フロントへと向かうと、ある女性がいて、デスクに座る受付に話しかけていた。帰るところだったようで、俺より先にドアを出た。彼女は俺のためにドアを押さえて開けたまましてくれた。振り返った彼女を見て、その女性が、俺が住む区域に住んでる人だと分かった。
「あら、こんにちわ」 その女性は、笑みを浮かべて、俺に声をかけた。
そして、俺は彼女と一緒に駐車場へと歩いた。さっき彼女は笑みを浮かべたわけだが、どことなく、ビクビクした笑みだったように思う。彼女の名前は知らない。俺も妻のベスも、いつも彼女のことをジャクソン夫人と苗字で呼んでいた。多分、40代位の年齢で、俺やベスより10歳は年上だろう。
「ねえ、ちょっと聞いて・・・」 ジャクソン夫人は歩きながら話し始めた。「・・・このこと、うちの夫には喋らないでくれる?」
変なことを言う。病院の診察室で俺が見たことのことを言ってるのだろうか?
「ほんとに喋らないで! いい?」
ひどく必死になってるように見えた。
「ああ、喋りませんよ」
そもそも、ジャクソン氏とも、この奥さんとも、めったにお喋りしない俺だ。今日のことを喋らないことなど、何の問題もないことだった。でも、何を喋って欲しくないと言ってるんだろう? 奥さんがここにいたということか?
奥さんは俺の腕を掴んだ。
「お願い! いい?」
まるで俺の言葉を信じていない様子だ。だが、どうして彼女がそう考えるのか、俺にはさっぱり分からなかった。
「本当に、喋らないで欲しいの!」
今にも泣き出しそうな顔をしている。
「喋りませんよ! そう言ったじゃないですか」
「本気で頼んでいるのよ! ちょっと、こっちに来て!」
まだ、心配しているような口ぶりだった。奥さんは俺の腕を引っ張って、また建物の方に戻った。だが、中には入らず、建物の裏手へと行く。こういう状況には俺はまったく不得手だ。奥さんに従って、ただ一緒に行くしかできなかった。
ジャクソン夫人は裏手に回ると急に立ち止まった。
「私、本当に必死になっているの。本当にお願い。絶対に喋らないで!」
「いいですか、ジャクソンさん。何の心配も要りませんよ。実際、俺はそもそも旦那さんとお喋りすることなどないんですから」
そう返事している間も奥さんは俺の腕を掴んだままだった。だが、それに加えて、俺たちが来た方を振り返ったり、建物の向こう側を見たりしている。俺たちは、建物と高いフェンスの間の位置にいた。
すると、突然、ジャクソン夫人は、俺の前にひざまずき、俺のズボンのチャックを降ろし始めたのだった。そして、懇願するような目つきで俺を見上げながら、俺のペニスを取り出し、口に咥え込んだのである。俺はあわてて、さっき奥さんがやっていたのと同じように、辺りを見回した。誰からも見られていない。