「デス・バイ・ファッキング」 第5章 Death By Fucking Ch. 05 by thebullet
アンドリューの話
ドニーとディ・ディは、僕にはベッドで横になってちょっとテレビでも見ていてと言って、食事に出かける準備を始めた。僕にはどうしてかは分からなかったが、ドニーはもう一度、シャワーを浴びると言って聞かなかった。
ついでに言えば、ドニーは、僕にもシャワーを浴びるように求めた。ただ、一緒に浴びるのはダメだと言う。僕は一緒に浴室に入りたかったが、ドニーは僕たちの関係をゼロの状態にリセットし、たった今、二人で理性が吹っ飛ぶほど激しくセックスしたことなどなかったように振舞いたい様子だった。僕には女性の心理は決して分からない。
女性が外出のための準備をしているのを見るのは、どこか、非常に親密なというか、家庭的なとも言えるところがあった。髪にブラシをかけたり、化粧を直したり・・・女性が人前に出ても見苦しくないようにする様々な行動。彼女たちを見てて、僕自身も、自分に新たな発見があった。こういう女性の行動を見るのが好きだということだった。僕は、家庭好きの人間になったような気がした。それに、とてもエッチな気持ちにもなっていた。
僕個人としては、彼女たちは、全裸になっているときが最も完全に「見苦しくない状態」だと思っている。まあ、でも、僕には分からないこともある。ともかく、二人がようやく準備ができたときには、僕は、このままホテルの部屋に留まっていたい気持ちになっていた。
僕もシャワーを浴び、(ちょっと、よれよれになってしまった)服を着た。それで準備完了。僕は化粧を直したり、髪を整える必要はない。
気がつくと、僕は、完全にゴージャスな女性を二人連れて、ディナーにデートに出かける身分になっていた。とても不思議な気分だった。というのも、二人ともまったく同じ服装をしていたからである。服装ばかりでなく、ヘアスタイルも、靴も、すべてまったく同一なのだった。
ちょっとぎこちない雰囲気を感じたので、出かける前に、その場で話題に出すことにした。
「ドニー? ディ・ディ? ちょっと二人に頼んでもいいかな?」
二人同時に顔を上げ、同時に頷いた。完全なユニゾンだった。何だかどんどん変な感じになってくる。
「最初に、二人を『ガール』という言葉をつけて呼んでもいいかな? 職場では女性をそういうふうに呼ぶことはない。そういう呼び方が、性差別主義的だというのは知っている。でも、親密になったら、君たちを、レディというよりガールと呼んだ方がしっくりくる感じがするんだ。僕たちの間だけでの話だよ。そう呼んだらまずいかなあ?」
二人は同時に頭を横に振り、にっこり微笑み、「いいえ、アンドリュー」と言った。
「君たちは、いつも、どんなことでもユニゾンでするの? それとも、僕を戸惑わそうとしているの?」
二人は顔を見合わせ、それから僕に向き直った。二人とも、あの瞳を輝かせる特有の笑みを浮かべていた。ディ・ディにはこれがある。脳の中にスイッチがあって、そのスイッチを入れると瞳から光線が出るようになっているのだ。この瞳を見ると、ハッと息を呑むような衝撃を受ける。そして、どうやら、ドニーも同じ能力を持っているようだった。
「多分、そう・・・」 これも二人同時だった。
ああ、すごい。二人はどんどん謎めいた存在になっていく。
「僕がまだ正気なうちに、出かけよう」 僕はそれしか言えなかった。
ドアを開け、ホテルの部屋を出た。僕は、僕が知ってるうちで最も美しい二人をエスコートしている。それぞれを左右の腕に抱きながら歩いた。ホテルのロビーを出て、街頭へ出たとき、僕たちを見た人々の表情が面白かった。女性はショックを受けた顔をし、男性は妬ましそうな顔をしていた。
僕はザ・リッツ・カールトン(
参考)に向けて車を走らせた。そこには、僕の普通の価格帯を遥かに越えるレストランがある。ディ・ディが圧倒されて喜んでくれるかもしれない店を探し始めるまでは、僕はそんなレストランがあることすら知らなかったところだ。(いや、これはちょっと誇張して言っている。頭では、そのレストランがあるのは知っていた。ただ、選択肢としては一度も考えたことがなかった店である)。