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その頃、家の中では、リンダがマリイから実情について訊いていた。
「で、楽しかった?」 とリンダ。
マリイは、伝えたくて仕方なさそうに喜んで答えた。
「どれだけ楽しんだか、とても言い表せないわよ! それまで、自分は本当のセックスというものをしてこなかったんじゃないかって思ったわ。リンダ、是非、やってみなきゃダメ」
「その気がないとは言えないんだけどね。でも、ブルースを説得できるかどうか分からないの」
「冗談でしょう? うちの旦那のことも、あなたのご亭主のことも、私には分かるわ。こと、話がセックスのこととなったら、男たちはすぐに飛びつくものよ。そして、そのセックスが彼らには関係しないことと悟った時には、まあ、もう手遅れということね。その時点で、すでに後戻りはできなくなってるから」
「うふふ、まあ、そうね。この前の夜、ブルースばかりでなく私自身も驚くようなことしたの。彼にクンニをさせたの。パティオで!」
マリイは目を丸くした。
「パティオで?! 本当に?」
「ええ。もちろん、彼に毛布を被せて、隠してだったけど。最初はブルースもためらっていたわ。でも、あなたやサラが黒に染まった話しをしているうちに、すごく興奮してしまって、我慢ができなくなってしまったのよ」
「うん、想像できるわ」
「もっと言うと、私、命令口調で言ったの。『早く!』って、強く。そんな口調で言ってごめんなさいって謝ろうと思ったのね。そしたら、彼、突然、床に膝をついたのよ。すごく気が弱い感じになって。だから、そのまま彼にやらせたわ」
「すごい! 私もその場にいて見てみたかったわ」
「それに、あなたに分かるかなあ、私、その状況にものすごく興奮してしまったのよ。単に、ブルースにあそこを舐めさせたからだけじゃないの。それに加えて、私が、ある種、場を支配している感覚。それが最高だったわ!」
「いいこと教えてあげるわ。本物の男、つまり、黒人ね。黒人男に私が犯されているところをジムに見せて以来、私たちの夫婦関係が劇的に変わったのよ。あなたも知ってるでしょう? ジムって、いつも威張り散らして、何でも支配したがって、自分の意見しか通さなかったってこと。でもね、私が処女を奪われた後は・・・私、あの最初のセックスのことをそう言ってるのね・・・その後は、ジムは新しい旦那に生まれ変わったのよ」
「本当? もっと話して?」 リンダは驚きながら訊いた。
「ええ・・・あの最初の夜ね。リックが私を抱いて、帰って行った後。ジムは、急に恥ずかしそうな態度になってて、私のことを見ないのよ。視線を逸らす感じ。だから、もちろん、私は何度もジムと会話をしようとしたわ。彼の視線を捕らえるようにしてね。でも、おどおどして、目を伏せがちにしてるの。すっかりおとしめられたみたいに。本当よ、すっかり変わったのよ!」
「マリイがそういうことを言うなんて、可笑しいわ。この前の夜のブルースがまさにそういう感じだったのよ。その時、ちょうど、黒人とのセックスについて話し合っていたところだったの。実際にそういうことが起きたら、ブルースがどうなるか、なんとなく想像できる感じだわ」
「もう一つ、びっくりする反応があって、それは私自身の気持の変化。ずーっと何年もの間、私は、とても素敵なセックスをしてもらっていると思っていたのね。それが、実際は、全然、本物には足元にも及ばないものだと分かった。当然、私、ジムに対して怒りの感情を持つようになったのよ。今まで私をだましてきたのねって。ともかく、本当の世界に開眼したとことが大きいわ」
マリイとリンダは、声を合わせてくすくすと笑い出した。
マリイが続けた。
「夫に頼らなければならないことの主なことに、セックスがあるでしょう? でも、その方面に関して夫でなくても良いとなると、夫というものは、とても従順になるものなのよ。妻を喜ばそうと必死になる。それに、私としては、長年、本当の喜びを奪われていたわけで、怒りを感じているの。だから、ジムのあんなモノを入れてくなくても、全然、かまわないって気持なのよ」