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デス・バイ・ファッキング 第6章 (2) 

彼は自分の中に隠し持っているものを本当に分かっているのだろうか? 分かってないと思う。私なら、彼を助け、導くことができる。彼は他の男とは違うのだ。私たちのアンドリューなのだ。彼は私の知っている他のどの男とも似ていない。

彼の自我は壊れやすく、自分のことをただの青二才だと思ってる。でも、そんなものとはまったく違う。私なら、そのことを彼に教えてあげることができる。私たちなら。私とディ・ディとで、教えてあげる。

アンドリューは、クリーブランドの郊外にある、何の変哲もないマンションに住んでいた。彼の部屋に入ったけれど、完全に予想していた通りの部屋だった。飾り気はまるでなし。機能一辺倒の居住装置そのもの。

アンドリューは、ちょっと恥ずかしそうに、家の中を私に紹介して回りった。二人で、彼の機能的だが平凡なリビングに入り、機能的だが平凡なソファに座った。部屋の中、彼のアイデンティティーを示す持ち物と言えば、壁一面に並んだコンピュータの機器類だった。サーバー、モニター、様々なものをつなぐ配線。誰でも、ここにはコンピュータ・オタクが住んでると分かるはず。

「ドニー、ごめんね。あんまりたいした家でなくって…。僕は物には執着がないだけなんだ。必要なものは手に入れるし、必要なものとして使うんだけど、物についてはどうでもいいんだ。そのことが、僕がこれまで女性とうまくいかなかった理由のひとつなんだろうな」

私はいぶかしげに片眉を吊り上げた。

「あらそう? あなたは、わたしが見た限り、接しているどの女性とも、とてもうまくやっているように見えるけど?」

アンドリューは少し微笑んだ。

「君の場合、僕が他の女性と接しているところを見たと言っても、ディ・ディと接しているところだけだから…。確かに君とディ・ディは違うし、それは君も知ってるけどね…。ともかく、僕の基準からすると、君たちはリッチなんだ。欲しいと思ったおもちゃは全部、すでに持っているに違いない。それを買うお金があるわけだから、当然、持っているはず。少なくとも欲しかった物なら、そうだと思う。だから君たちは、物質的な物を得るのに僕は必要ないはず。少なくとも、そう思っていてくれると助かるよ。仮にそうじゃないとしたら、君たちは間違った男を選んだことになる」

「あなた自身のことを説明してくれる? 青二才さん?」

「ドニー、僕は25歳だ。君にとっては、その年齢は、とてつもなく若いと映るかもしれない。でも、正直に告白すると、もし僕が本気で何か偉い金持ちになりたいと思ったら、僕はもうすでに最初の100万ドルを手にする道を順調に進んでいるはずだよ。でも実際にはそうはなっていない。というのも僕は偉いお金持ちになりたいという気持ちがないからなんだ。言ってる意味、理解できるかな?」

「なら、何が欲しいの、アンドリュー?」

「分からない。ただ、他の人が欲しがるものは、欲しいと思わないということだけは分かってる。勝った、負けたと得点をつけたいと思わないんだ。自分の経済力と他の人の経済力を比較したり、自分のおもちゃと他の人のおもちゃを比較したり…そういうのに興味がないんだ。前に、こんな言葉が書かれたステッカーを見たことがあるよ。『いちばんたくさんおもちゃを集めて死んだ人が勝ち』って。僕は勝ちたいと思わない。勝負をしたいとも思わない」

この人の精神は、その身体と同じく、その顔と同じく、ステキだわ。彼は、私たちと同類なのだ。私はそれを確信し始めていた。



[2010/01/25] 本家掲載済み作品 | トラックバック(-) | CM(0)

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