その日、陽が沈みかかる頃に、キンバリーがやってきた。スティーブは、玄関前の通路に車が来た音を耳にし、玄関を開け、右手にいっぱいになったスーパーの買い物袋を提げて、ポーチに駆け上がってくる彼女を見たのだった。スティーブを見たキムは、彼の腕の中に飛び込むようにして抱きつき、熱のこもったキスを彼にした。
「私にもキスして!」
「はあ?」 からかい気味にスティーブは答えた。「なぜ僕が君のことを恋しいと感じなくちゃいけないんだい?」
キムはわざと膨れっつらをして見せ、素早くスティーブの股間に手を伸ばし、握った。半立ちになっているのを知り、キムは質問しなかった問いに対する答えを得た。そして、にっこり笑顔になり、嬉しそうに、もう一度、握りなおした。
スティーブは、素早く身を引き、キムの手を引っ張って家の中に入れ、ドアを閉めた。近所に住む人が目撃し、スティーブの軽率な行動を報告する機会を窺っているかもしれないのだから。・・・誰に報告するのか分からないが。
キンバリーの熱のこもった挨拶は、伝染性があって、さっきまで陰鬱になっていたスティーブも、さっと気が晴れていた。もっとも、嫌な思い出や、メランコリーになっていた理由などは、心の片隅に留まったままではあるが。
「昨日の夜は、どこに行ったんだい? 両親の家?」
「うふふ・・・ママもパパも、明るい瞳をした、こんなに可愛い娘が、この街に帰って来てることすら知らないわ」
彼女の口調には、ほんの少し棘があったが、スティーブはそのわけが理解できなかった。だが、そのことを追求する時間はなかった。問いかけようとすると、再びキムの唇が迫ってきて、口を塞がれたからである。
「オースティンの大学寮に戻っていたのよ」
後に、彼女は、照り焼きチキンとポテト・サラダを食べながら説明した。
「ポルノ、好きよね?」
スティーブは頷く他なかった。実際は、それほどポルノが好きというわけではない。だが、アダルトショップから買ってきたビデオがある。昨夜、リビングのコーヒーテーブルの上に放置し、それをキムに見られたのだ。今更、あまり好きじゃないと言っても、キムには通じないだろう。
「でね? 今夜、一緒に見ようと思って、良い感じのポルノを持ってきたのよ」
艶かしく誘うように、そう言いながら、立ち上がり、スティーブの膝の上に腰を降ろした。そして、ねっとりとしたディープ・キスをしてくる。何分にもわたるキスが続き、スティーブは、空気を吸うために、やんわりとキムを押して離さなければならなかった。
キスの後、彼女が跳ねるように立ち上がり、彼の手を引いて立たせても、抵抗できず、されるがまま立ち上がる他なかった。キムに連れられ、リビングへと入る。彼女はソファに腰を降ろした。
「これ、持ってきたの。一緒に見よう?」
嬉しそうに、せがむ。キムは頬を赤らめ、興奮していた。早くも乳首は固くなっているようで、バギーのスウェット・シャツの上からも輪郭が見えていた。それに息づかいも乱れている。
スティーブは無言だったが、彼の返事は顔に浮かんでいて、キムはそれを読み取った。ビデオカセットを入れてきたビニール袋をテーブルに放り投げ、楽しくて仕方ないと言わんばかりの様子で、ビデオのラベルを見る。その中から1本を選び、踊り跳ねるようにしてビデオが置いてあるところに行って、カセットを入れた。そして、いそいそとカウチに戻ってきて、スティーブの隣に座る。キムは彼の手を取り、自分の脚の付け根にあてがった。すっかり興奮しているらしく、すでにスウェットパンツのその部分はすっかり湿っていた。