それから二日ほど、わたしは、あの出来事を許してしまった罪悪感で落ち込んでいた。どうして、わたしはあんなことを? 何度も問い続けた。わたしは親なのだし、大人なの。なのに、母親であるわたしが子供との信頼関係を壊してしまった。
とうとう堪えられなくなったわたしは、家に息子しかいない時を選んで話しかけた。
「トミー? ママ、トミーに話しがあるの」
「何、ママ?」
トミーはわたしに顔を向けた。でも、すぐに視線がゆっくりと下に降りて行って、わたしの胸のところで止まった。わたしは息子があからさまに胸を見ているのに驚いた。
「トミー? ママは間違ったことをしてしまったの。ママのあんな写真を撮らせてはいけなかったのよ」
わたしは地味なブラウスを着ていたけど、上のボタンを二つ外していて、少し胸の谷間が見えていた。今朝は、夫もそれに気づかなかったというのに。
「どうして? ママはとてもきれいだったよ。ママにかなう女の人はいないよ」 息子は自信に溢れた口調で言った。多分、本気で言ってるのだろうと思った。
「ありがとう。あなたも見事なカメラマンぶりだったわ。でもね、わたしはあなたの母親なのよ。母親というのは、息子にあんなふうに身体を見せるべきじゃないの」
息子とはキッチンテーブルに隣り合って座っていた。息子の目はしょっちゅうわたしの胸の谷間に泳いでいた。こういうふうに視線を浴びるとちょっと興奮してくる。わたしは、誰であれ人にいやらしい目つきで見られると、何となくゾクゾクしてきてしまう。
「でも、ママは僕に全部見せたわけじゃないよ…… 僕はまだママのおっぱいを見てないし」
「トミー!」 びっくりして息を呑んだ。顔が熱くなってくる。
「あ、ごめん、ママ… でも、僕には見えるんだ… ていうか、想像できるということなんだけど… ママのおっぱいはすごいんじゃないかって… ねえママ? ママのおっぱいの写真も撮らせてよ… 頼むからさ…」
すごくあけすけに言ってくるのでびっくりしてしまった。何て言ったらよいか分からなくなった。でも、ともかく、息子にはわたしの身体のことを忘れさせなければいけない。
頭ではそう考えていても身体の方は違っていた。息子がおっぱいという言葉を言うのを聞いて、すぐに反応しだしてる。あそこがキューっとなって濡れてきてる。
「トミー? そういうのは適切なことじゃないのよ…」
適切なこと? どうして、ダメって端的に言わなかったの? 息子はまだじろじろわたしの胸を見ている。舌なめずりまでしてる。
「ママ、ちょっと待ってて! カメラを持ってくるから!」 そう言ってトミーは階段を駆け上がっていった。
「トミー! ダメだったら! ママはしないからね!」 大きな声で息子の背中に叫びかけた。
額や首に汗をかいていた。こんなことになるはずじゃなかったのに。こんな狂った関係を断ち切るつもりだったのに。なのに、またも息子に写真を撮らせようとしている。
トミーがカメラを手に降りてきた。すぐにわたしのまん前に来て、床に膝をついて写真を撮る姿勢になった。
「トミー、お願いだから、カメラを向けないで」 弱々しい声しか出ない。
カシャッ、カシャッ、カシャッ
わたしは椅子に座っていて、床に膝をついてシャッターを押す息子を見ていた。
「ママ? ブラウスのボタン、もうひとつ外してくれる?」
「ダメだったら。カメラを向けないでって言ったでしょ?」 思わず苦笑していた。
「ねえ、ママ、いいだろ? ボタンを外すまで、僕はやめないからね」
カシャッ、カシャッ、カシャッ
「しょうがないわね… でも、それだけよ」
まあ、ボタンひとつくらいなら大丈夫かなって思った。もうひとつだけボタンを外した。胸元を覗き込むと、胸の丸い丘がかなり見えていた。
息子は、床の上、ずいぶん低い姿勢になっていた。ほとんど床に寝るような格好。その角度からだと、ひょっとするとスカートの中が見えてしまうかもしれない。念のため、わたしは両膝を合わせて、脚を閉じた。
「トミー? その姿勢は、息子が母親の写真を撮るような姿勢じゃないわよ」
「ああ、知ってる。でも、誰にでも、ママみたいに綺麗な母親がいるってわけじゃないから」 と言って、またカシャカシャ、シャッターを切った。
その返事は好きだった。それに、息子がわたしの写真を喜んで撮っているというのも嬉しかった。視線を浴びてるのを楽しみながら、わたしは背中を反らせた。身体が火照ってくる… あそこが濡れてきている…
「ママ、ブラウスのボタンを全部外しちゃってよ。…その方が、もっといい写真が撮れそうなんだ」
「ダメよ、トミー、できないわ… 忘れないで、わたしはあなたの母親なの… それに… ママはブラをつけてないのよ」
わたしがこんなことを言ったものだから、息子が興奮を高ぶらせてしまったのに気づいた。
カシャッ、カシャッ、カシャッ
床に仰向けになってる息子を見下ろしたら、ズボンのところに大きな盛り上がりが見えた。すごく大きい。まあ、息子ったらこんな大きかったの? わたしは無意識に舌なめずりしてたかもしれない。
「ただボタンを外すだけだから… おっぱいは隠してていいよ。ねえ、ママ… 頼むよ、どうしても写真に撮りたいんだ」
「…いいわ。…でも、それ以上は何もしませんからね!」
ああ、わたしは、いったい何をしてるの? そう思いながら最後のボタンを外してた。
ブラウスの前を開いた。胸元を見ると、前みごろの生地の端が胸に引っかかってた。ツンと立った左右の乳首に生地が引っかかってる。これだと、息子には胸の真ん中のところと左右の丸い丘が見えてるはず。
顔を上げて息子を見た。唇が乾いて、心臓がドキドキ鳴ってる。
「ああ、ママ、すごいよ。これ、いいよ! …じゃあ今度は両手をテーブルにつけて、広げてみて」
言われたとおりに両手をついて、広げ、背中を反らせた。そうするとブラウスが徐々に両脇にずれていくのを感じた。息子は、最初からこうなることを意図してたの? でも、構わないんじゃない? どうして、息子に胸を見せちゃいけないの? もう、あそこも見せてしまってるんだから。あそこばかりかお尻の穴まで。
「いいわよ、トミー… でも、お願いね… お願いだから、この写真も削除してね」
何だか、すごく興奮してる。自分でも信じられないくらい。
ともかく息子につきあうことにした。でも、きちんとチェックすること。この前みたいに行き過ぎたことは絶対にしない。もし、状況が手に余るようになったら、すぐに逃げ出すこと。いいわね?
そう自分に言い聞かせて、改めて、背中を反らし、胸を突き出した。