2ntブログ



無垢の人質 第4章 (1) 

「無垢の人質」 第4章 Innocent Pawn Ch. 04 by wishfulthinking

彼女は、鋼鉄のドアの陰に立ちながら、おののき震える呼気を鎮めようと努めていた。震える手に太いロウソク立てを握り締め、頭上高く掲げていた。

あの男が自分の体内に子種を仕込み、自分を餌として使い、父を隠れ家からおびき寄せる計画を持っている。いまや、その事実を知った以上、彼女にはたった一つしか選択肢はなかった。あの男から逃れなければならない。

不注意な召使が置き忘れていった小さなスプーンを使って窓の鍵を外そうとしたが、それも無駄だと知り、見切りをつけていた。この塔の滑りやすい石壁を無事に這い降りことなど彼女には不可能だった。それに、たとえ、それができたとしても、見つからずにそれを成し遂げるチャンスはほとんどなかった。

それを諦めた後は、召使たちのことへ思考を向けた。召使は二人いる。朝と昼は年老いた女がいて、夕方は年少の若者がいる。男である若者の方が、体格的に、打ち負かすのが難しいかもしれないが、それでも、彼の方が最善の選択肢だった。女の方は、召使であるにもかかわらず、自由な時間にこの邸宅を出入りしているのを目撃している。あまりにも謎が多すぎる。

そこで、空が暗くなるのを待って、彼女はドアの陰で固唾を飲みながら待ち続けたのだった。そして、とうとう、かんぬきが引き外される音を聞いた。その時が来たのだと分かる。

ぎしぎしと音を立ててドアが開らき、食べ物を乗せた円皿がドアの向こう側から現れるくのを見て、彼女は心臓は高鳴り、喉から飛び出そうになっていた。彼女は、若者が、いつものように、前屈みになって、ドアのそばにある小さなスタンドに食料を置くのをじっと待っていた。疑いを知らぬ若者は、彼女がいる部屋の内側に背中を向けるはずだった。その時こそ、ろうそく立てを打ち降ろすつもりだった。

ただ一つ、普段と違っていることがあった。いつもの召使ではなかったのである。大きなブーツでドアを蹴って閉め、振り向いた顔に、あの燃えるような琥珀色の眼があったのである。その眼は、全裸のまま、間に合わせの武器を頭の上に掲げ、震える彼女の姿を捉え、険悪そうに細まった。彼女は、立ち尽くし、凍りついていた。モスグリーンの瞳は見開いたまま、恐怖の表情を湛えている。

彼は、注意深く顔の向きを変え、円皿をスタンドに置いた。そして彼女は恐怖に満ちたまま、ろうそく立てを降ろし、胸に抱きしめた。彼がゆっくりと体の向きを変え、彼女と対面すると、しっかりと握り締めたままの彼女の指からろうそく立てをいとも容易く奪い取り、無造作に床に投げ捨てた。そして彼女の前にそびえ立ち、見下ろした。

二人の間に沈黙が続いた。その間、レオンの琥珀色の眼は猛々しい表情を増しつつ、イサベラの裸体を我が物のように彷徨い続けた。

「はっ!」

イサベラは息を飲んだ。突然、レオンに担がれたからである。まるで体重などないかのように、軽々と彼女の裸体を肩に担ぎ上げた。イサベラの赤い長髪が滝のように流れ、彼のかかとに届く。それとは反対に、ピンク色の秘肉もクリーム色の尻頬も、高々と宙に上がった。

レオンは、イサベラを担いだまま、部屋を出て、らせん状に延々と続く石段を降り始めた。毅然とした面持ちで、無言のままだった。見張りの役務についている兵士たちを唖然とさせつつ、その前を通り過ぎ、好奇の目で見る召使たちが詰めている厨房の中を進む。だが、誰も主人であり王であるレオンに問いかけようとするものはいなかった。

イサベラは、レオンが歩み進むのにあわせて体を揺さぶられながら、その恥辱に涙を流し、逆さに垂れ下がる髪を濡らしていた。頭を逆さにされ、レオンがどしどしと歩むたびに、めまいも感じていた。彼女にとって永遠とも思える恥辱の時間の後、ようやく、レオンは歩みを止めた。堅牢な鋼鉄の扉の前だった。イサベラは、鍵を鍵穴に指し込むような金属がこすれあう音が聞き、レオンの足が扉を蹴り開けるのを見た。

扉の向こう、細く続く階段が見えた。だが、すぐにレオンは扉を蹴って閉めてしまい、その後は、まったくの暗闇になってしまった。レオンは、片方の肩を壁に擦らせながら、それを頼りに、ゆっくりと階段を降り始めた。

階段を降り切り、歩みが一定になると、くぐもった啜り泣きの声がイサベラから漏れ始めた。レオンの歩みはゆっくりとしており、まるで頭の中の地図にしたがっているように目的地がはっきりしているようだった。

突然、レオンがイサベラを肩から降ろし、何か棚かテーブルのようなものに座らせた。熱を帯びた彼女の裸の尻肉が、突然、冷たい石の台に当てられ、びっくりしたイサベラは悲鳴を上げた。


[2008/12/18] 本家掲載済み作品 | トラックバック(-) | CM(0)

コメントの投稿















管理者にだけ表示を許可する