午後も午前とほぼ同じように進んだ。僕たちは、プロジェクトの僕たちの担当部分をまとめ上げる作業をしていて、実に時間通りに進んでいた。僕個人としては、時間通りすぎて不満ですらあった。この仕事には3週間の時間を割り当てられていたが、このままで行けば、そんなに長くはかからないことになってしまうと分かった。ディアドラと過ごす時間が、その分、早くなくなってしまう。
午後の間、何度か、ディアドラは、突然、手を伸ばし、ズボンの上から僕の勃起を触った。エロティックなことのように聞こえるが、しかし、分かって欲しいのは、全然、予想していない時に、突然、誰かに股間を握られるというのは、とてつもなく恐ろしいことだということだ。
やがて、僕は、これ以上我慢できなくなってしまった。ディアドラは僕のあれを握って、軽く絞り、その後、手のひらを使って根元から先まで擦り始めるようになっていた。本当に頭にくる。
いや、正確に言って、僕は怒っていたわけではない。自分のペニスに触れるのが好きな女性に怒る男などいるだろうか。しかし、これをされると気が狂ったようになってしまうのだ。たまりかねて僕は言った。
「ディアドラ! やめてくれないか!」
すると彼女は済まなそうな顔をした。「ごめんなさい。あなたのそれがまだ私のことを求めているかどうか知りたくなってしまうの」
僕は声を和らげた。遠くシンシナティにまで届きそうな大きすぎる声だったかもしれないと心配になった。
「ディ・ディ! 夕方の5時になったら、僕たちはこのオフィスを出るんだ。君のホテルの部屋に直行する。そして、僕は、君が気絶するまでセックスするつもりだ。反論はしないように。その前にお腹がすいてる、などとも言わないように。その気分じゃないのとかも言わないように。セックスの後だったら、君が求めるどんなことにも従う。でも、まずは、僕は君にとことんセックスしなければならないんだ。分かった?」
ディアドラは、真面目な顔で頷いた。「うん、分かった」
「よろしい。じゃあ、仕事に戻ろう」
だが、5時が近づくのに比例して、僕の中、何か圧力のようなものが蓄積していった。ほとんど、怒りに近いものに感じられたが、怒りとは異なるっている。強力な期待感なのかもしれない。そもそも、それが何であるか、僕に分かるはずがない。ともかく、僕は今にも爆発しそうだった。この世の中、ペニスをディアドラの中に埋め込むことだけが、僕の唯一の望みになって頭を占領する。文字通り、それにとり憑かれた状態。
そして、とうとう5時になった。僕はディアドラを急がせたが、彼女自身、すでに分かっていたようだ。僕がどんな状態を続けていたか分かり、僕の心的健康状態のためにも、急ぐべきだと分かっていたようだ。
彼女は会議室のドアまで歩くと、僕の方を振り返った。
「私のホテルに行くまで、ここで10分待っててくれる? いいわね?」
僕は駄々っ子のようになっていた。「ええ? 10分?」 でも僕には、10分が10時間のように聞こえたのである。それほど我慢できない状態だった。
「ええ、10分。ちょっとトイレに行きたいの。死刑囚でも、刑の執行の前におしっこをするチャンスは上げるでしょう?」
「わかった! わかった! 早く行ってよ! そう言っている間にも、10分の割り当てに食い込んでいるんだから」
彼女は僕の頬にキスをし、会議室のドアを開け、外に出て行った。
600からカウントダウンしながら待つと、10分というのは長く感じられる。まるで子供に戻った気分だった。クリスマスの日、父から、朝の7時までは階下に降りてきてはいけないと言われた子供時代。僕たちはいつも6時には起きていたので、時計が7時に向かってゆっくり時を刻むのを見ながらじっと待っていたクリスマスの朝は、死ぬほど長く感じられたものだった。
カウントダウンの数字が1になったと同時に、会議室のドアを出て、ホテルに直行した。もう、体の中が欲求で溢れかえる状態だった。今すぐ、ディアドラが欲しい。彼女だけが欲しい。
ホテルの部屋をノックした。ドアが開く。彼女はシルクのローブだけの姿で、そこに立っていた。僕は素早く中に入り、後ろ手にドアを閉め、彼女を両腕で抱きしめた。