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ポルノ・クイーンの誕生 最終章 (13) 

席に着き、食事を注文した後、私は言った。

「あなたがここで何をしてるのか知らないけど、あなたは私たちが一緒に座っているのを他の人が見てどう思うか、気になるんじゃなかったの?」

ビルは私の手を握った。「僕は君を僕の人生に取り戻そうとしているんだ、ステフィ… ここにいる他の人がどう思おうと、気にしない」

私はビルの言葉を信じたい気持だったけど、でも、彼は、また私と寝たいから、こんなことを言ってるだけかもしれない。彼と寝ることは、私も構わないけど、私たちの関係を隠したがるのはイヤだった。もし、私のことが本当に欲しいなら、二人だけのときばかりでなく、他人目があるところでも、その気持を示してもらわなければ気持がおさまらない。ビルは私の気持を察したようだった。私の手を取り、キスをし、食事が届くまで、ずっと握っていた。

食事の間、ビルは私が前日に撮影した写真を見たと言った。とても良くて、マークが、私は天性のものがあると言っていたと話してくれた。それを聞いて、マークもビルもあの写真を気に入ってくれたのを知り、心の中とても嬉しかった。二人ともたくさん写真やビデオを見てきているのを考慮すると、とても嬉しい褒め言葉だった。ビルが写真のことを話している間、私は顔を赤く染めていたと思う。

朝食を食べ終わると、マークがテーブルにやってきた。

「ステフィ? 君にちょっと3階に来て欲しい。ビルには、昨日撮ったテープを見てもらうよ。もちろん、その朝食を食べてからでいいけどね」

私はすでに食べ終えていたので、マークに、すぐに行きますと伝えた。ビルは、まだ完全には食べ終えていなかったけれど、彼も、すぐに取り掛かりますとマークに言った。

私が立ち上がり、マークとマリアの後について行こうとしたら、ビルは私の手を取り、止めた。それから彼も立ち上がり、私の前に来て、キスをした。食堂でたくさんの人がいる前で。

最初、私はビルの行動に驚いた。それから、彼は私のことを拒否したのだからと、彼から離れたいと思った。でも、1秒も経たないうちに、その気持は消えてなくなっていた。彼の甘く優しいキスにすべてを包み込まれていくように感じたから。私にできたことは、ビルに私からもキスを返すことだけ。どのくらいキスをしていたか分からない。実際は、そんなに長くなかったかもしれない。

キスを終えた後、ビルは私と一緒にエレベータへ向かった。そしてエレベータの前でもう一度キスをした。

私がエレベータに乗ると、ビルが訊いた。

「一緒にランチを食べてくれないか? マークがランチにしようと言ったら、僕のところに来てくれ。一緒に食べよう」

私は返事をしなかったけれど、ビルは私がそれに応じるのを確信していたと思う。

3階に着くと、エレベータのドア横の廊下にとても背が高く、とても逞しい体つきの男性が立っていた。エレベータから降りるとすぐに彼は私の名前を尋ね、手に持っていたクリップボードのリストにチェックマークを書き込んだ。後から知ったことだけど、彼はセキュリティ・ガードで、他にも3人いて、用のない人がセットに入ってこないよう警備しているのだった。

ガードの人は私の名前をチェックした後、廊下の奥の部屋へ行くよう指示した。その部屋の外には人がいっぱい立っていたので、そこで撮影が行われていると分かった。外で立っている人の大半は職人さんたちで、テイクの合間に様々な作業をしようと待っている人たちだった。

部屋に歩いていくとすぐに、マークが私を見かけて言った。

「君が来てくれてよかった。シーンのセットを組み立てている間、マリアに手を貸してあげてくれ」

マークが「誰かに手を貸してあげて」と言うときは、私に、その人へフラッファの仕事をしてやって欲しいと言っているのだった。彼は、他のフラッファにも私にも、とても敬意を持って接してくれる。何よりマークは紳士なのだ。


[2010/01/15] 本家掲載済み作品 | トラックバック(-) | CM(0)

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