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ネットにおけるセックス小説 (6) 

読者

セックス小説の人気に関しては、作家や作品の数ばかりでなく、当然、読者の数も問題になる。読者数は確認が難しいのだが、サイトの中には、個々の作品がアクセスされた回数を記録しているところがある。恐らく、ダウンロードの数については、ASSTRが最多であると思われるが、現時点では、このサイトではダウンロードについての総合的な情報は手に入らない。ただし、このサイトに載せた作家は、個々の小説が何回ダウンロードされたかについて週毎の情報を得ることができる。多数の作品を書いている活発な作家の場合、1年あたりトータルで万単位のダウンロードがあると思われる。一例として、私自身は、ASSTRで最もダウンロード数が多い作家たちには含まれないものの、あのサイトに掲載されている私の作品や各章を合わせると、1週間あたり、1000回程度のダウンロードは軽く越すし、1年あたりでは5万回くらいになる。私はひょっとして有名作家なのかもしれない。

他のウェブサイトでは、現在、記録として確認できるものが多くある。Literoticaは、すべての作品にダウンロードの総数を表示している。単一作で最も多くダウンロードされている小説は、「A:私の名前はアリス (A -- My name is Alice)」である。これは、中年の主婦が、自分の10代の息子に誘惑される話であるが、2001年8月から470万回もダウンロードされてきた。Literoticaのアーカイブにある上位173作は、そのいずれも、50万回以上ダウンロードされている。普通の作品では、数百から数千回ダウンロードされるのが典型である。

StoriesOnLineの読者数は、Literoticaの読者数には決して敵わないが、それでも上位70作は、どれも10万回以上ダウンロードされている。第一位の作品、「ジャックとジル(Jack and Jill)」は、高校生のセックスと恋愛についての118章もある作品だが、すでに33万4千回ダウンロードされている。ここでも普通の場合、数百から数千回ダウンロードされるのが典型である。

作家数や読者数についての概略は、すでに明白であろう。性的にあらわな小説を、ある程度、匿名性を保持しつつ投稿することが可能になるとすぐに、かなり多数の個人が小説の投稿を開始し、その数がますます増えていること、そして、それに合わせて、投稿者より遥かに多数の人々がそのような小説をダウンロードし、読むようになったということである。


小説の国での諸問題

セックス小説の投稿が広まっており、膨大な読者がいるということから、こういった行いが世間一般に受け入れられるようになるかもしれないと考えるかもしれない。ある程度、それは真実かもしれない。だが、この分野には、その特有の性質として、社会学者のアービング・ゴフマン(Erving Goffman)の言う「人格を汚される」可能性があるという問題がある。つまり、セックス小説を書く人々の人格が疑われてしまうかもしれないという問題である。

そのような事態を招きかねない主な要因には2つある。1つは、書き手は絶え間なくセックスに焦点を合わせざるをえないということである。私たちが書く小説は、恋愛小説、SF、怪奇物、探偵物、二次小説、歴史小説、純文学、はては詩に至るまで、様々なジャンルにかかわることがあるが、どんなジャンルになるにせよ、焦点の中心はセックスに当てられるのである。しかも、ほとんどすべて、露骨に性行為を描写することになる。

[2009/10/21] 本家掲載済み作品 | トラックバック(-) | CM(0)

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