急いで自転車に乗り、家に向かってペダルを漕ぎ出す。かなり夜も更けていて、通りには誰もいなかった。冷たい夜の空気は、むしろ、興奮した身体には気持ちよかった。どうせ、これだけ遅くなったのだからと、夜風を楽しみながらゆっくり帰ることにした。
ペダルを漕ぎながら、俺はすでに次のことを考えていた。あのクラブに入る方法さえあればいいのに・・・。突然、俺は笑顔になっていた。・・・一つ、方法があるかもしれない! ペダルを漕ぐスピードを急に上げる。
家に着き、自転車を草むらに倒し、裏門からキッチンに入った。すでに家は真っ暗で、親たちも寝ていた。電子レンジについている時計を見たら、もう4時10分になっているのを知り、びっくりした。
音がしないようにこっそり自分の部屋へ上がり、パソコンを立ち上げた。邪悪な笑みを浮かべながら、ワープロに打ち込み始める。
「ステファニ奥さんへ 奥さん、この前の夜は、人妻として、やってはいけないことをしてたようだな。奥さんのナイスな写真が俺の手元にあるぜ。でも、あんたがイケナイことをしてるのは、俺にとってはいいことだ。もし、奥さんが俺の指示に忠実に従うなら、奥さんの悪事は誰にもバレないだろう。だが、もし従わなかったら、あんたの旦那にも子供にも、奥さんがどんな淫乱娼婦かを見せてやることになるだろうな。だから、これは奥さん自身の判断に任せる。今日、仕事が終わったら、6000ドルを20ドル札で用意し、茶色の買い物袋に入れろ。そして、その紙袋をシーサイド・ダイナーのトイレの中のゴミ箱に入れてるんだ。それを行ったら、即時、そのレストランから出て行くように。俺の指示に従わなかったら、奥さんの小さな秘密はみんなに知れ渡ることになるだろう。指示に従えば、奥さんの秘密は今までのまま、秘密にしておける。いいな」
俺は、ステファニの名前と住所を封筒に印刷し、手紙を畳み、ブラッドの母親が愛人とセックスしている写真の何枚かと一緒に封筒に入れた。それから、こっそり部屋から出て、キッチンを通り、再び外に出た。
ブラッドの家へ自転車を飛ばす。我ながら、かなり疲れているのに気がついた。脚に力が入らないし、眠たくてしょうがない。
ようやくブラッドの家の前に来ると、いつもはガレージに入っているブラッドの母親の車が家の前に出ているのを見て、驚いた。それと同時に、もっと良いアイデアを思いつく。回りを見渡し、近所の家々がまだ真っ暗なのを確認した後、自転車を降り、車に近づいた。
封筒をワイパーに挟もうと思っていたが、念のためドアを調べてみると、驚いたことにロックされていない。できるだけ音が出ないようにドアを開け、ハンドルのところに封筒を置いた。
再びできるだけ音がしないようにドアを閉め、自転車に飛び乗り、家に向かった。これで、あの秘密クラブに加入することができそうだと夢を見る。後はブラッドの母親が俺の罠に嵌まってくるのを待つだけだ。
家に着き部屋に戻った俺は、倒れこむようにベッドに入り、すぐに眠りに落ちた。
つづく