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ポルノ・クイーンの誕生 第6章 (1) 

「ポルノ・クイーンの誕生」 第6章 

次の水曜日、私は2回目のグループセラピーの集まりに出かけた。はじめの1時間、私は、年下の男の子の話しを聞いた。彼は、自分のこれまでの人生がいかに悲惨で、いかに両親がひどい人間だったかを語っていた。でも、私にしてみれば、彼の両親はまったくひどい人間なんかではないと感じた。なるほど、彼の父親は、息子が女装するような人間になるのを望まなかったのだろう。その不満は私にも理解できる。でも、彼は父親に殴られたりしたわけではない。それにこの男の子の話しぶりからすると、彼の父親は充分、彼を愛していると、私には思われた。

なぜ、そんなことをしたの、と訊かれても困るけれど、私は、その男の子に食って掛かったのだった。ちゃんと父親に愛されているので幸せだよと、むしろ両親に感謝すべきだよと言ったのだった。さらに続けて、私は、自分の父親に愛されておらず、一度も父親に抱かれたことも、触れられたことすらなかったと訴えたのだった。集まりの最後の方では、私は目から涙を流していた。

エーカーズ先生にオフィスへと連れられながら、私は、小さな女の子のようにめそめそ泣いていた。先生は私が泣き止むまで私を抱きしめてくれた。そして、ようやく泣き止むと、「先週も言ったけれど、集まりに出たくなかったら出なくてもいいのよ」と言ってくれた。

私自身が集まりに出たい出たくないにかかわらず、私はこれからも出席するつもりでいた。先生にホルモンの注射を受け、病院を後にした。多分、集まりで泣き出してしまうのは、今回が最後というわけではないだろうなと思った。

実際、それから3ヶ月間、私は誰の話しを聞いても、泣き出したい気持ちになったのだった。たいていは、自分を抑えることができたけれど、病院を出て車に乗り込んだとたん泣き出してしまうこともあった。

次の1ヶ月、私の生活はあまり変化がなかった。毎週、金曜日にはヘレンとデートを繰り返した。映画を見に行く時もあれば、ダンスをしに行くこともあった。私は、男の子だった時分にはダンスをしたことがなかったので、最初にダンスクラブに行った時は、おどおどしっぱなしだった。ヘレンに教わって、音楽に合わせて身体を揺らしたけれど、いつの間にかそれらしいダンスを踊れるようになっていた。

最初の1ヶ月が過ぎる頃には、自分の身体にわずかに変化が生じてきていることに気づいた。乳首が少し大きくなってる感じがしたし、乳輪も広がってる感じがした。それに気づいたのは私だけだったので、他の人には何も言わなかった。多分、期待感からそんな気になっているのだろうと思った。ただ、一つだけ確かなことがあって、それは乳首がいつも痒い感じがしていることだった。それに、他の人に愛撫された時など、以前よりずっと敏感になっている感じがした。

ちょうどこの頃、ローレルがトレーシーとマークの家から引っ越した。カリフォルニアで暮らすことに決めたらしい。そちらの方が映画産業が盛んだからとのこと。それに加えて、ローレルは、ある男性と出会って、恋に落ちたのだった。彼女が出ていた映画のセットで知り合ったらしい。二人は一緒にカリフォルニアに引越し、そこで一緒に映画を作っている。

2ヶ月目が終わる頃には、常時コルセットをつけていたおかげで、身体に変化が出てきたことに気がついた。初めてコルセットをつけたときのような、キツク締められる感じがしなくなっていたのだ。

最初、体重が減ったせいでそう感じたのだろうと思った。基本的にベジタリアンの食生活を送っているので、体重は7キロくらい落ちていた。そのせいで、コルセットを締めるとき、マリアにレースをきつく引っ張ってもらわなければならなくなったと思っていた。

でも、ある日、鏡の前に立ってみると、ウエストのところがキュッと引き締まっていることに気がついたのだった。それほどはっきりと分かるわけではないけれど、確かにカーブができてる。でも、気づいた変化はそれだけではなかった。

お尻も前より素敵になっていたのである。もともと女性的なお尻をしていたけれど、今は、はるかに女っぽくなっていた。前より、キュッと締まり、セクシーに突き出る形になっていた。

胸も変わってきていた。乳首を見ると、長さが出てきていたし、乳輪もはっきりと大きくなっていた。さらに乳首の回りに脂肪の組織ができつつあるのにも気づいた。まだまだブラジャーをつけるには充分ではないけれど、大きくなっているのは事実だった。

他にも変化があった。例えば髪の毛。髪の毛の質が変わってみたいで、感触が違っていた。前よりふさふさになっている気がした。散髪に行ったとき、フレデリックも私の髪の毛の変化に気づいた。それから、脚も。2ヶ月前よりずっと細くなり、形も良くなっている。

[2008/09/19] 本家掲載済み作品 | トラックバック(-) | CM(0)

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