それまで、レオンは、一突きごとにズシリズシリと力を込めて打ち込んでいたが、やがて、その動きに速さも加わり、激しい打ちこみの連続に変わっていた。そして、イサベラも、自らその速さに合わせようとしているように、ああっ、あっ、あっとリズミカルに声を上げ、応えてた。
イサベラにとっては、すでに、レオンの抽迭が生み出す叫び声を上げたくなるような緊張感以外、一切、何も意味がないように感じられていた。しきりと白肌の女体をくねらせ、腰を自ら突き上げ、打ち込みに応える。レオンが、ケダモノの持つ狂気に駆られたように、繰り返し、繰り返し、腰を打ち据えるたびに、その極太に体を引き裂かれんばかりになりつつも、体内には、極上の甘美な苦痛の炎が燃え上がる。
やがて、イサベラは、レオンの分身がヒクヒクと動くのを感じた。と同時に、下腹部の奥で、快感が渦巻き始めるのを感じた。その間も、レオンは突き入れを繰り返し、彼女を新たな頂点へと容赦なく引き上げ続け、登りつめらせたのだった。
*
イサベラは、再びオルガスムの大波に洗われていた。強烈な快感に、彼女はもはや我を忘れ、体を小刻みに震わせ、痙攣を繰り返してた。それと同時に、彼女の狭い肉筒は強烈な収縮を始め、レオンの分身をきつく絞り始めていた。
「くっ! くうぅぅぅッ!!」
思わずレオンは苦しそうな叫び声を上げ、イサベラにのしかかったまま、その巨体を強張らせた。
次の瞬間、イサベラは、レオンの分身が体内で噴射を始めたのを感じた。ビクンビクンと痙攣がおき、粘着性のある熱いものが噴き出し、子宮の奥壁に当たるのを感じた。それと同時に、レオンの重たげな巨体が、がっくりと彼女の体の上に崩れ落ちた。
イサベラは、過度の興奮に、レオンが彼女の肩の白肌に熱っぽくキスをしていることに、ほとんど気づかなかった。彼の体の下、じっと動かぬまま横たわり、二人の呼吸が平静に戻るのを待っていた。もはや、純潔を強引に奪われた囚われ人の反応ではなかった。
体を重ねたままぐったりと横たわる彼女の脳裏に、なぜか、どこか不安感を感じさせる思いが浮かんでは消えていた。父親の思い出だった。
父のことについてはほとんど思い出がないが、ただ、毎晩、就寝時に部屋に来ては、自分が銀色のブラシで長髪をブラシするところを見ていたのを思い出す。時々、ナイトガウンを脱いで、ブラシを100回するまで数えてくれないかと頼まれたこともあった。そういう時、鏡に向かってブラシをかけながら、鏡に映る父が奇妙な手つきで自分自身の体を触っているのを不意に見かけ、不思議に胸が締め付けられるような感覚になったことを思い出した。
イサベラは、レオンが、汗まみれの二人の体の間に手を割り入れ、二人が結合している部分を触れたのを受け、あッと声を上げた。反射的に、レオンの顔を見、二人の視線が会う。その瞬間、二人とも、レオンが彼女の奥へと放った子種液が目的地に到達したかもしれないことを悟った。イサベラのモス・グリーン色の瞳に恐怖の陰が現れる。
「恐れて当然だな」
レオンは、そう言って、イサベラの口に口を寄せた。強引にキスを受けさせる。赤毛の髪に指を絡ませながら、彼女の頭を自分の顔へ引き寄せ、彼女の潤いのある口腔へ舌を差し入れた。イサベラは、小さな手をためらいがちに宙で振って見せ、抵抗を示したが、やがて、力をなくし、レオンの胸板にあてがうだけになった。
キスの後、レオンはイサベラから抜け出た。イサベラは、熱を帯びた鞘から柔らかくなった彼のペニスがヌルリと抜け出る感覚に、小さく体を震わせた。
レオンは、立ち上がり、裸身で横たわったままのイサベラを見下ろしながら、皮のズボンのベルトを締めなおした。恥ずかしさのあまり、イサベラは顔を背けた。レオンはイサベラを犯すとき、服を脱ぐことすらしていなかったのである。
服を整えながら、レオンは、ブーツのつま先で、イサベラの濡れた陰部をなぞり上げた。二人が出し合った体液で彼女の陰部はキラキラと輝いていた。恥辱的な行為をされ、イサベラは、髪に顔を埋もれさせ、弱々しい声を上げた。
彼女の惨めな様子をあざ笑いながらレオンが言った。
「くっ、くっ、くっ・・・たとえお前の心がわしを拒絶しようとも、お前の体はわしに触れられることを願って疼いているのだ。間もなく、お前の心もわしに支配されると思うことだな・・・」
ブーツのつま先にクリトリスを掻き上げられ、イサベラは体を反らせた。
「・・・その体が支配されたのと同じように」
そう言ってレオンは部屋を出た。
曲がり階段を駆け降りながら、レオンは、どうしても、ある思いが頭をよぎるのを防げなかった。つまり、あの喜ばしい捕虜がすぐに妊娠してしまうことがないと良いのだがという思いである。
ともかく、28年間生きてきて、これほど仕事から気を逸らされてしまう気持ちになったのは彼にとって初めてのことだった。あの美しい囚われ人の、咥えこんで離さない、きつい肉筒。そこに何度でも繰り返し分身を突き入れたいという強烈な欲望。これは初めてのことだった。そして、レオンには、その欲望は復讐心とはまったく別であるということが理解できていた。
つづく