「誰とやったか知ってるぜ」 第4章
I Know Who You Did Last Summer Ch. 04 by qqnforyou6
ごろりと寝返りを打ち、片目を開けて、何時だろうと時計を見た。「ヤバイ!」と声を上げて、ベッドから飛び上がった。もうすぐ、両親が家に帰ってくる時刻になっていたからだ。
昨夜、ベッドに入ったとき、朝の5時近くになっていたのは知っていたが、こんなに遅くまで寝ていたとは思わなかった。パソコンにスイッチを入れ、立ち上がるまでに、素早くシャワーを浴びることにした。
シャワーから戻り、そこいらに散らかってた服を着て、パソコンの前に座った。メールアカウントがあるウェブ・サイトにアクセスする。案の状、グラフ先生からのメールが来ていた。
「このならず者! 私の家に忍び込み、あんなイヤラシイことをやっておきながら、よくも、いけしゃあしゃあとしてられるわね! 小さな秘密を振りかざして、それをネタに、あんたの病的な歪んだゲームをするなんて、道徳心がひとかけらもないの? 私の結婚指輪はどこにあるのよ? 昨日の夜、それを返す約束だったじゃない? お願いだから、指輪を返して。さもないと、否でも夫に話さなければならなくなるし、警察にも電話しなければならなくなるのよ。簡単な方法があるわ。どこかで会って、そこで指輪を返してくれればいいの。それに同意してくれたら、このことは何も言わないと約束するわ。どこでなら会えるか、場所を指定してくれれば良いから」
俺は、画面を見ながらあきれかえっていた。先生は、いまだに、俺が関係を支配していること、決定を下すのは俺であることを理解していないとは。少し時間をかけてメッセージを考え、おもむろに打ち込み始めた。
「ならず者だって? おいおい、グラフ先生、先生にはすっかりがっかりしてしまったよ。ご主人様に呼びかけるときは、どう言ったらよいか教えただろう? どうやら、もっと調教が必要のようだな。『あんたの病的な歪んだゲーム』と言うけど、俺の見たところだと、このゲーム、先生も楽しんでいたようだぜ。昨夜は、お前のご主人様のおかげで、先生のあらゆる妄想や夢が叶えられたはずだ。お前のご主人様は、先生自身でも想像できなかったほど激しく先生をイカせたのだよ。しかも数え切れないほど何度も。それを経験させてくれたのは、お前のご主人様であって、旦那じゃないのだよ。お前のご主人様は、お前は、まだまだ、結婚指輪を返せるような段階にはなっていないと感じている。指輪を嵌めても良いとみなせるだけ充分に調教を受けたと判断できたら返してやろう。あと、もう一つ、警察を呼ぶと言うが、お前は、そのつもりなら、もうとっくに呼べていたはずだぜ。なぜ、今まで警察に言っていない? 旦那にもなぜ言っていない? それは、失うものの方が多すぎると分かってるからなのだよ。また、すぐに会うことになるだろう。いつ、どこでかは、後で教える。ご主人様より」
メールを発信し、パソコンを閉じた。階下に降り、キッチンに行く。気が着かなかったが、すでに両親が帰っていた。二人の手伝いをし、夕食のテーブルを整えた。
いつもどおりの夕食だ。親たちは、その日にあったことを話し合い、俺はおとなしく聞いている振りをした。だが、頭の中では、例のクラブのことを考えていた。母親が、1度ならず、俺がぼんやりしていると注意し、何を考えているのと訊いてきた。エロいセックス・クラブのことを考えているんだよとも言うわけにいかず、俺は心の中でくすくす笑い、夕食をそそくさと済ませた。
夕方近くまで寝ていたことに罪悪感を感じていたので、食器洗いは俺がすると申し出た。俺がテーブルを片付け、洗い物をしている間、両親はリビングに行ってテレビを見ていた。
シンクに水がたまるのを見ながら、再び、例のクラブのことを考えていた。あのクラブの光景が頭に浮かぶ。食器を洗い始める頃には、ブラッドの母親のことを考え始めていた。ステファニは俺の罠に嵌まってくるだろうか? 金は用意してくれるだろうか? 俺を捕まえようとするだろうか? 確かにしなければならないことが一つだけあった。今夜、ブラッドの家に行って、ステファニがどんな様子か確かめなければならないということだった。
食器をすべて洗い終え、キッチンのすべてときちんとした後、リビングに顔を出した。
「ちょっとブラッドの家に行ってくるけど、いいかな?」
「良いわよ、気をつけて」
母親の返事を背に受けながら、俺は玄関から出て、ガレージに向かった。
ガレージから自転車を出し、飛び乗る。6000ドルの現金を思い浮かべながら、自転車を漕いだ。ブラッドの家の前に着き、自転車を前庭に横倒しにし、玄関ポーチへ駆け上がり、ドアをノックした。
出てきたのはブラッドだった。
二人で中に入り、小部屋に座りテレビを見た。ブラッドは音楽ビデオの局にチャンネルを変えた。ちょっと驚いたのは、ブラッドの母親がまだ仕事から帰っていないことだった。音楽のプロモーションビデオやコマーシャルを見ながら、ブラッドと雑談をしていたが、どんな話しをしていたかほとんど覚えていない。頭の中は、あいつの母親と例のクラブのことだけだったから。ブラッドの父親も帰ってきて、しばらく俺たちと一緒にテレビを見ていた。俺たちは雑談を続けた。
「そういえば、お母さんはどこに行ったのかなあ」 ブラッドの父親がブラッドに訊いた。
「今夜は、どこかに行くって話しは聞いていないけど?」 ブラッドはテレビの方を向いたまま返事をした。
「持ち帰りの料理を買ってきてくれると良いんだが。こんなに遅くなるのは、お母さんらしくないからね」 ブラッドの父親は、そう言って、時計を見上げた。
ブラッドの母親は、金を集めようとしているのか。そう思いながら、俺は思わず邪悪な笑みを浮かべていた。とたんにズボンの中、勃起が始まるのを感じ、素早くテレビに集中して紛らわせた。ようやく玄関前に車がくる音がした。車のドアがバタンと閉まり、玄関のドアが開く音が聞こえた。
「遅くなって、ごめんなさい」
ビジネス服を着たステファニが俺たちの前を歩きながら、そう言った。寝室へ通じる廊下を進むブラッドの母親を見ながら、俺は素早く、そのゴージャスで熟れた体の隅々に目を走らせた。