ブリイは、体から、乾いてごわごわになったスペルマを洗い落とし、ホテルに備わってるわずかな化粧品を使ってできる限り、身だしなみを整えた。与えられたアンダーシャツを着て、できるだけ肌を隠そうとした。だが、そのシャツでは、たいしたことはできなかった。かろうじてお尻は隠すことができただけ。張りのある大きな乳房は、着古したシャツの首元のラインから、盛り上がっていたし、両腕の脇の下からもはみ出ていた。出来上がった姿を鏡で見て、ブリイ自身も、かなりセクシーに見えてるかもしれないと思った。
「時間だ! 出て来い!」
ストーンに、そう声をかけられ、ブリイは、どうか、あまり手荒く扱わないで欲しいと願いながら浴室から出た。
網目のストッキングと靴だけは、もともと、自分が履いていたものが落ちていて、それを履いた。ストーンたちも、ブリイの変身に目を見張った。
早速、ストーンら4人の男は、ブリイを連れてニューオリンズに向かった。ストーンは、途中、ガルフポート(
参考)に立ち寄って、ちょっとギャンブルをすることに決め、彼の友達であるブルーノが雇われているカジノに車を止めた。
ストーンはブリイをブルーノに預け、カジノのテーブルへと向かった。ブルーノは、早速、ブリイを、たいていの客には立ち入り禁止となっている部屋へ連れて行き、仕事をさせた。
「ここで待ってろ。誰が入ってきても、気持ちよくもてなしてやるんだぞ」
ブリイは、説明されずとも、それがセックスすることを意味しているのだと分かった。
ブリイは、その部屋に6時間いた。加えて、1時間、売春をした。客を取る合間に体を洗うのは許された。ブリイ自身、驚いたことだが、彼女は、体を売らされているにもかかわらず、セックス自体は楽しいと感じた。それでも、心のどこかにはビリーがいつも引っかかっていた。もはや、相手をビリーと思い込んでセックスすることはなくなっていたが、いつの日か、ビリーが自分を見つけ出し、故郷へ連れ戻してくれると期待していた。逃げ出すことも考えたが、ポン引きの元から逃げようとして、ひどく殴られた女の子たちの話しを聞かされていて、怖くてできなかった。
ブルーノはブリイの働きぶりに非常に満足し、ストーンに対し、3000ドルでブリイを譲り受ける取引をした。
続く1週間、ブリイはブルーノの元で売春をし、また様々なパーティに貸し出された。ブルーノはブリイに優しく接したが、彼女を独りにすることは決してなかった。常に誰かがブリイに付き添い、ブリイがちゃんと仕事をしているか、確かめていた。そして、実際、ブリイの仕事振りは見事なものだったのである。ブルーノは、たった3日ほどで、投資した額を容易く回収していた。
その1週間、ブリイは、たいていの女性が一生の間に行うセックスよりも多く、ブルーノの客たちとセックスをした。毎晩、彼女は、身も心も疲れ果てて眠りにつくのだった。
その週の最後の日、ブルーノがブリイに、大金持ちの客が街に来て、望みの女を捜していると言った。その客は、マジックミラーを通してブリイの姿をチェックできたらしい。そして、ブリイで良いだろうと言い、5000ドルで買い取るとブルーノに言ったそうだ。だがブルーノはその申し出を断った。それくらいの金なら、ブリイなら簡単に稼げるからだ。
「いくらなら良いんだ?」 とその客は言った。
この業界に長いブルーノは、確かにブリイなら大金を稼げるが、こういう仕事をしていると女の質は長持ちしないことも知っていた。
「2万ドルだな」
「1万ドルだ」
「いや、2万だ」
客は、ブルーノは一度言ったら曲げようとしない男だと悟り、2万ドル支払った。
「俺は店の前の車にいる。すぐに、その女を連れて来い」
ブルーノは頷いた。そして客が出て行った後、早速、ブリイを呼びつけたのだった。
「たった今、お前を2万ドルで売り飛ばしたところだ。とっとと、そいつのところに行くことだな」
それを聞かされ、ブリイはがっくりとうなだれた。絶望的な気持ちになっていた。これからの人生、こういうことばかり続くのだろうか? ようやく回りの環境に慣れたと思うと、すぐに売り飛ばされてしまう。そんな人生。