ビデオは、厳密に言って、素人作品と言えるものだった。導入部分は一切なく、いきなり本篇が始まった。突然、大音量の音楽が鳴り出し、スティーブもキンバリーもびっくりした。キムはリモコンを取り、ボタンを押して音量を下げた。
性的に興奮しているキムに対して、スティーブも仕方なく興奮して見せていたが、それでも、どこか後ろめたいところがあった。本当に自分は、義理の妹と深い間柄になりたいと思っているのだろうか。よく分からない。何か正しくないことのように感じていた。キムがポルノに夢中になっていることに、むしろ興ざめする思いだったし、状況がますます制御できなくなっているのを感じ、腹の奥底に不快感が湧いてくるのを感じていた。だが、この状態を正すにはどうしたらよいか、スティーブには分からなかった。
画面に映ったシーンは、パーティのシーンだった。大音響の音楽がリビングルームを満たしていたが、その速いテンポのテクノ音楽は、画面の中の行為にふさわしい。狭い部屋と隣接する小さなプールを舞台に、6組ほどの男女が、ペアで、あるいは3人組で行為をしているのが見える。全員が全裸だったが、一人だけ、背が高い赤毛の女の子だけは、ブラウスを着たままだった。とはいえ、ブラウスを除くと何も着ていない。
リズミカルに動く男たちの尻が次々と映し出され、それぞれの男根が、相手とする女たちの女陰に打ち込まれる様子が画面を満たす。男たちのピストン運動は、例外なく、速いピッチで、荒々しく激しいものだった。女たちは、乱暴に打ち込まれるたびに、痛々しいほどに体を揺さぶられていた。だが、それに抵抗する女は一人もいなかった。どの女も、このような荒々しいセックスを歓迎している様子だった。
カメラが右に動き、画面がプールサイドの空気マットで行われている3Pをとらえた。カメラマンは、そこにズームしていく。中心となっている女の子は、四つん這いになっているが、手は、片手だけマットにつけていて、もう一方の手は大きな男根を握り、それを夢中になってしゃぶっていた。彼女の背後には、痩せた、年若の男がいて、陰部に出し入れを続けている。
その女の子も、自分でも少し動いていて、後ろから突き立てる男に尻を打ち返していた。彼女は、咥えていた肉棒を口から離し、後ろを振り返って、男に何か指示を与えた。そして、カメラに撮られているのに気づき、嬉しそうににやりと笑い、淫らに舌舐めずりして見せた。
「何てことだ・・・」
スティーブはつぶやいた。その女の子はキンバリーだったのだ。男たちの方には、知ってる者はいない。彼の隣りに座り、一緒に画面を見ながら、キンバリーが、くすくす笑った。楽しそうに。
「なかなかのもんでしょ?」 息を弾ませている。
スティーブは画面に見入った。乱交を行っている女性は、彼が知っている、あの愛らしく、快活なチアリーダをしていた高校生ではなかった。画面の中の女は、激しいセックスに狂った獣だった。あの無邪気で可愛い女の子はどこに行ってしまったのだろう? こんなのは間違っている。だが・・・興奮をもたらすものでもあった。徐々に、画面の中で二人の男に弄ばれている女が、自分の義理の妹には見えなくなっていった。ただの、性欲処理のための道具としか見えなくなっていく。
ビデオの中、乱交は続いていた。プールサイドのキンバリーの身体を分かち合う男は、今や、さらにもう二人加わり、4人になっていた。新しく加わった男の一人が、プレートを差し出した。キムは、指で片方の鼻の穴を塞ぎ、もう一方を使って、プレートに線状に置かれた白い粉を一列分、吸入した。その後、四つんばいの姿勢から身体を起こし、ひざまずいたまま、少しじっとし、吸入直後の陶酔から回復するのを待っている。スティーブの隣に座るキンバリーは、嬉しそうにハミングしながら見ている。
「やりたくなったら、いつでも私にやっていいのよ。分かった?」
スティーブは唸り声をあげ、曖昧に返事することしかできなかった。