽しめるからなのよ」

[2008/06/09] 本家掲載済み作品 | トラックバック(-) | CM(0)

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