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デス・バイ・ファッキング 第3章  (8) 

私たちはおしゃべりをした。私はこの男のことを知りたくなっていた。たったひと夜で私という女の存在の中心を占めてしまった、この素敵な男について。

彼はオハイオ出身だった。ヤングスタウン州立大学の出。彼はコンピュータ・サイエンスを専攻していたとばかり思っていたが、それは間違いだった。なんと、歴史学の専攻だったのだ。アンドリューは、まさしく、驚きが際限なく湧き出る井戸のようなもの。すべて、嬉しい驚き。彼が何かを話すと、私は何か新しいことを知る。彼は何でも知っている。

当然、私は質問をした。

「学位が歴史学なのに、どうして、コンピュータをしているの?」

アンドリューは、まるで他人事のように肩をすくめて見せた。彼にとっては、たいしたことではないのだろう。

「僕が最初にコンピュータを組み立てたのは、8歳の時だったんだ。ただ部品を集めてつなぐだけ。その手のコミュニティーに入っていけば、いろいろ知識を分けてもらえる。高校を卒業する前に、僕は、やろうと思えば、僕が知っている大半のIT関係の部局を運営できる技術を身につけてしまっていた。自分で習得できることを求めて、わざわざ学校に行くというのも馬鹿ばかしいし」

もう一つ、当然と思われる質問をした。

「どうして歴史学なの? 一体、歴史を学んで何をしようと?」

「ああ・・・僕は、どの専攻にするかは、あんまり関係なかったよ。僕が興味があったのは、主に、自分の知識で、空いている部分を埋めることだった。世界に対する僕の理解で欠けている部分だ。そこで、僕は人文学を取った。考える能力というのは、死に掛かっている技になっているからね。特にアメリカでは。アメリカは、権威筋が、我々が考えるべきことをすべて決めてしまおうとする国だから」

「アンドリュー? 私はベッドでは政治のことは話さないことに決めているの」

彼は済まなそうに微笑んだ。

「ごめんなさい、ディアドラ。ちょっと調子に乗りすぎてしまったみたいだ」

アンドリューに、他の興味のことを訊いた。彼はすべてに興味を持っている。彼は、概略的ではあれ、無限とも言えることに知識を持っていて、自在に操っているように思える。ベティ・フリードマン(参考)の言葉までも引用していた。そんなことができる男性はどれだけいるだろう? どうやって、これだけの情報を一つの脳の中に収めていられるのだろう? どうやって、こんなに容易く、情報を引き出せるのだろう? 彼は、返事に詰まるということが決してなかったと思う。

そこで彼に訊いてみた。

「こんなにたくさん、どうして知っているの? 知っていると、どんな良いことがあるの?」

アンドリューは笑い出した。

「アハハ。多分、僕の脳みそが、完全に役立たずな情報の倉庫になってるからだね。読んだものは、ほとんどすべて覚えているんだ。どうしても覚えてしまう。それは、才能なんかじゃなくって、むしろ呪いみたいなものだよ。役に立つとすれば、ジョパディ(参考)をするときくらいなもの。プロリーグがあれば、プロのジョパディ参加者になれて、金儲けができるかもしれないんだけどなあ。NBLのようにNJLってナショナル・ジョパディ・リーグが発足するのを、心待ちにしているんだ。そうしたら、僕は、ドラフトの初回から指名されるはず。アンドリュー・アドキンズのNJLカード付きの風船ガムが売り出されるはず」

彼は、こんな他愛ない想像を語っていた。話自体は分かるけど、ほんとに馬鹿げた想像。彼はどうしてこんなことを思いつくのだろう。可笑しくて仕方ない。

[2008/10/30] 本家掲載済み作品 | トラックバック(-) | CM(0)

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