窓からしか見たことがなかった壁に囲まれた庭園。その真ん中にある細い石板のベンチにイサベラは座っていた。考えごとに没頭していた。何時間も前に陽はすでに沈んでいたが、このように外気に触れながら座っていることに満足していた。彼女は、時が過ぎるのも忘れ、大小様々な生き物たちが夜の儀式を開始し、様々な音を立てるのを聞いていた。幽閉から開放された今、イサベラは再び生命を取り戻したような気持ちになっていた。
「ここに来ればお前に会えると思っていた」
太い声をかけられ、イサベラはハッと我に返った。そして、ゆっくりと後ろを振り向き、彼を見上げた。彼は彼女の真後ろに立っていた。
レオンは、彼を見上げたイサベラの瞳に、彼女が考えていたことをいくらか察知したに違いない。そしてイサベラも、レオンの金色の瞳の奥に後悔の念がちらつくのを見たように感じた。
イサベラは、目を逸らした。不安そうにうつむき、膝に両手をつき、紫色のシルクのドレスのしわを伸ばした。
ふと、背後から絹髪の中へ手を差し入れられた。髪を掻きあげられ、うなじに唇を当てられた。イサベラは小さく身を震わせた。
「お前は素晴らしい・・・」
熱い息を吹きかけられる。彼の指は肩先を通り過ぎ、胸元から彼女のドレスの中へと忍び込んだ。そのまま、シュミーズの中に潜む柔らかい乳房を捕らえる。
イサベラは、耳たぶを甘く噛まれるのを感じ、子猫のような声を上げた。官能的に耳たぶを歯で挟まれ、引っ張られる。それにより、足の間にも同じく官能的な疼きが生み出されてしまう。
「お前が欲しい・・・今ここで、この姿のままで・・・」
レオンは、指でイサベラの乳首をいたぶり、固くさせながら、彼女の耳元に囁いた。
「・・・このドレスの裾を捲り上げ、お前のあの柔らかな太ももを広げ、お前のあの狭い部分に突き入れたい・・・お前は俺を感じて濡れているか?」
レオンはベンチをまたいで前に移り、イサベラの前にひざまずいた。表情豊かなイサベラの顔を見上げながら、幾重ものシルクやレースのドレスの裾に大きな両手を差し入れ、スリッパ履きの小さな足に触れた。
イサベラは心臓が高鳴るのを感じた。もしレオンがスカートとペチコートを捲り上げたりしたら、自分の中核部が滴をたたえ、濡れていることを発見してしまうかもしれない。イサベラは下唇を噛んだ。
レオンの二本の手は、イサベラのふくらはぎを覆いながら忍び込み、より敏感な膝の裏側へと這い上がった。
「俺は向こうでお前のことをずっと見ていた。衣類を着たままのお前を奪ったら、どんな感じだろうと思いながらな」
レオンの手は前方に回りこみ、イサベラの両膝を掴んだ。そして、突然、力強く左右に広げた。イサベラは、ハッと息を呑んだ。
レオンの指先が、膝から太ももの内側を優しく引っ掻きながら中心部へ向かう。イサベラは、甘美なショックを受けつつ、囁いた。
「こ、こんなところで、ダメです・・・誰かに見られるかも・・・」
「うふふ・・・」
レオンがかすれた声をあげて笑った。そのときになって初めて、イサベラは自分の言った言葉が誘惑的に聞こえたことに気がついた。
「私が言ったのは・・・」
途中まで言いかけたものの、レオンが片手でスカートをゆっくり捲り上げるのを感じ、いうべき言葉があやふやになってしまう。
「うふふ・・・お前の言いたいことは分かっているよ。そんなに俺にお前の奥深くへ来てもらいたがっているとはな。実に、誘惑的だ」
「そんなことは言ってません。分かってるはず・・・」
イサベラは呟いた。