2ntブログ



ポルノ・クイーンの誕生 最終章 (3) 

マリアは私の手を握って、気遣ってくれた。

「私は驚かないわ。マークは、役者じゃない人には演技を頼んだりはしないはずだもの。ポン引きみたいに思われたくないから。マークはそういう人。あなたは、役者の世界に入ることを考えているの?」

私は、顔がますます赤く火照るのを感じながら、言った。

「それは考えてきたの。でも、マークは私を求めないだろうと思うの。私、そんなにカワイイわけじゃないし」

マリアは私の両手を握った。

「あなた、十分、可愛いわよ。それは確か。それに、あなたはカメラ映りも良いと思うの。でも、あなたのことを大事に思ってる人たちとホーム・ビデオを撮るのは、生活のためにポルノ映画を撮るのは、違うこと・・・だから、慎重に考えてみてね。とっても楽しいこともあるかもしれないけど、大半は、ただの仕事だから」

マリアはもっと助言するつもりだったかは分からないけれど、彼女は、演じる役の打ち合わせのため、マークの書斎に呼ばれていた。

ポルノ映画に出るかどうかについて、私は、真剣に考えた。続く10日間ほど、そのことばかり考え、他のことは考えなかった。目の前にカメラが来ている状態でセックスをするといのはどんな感じなのか、それについては分かっていた。その頃までには、そいうことにすっかり慣れていたから。それと映画出演の違いはというと、別に愛情を持っていない人たちとそういう行為をするということだし、まったく知らない人たちが、たくさん、私の行為を見ることになるだろうということ。

私の中には、ぜひ、やってみるべきと言う部分があった。どういう感じなのかを知るためにも、少なくとも1度はやってみるべき。自分にできることなのかどうか、確かめたいと思っていたのは確かだった。今から思うと、何より、好奇心が勝っていたと思う。

自分の中では、映画に出てみたいという気持ちが固まっていたけれど、それをマークに言うチャンスはなかなかなかった。いつも今は適切な時期ではないように思えたし、マークも、いつも本当に忙しそうにしていたから。

マークは、アリゾナ州ユマに行くためスポーツ汎用の4輪駆動車をレンタカーで借りた。ユマにはホテルを建物ごと借りて、撮影を行うことになっていた。借りた車はマーク自身の車やトレーシーの車より遥かに大きく、荷物を含めて私たち5人で乗り込んでも、十分に余裕があった。

マークは、実際の撮影に必要となる機材をすべて運び込むため、トラックも借りていた。衣装類や小道具もこれで運んだ。ビルの編集用の機材もトラックに積んだ。

カメラマン2人、音声係2人、それに電気関係の人3人は、別のバンに乗って、私たちの車に続いた。そのバンには、衣裳係のパティに加えて、サミー・ウェイトとローレル・アダムズも乗った。もちろん、ビルもそのバンに乗った。

マークが採用した他のTガールズたちは、出番になる1日か2日前に現地に来ることになっていた。マークの計画では、該当する女優の大半のシーンをすぐに撮影してしまうことになっていた。そうすれば、彼女たちも出番を待っていつまでも拘束されることもないだろうと。

マークが借りたホテルは、大規模な改修工事をされるところだった。その工事のため2カ月ほどホテルを閉鎖することになっていたのだが、マークが働きかけて、安くその場所を使用する契約を取ったのだった。ホテルは、最初見た時は、ちょっとみすぼらしい感じだったけれど、確かに、魅力的なところもあった。マークが言うには、ビデオを見る人はセックスに注目しているので、このホテルのみすぼらしいところには誰も気がつかないだろうとのことだった。

マークとトレーシーはこのホテルの中で一番良い部屋に入り、マリアとヘレン、そして私は、マークたちの隣の部屋に入った。マークたちと同じ部屋にならなくても良かったし、私たちも、別の部屋を望んだのだった。それに、多分、結局は、みんなが同じ部屋に集まることになるだろうとも思っていたから。

ローレルはボーイフレンドを連れてきていた。週末だけ、ここに来るらしい。彼女たちはサミーと同じフロアの部屋に入った。サミーは、その時はボーイフレンドがいなかったけれど、そもそも、欲しくなることもないだろうと彼女は思っていた。クルーの大半も、同じフロアの部屋に入った。ビルもその中に含まれている。

[2009/10/11] 本家掲載済み作品 | トラックバック(-) | CM(0)

コメントの投稿















管理者にだけ表示を許可する