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ジャッキー 第3章 (3:終) 

アンジーはスカートが飾ってある棚を見ながら言った。

「ジャック? もし着てみたいのなら、私の家系の色のを着てもいいわよ。あなたのウェストのサイズは正確にどのくらい?」

その時、僕は先へ進めるアンジーをとどめるべきだったと思う。だけど、この時の僕は、彼女にすっかりのぼせ上っていたのだった。それでも、一言だけ言ってみた。

「正直言って、僕はキルトスカートを履きたいとは思っていないんです。そもそも、僕はアイリッシュ系でも、スコットランド系でもないし」

アンジーは手にして見ていたキルトを落とした。「キルトを履くのに、なにもアイリッシュやスコットランド系でなくちゃいけないことはないのよ。でも、本当に履きたくないなら、別に強制はしないわ。ただ、何を身につけるかなんて、あなたが男性らしいかどうかとは何も関係ないと言うことだけは理解してほしいと思ってるわ」

「それは分かってるつもりです。ただ、そういうのは着る気にならないというだけです。キルトスカートを履いて居心地がよくいられるという自信がないというか…」

「でも、一度履いてみるまで、本当に居心地悪いかどうかは分からないんじゃない?」

振り返ると、こういう言い方も、アンジーが、僕に彼女が望むとおりにさせるときの決まった言い方だったと思う。

「ええ、その通りだとは思うけど…」

アンジーは見ていたキルトを取りあげた。「さあ、だったら、一度、試しに着てみたらどう? そしてどんな感じになるか確かめてみたら? もし、本当に居心地が悪かったら、いつでも脱いで構わないんだから」

僕が返事をする前に、アンジーは店員の方を向いて話しかけていた。

「ねえ、私の彼がこれを試着してみたいと思ってるの。どこか着替えができるところがある?」

僕はアンジーが僕のことを「私の彼」と言ったのを聞いてびっくりしてしまった。僕たちはそんなに親密な間柄になっているとは思えなかったから。でも、驚いた状態から覚める余裕もなく、僕は仮の着替え部屋へと連れられていた。

着替え部屋に入った僕は、とりあえず一度はキルトスカートを履いてみても良いかなと思った。そうして、アンジーに試着してみたと言えばいいのだから。

ズボンを脱ぎ始めたが、その時まで、あたりがずいぶん寒いことに気づかなかった。ズボンを脱いだとたん、寒気のため鳥肌が立つのを感じた。

キルトを履き、スナップを留めた時、外からアンジーが話しかけるのが聞こえた。

「ジャック? あなたに似合いそうなソックスを見つけたわ。中に入ってもいいかしら?」

入ってきてもいいと答えると、アンジーがカーテンドアの下からくぐるようにして中に入ってきた。僕の姿を見て言う。「とてもいいわよ。少なくとも、他の男と違って、ごつごつした膝をしてないのがいいわね」

それから彼女は一歩前に近づいてきて言った。「キルトで一番良いことは何か、知ってる?」 

僕が頭を横に振ると、アンジーはキルトの裾をめくりあげ、中に手を入れ、トランクスの上から僕の分身を握った。そして邪悪そうな笑みを浮かべた。「…答えは、これがずっと簡単にできること」

彼女は僕の分身を優しく撫で続けた。それと同時に唇を僕の唇に重ね、舌を口の中に入れてきた。僕が完全に勃起するまでほとんど時間はかからなかったが、勃起した後も、彼女は2分ほどキスを続けた。「あなたのズボンとソックスをちょうだい。店員に紙袋へ入れてもらうから」

この時点で、僕はキルトを履くことになるのだろうなと諦めていた。だが、ともかく、面目を保とうと思い、反論してみた。「でも、僕は、これを着て居心地良いとはまだ言っていないんだけど…」

「もちろん、そうでしょう。だって、初めてのことだもの。本当にキルトを履いて馴染めるかどうかを知るには、しばらくの間、着続ける必要があるんじゃない? さあ、準備ができたら、外に出てきてね」 

そう言ってアンジーは僕のズボンを拾い上げ、身をかがめて着替え部屋から出て行ってしまった。僕はキルトを履いて他人の前に出るほか道がなくなってしまった。前にも言った通りで、アンジーが何かさせようと決心したら、結局は、それに合わせなければいけないことになるのである。

勃起を鎮めるのに5分ちかくかかってしまった。その後、勇気を出して、着替え部屋から外に出た。エメラルド・グリーンのキルトスカートと膝までの黒いソックスを履いた姿だ。僕は、人々がその僕の姿を見て大笑いするだろうと予想していた。だが、実際は、笑う者など誰もいなかった。なんだかんだ言っても、その祭りに来ている多くの男たちと、あまり変わらない服装をしていたわけだから。

アンジーは、僕が着替え室から出てくるのを見たとたん、明るい笑顔になった。彼女の瞳がキラリと輝くのが見えた。彼女は僕に近寄ってきて腕をからませた。「それでこそ、私の彼氏よ! さあ、またお祭りの競技を観に行きましょう」

競技をいくつか、それに各部族の行進を見物した。その後、アンジーが僕に訊いた。「ねえ? どう? もうキルトを履いてても居心地悪くないんじゃない?」

「うん、まあ、大丈夫になってきてる。でも、まだ、ちょっと変な感じがしてる。ともかく、この、風が吹くのがおさまってくれればと、それを願うだけ」

アンジーは笑った。「うふふ… 今朝はキルトを履いていなかったのを喜ぶべきよ。ほんと寒くて、お尻が凍ったままになるんじゃと思ったくらいだから」

夕方5時になり、祭りは終わりにさしかかった。二人で駐車場へと歩き始めた。僕は彼女に訊いた。

「家に戻る途中、夕食を食べにどこかに立ち寄るつもり?」 

「いいえ。家に戻ったらすぐに夕食を作ってあげるわ」 彼女は僕の腕にしがみつきながら答えた。

「でも、大丈夫? 今から作り始めるにしても、ずいぶん遅い時間になってるけど…」

「もう作ってあるの。家に戻った後、オーブンに入れて温めるだけ」

つづく



[2010/06/29] 本家掲載済み作品 | トラックバック(-) | CM(0)

誰とやったか知ってるぜ 第5章 (21) 

俺は、父の車を飛ばし、クラブに向かった。フェンスわきに駐車し、クラブの入口に行きカードキーを出し、ブザーを押した。

テッドが迎えに出てきて、俺は挨拶をし、中に進んだ。地下室に通じているらせん階段へ進む。階段を降りるのに合わせて、女のよがり声が聞こえてきた。下のクラブからの声ではない。もっと近いところでの声のようだった。階段を降りて行くと、声がどこから聞こえているのか分かった。

ケイトが階段の手すりに片足を乗せていた。そして、テッドでない用心棒が後ろから彼女を犯していた。ケイトの目が俺の目と合った。後ろからズンズン叩きこまれてていて、おっぱいがブルンブルンと揺れていた。

「ああっ、ジャスティン… 彼… ああっ、いいぃ… マークよ」 ケイトはそう言った後、眼を固く閉じて、感じ入った。

マークは俺にうなづいて挨拶をしていた。俺は二人の横をすり抜けて階段を降り続け、下に降りた。廊下を進みクラブへのドアを開けた。

まっすぐバーのところに行き、ステージ・ショーのリストを見た。すでに数人、書き込んである。その最後のところに俺の名前を書き込んだ。

ここにいると誘惑が多すぎて、今夜の計画が台無しになってしまうと思ったので、一度、クラブから出ることに決めた。地下のクラブから出て、らせん階段へと戻る。マークはまだケイトにズンズンと打ち込みを続けていた。二人の横をすり抜け、うえに上がり、別のカップルのIDカードを調べているテッドの横を通って、外に出た。

父親のバンに乗り、一度、グラフ先生の家の前を通ってみることにした。客が来ると言っていたが本当だろうか?

先生の家の前の通りに入り、ゆっくりと車を進めた。玄関前に車が4台あり、通りにも2台停まっていた。確かに来客があるようだ。これだと、グラフ先生が家を抜け出るにしても、もうしばらく時間がかかりそうだ。

そこで俺はブラッドの母親の方を確かめることにした。ひょっとして、またあの男のところに行ってるかもしれない。例の男の家がある道路へと車を走らせると、案の定、ブラッドの母親の車が路上に止まっているのが見えた。

車を横に寄せ、止めて、しばらく時間をつぶした。もう少しカネが必要だ。俺にとって、カネを得るとしたらステファニーからしか考えられない。現金を得るには、ステファニーを脅迫する別の方法を考えなければならない。今度はどうするか…。そんなことを考えていたら、男の家からステファニーが出てくるのが見えた。

俺はとっさに運転席に身を沈め、隠れた。恐る恐る顔を上げてみると、ステファニーは男の腕に抱かれているところだった。まるで若い恋人同士のように玄関先でキスしている。ブラッドの母親が浮気をしているなんて、正直、いまだに信じられない。確かにセクシーな女だが、ずっと幸せな結婚生活を送っているとばかり思っていた。41歳だが、それより10歳は若く見える。二人はようやく身体を離し、ステファニーは自分の車に乗り込み、去って行った。

俺は、2分ほど時間を置いてから、車を動かした。またグラフ先生の家の方へ行ってみた。今は玄関先に3台しか車がない。通りに停まっていた2台もなくなっていた。

急に玄関が開き、中から来客と一緒にグラフ先生が出てきた。どうやらパーティは終わりに差しかかっているようだ。

俺はまたクラブへ向かった。通りに駐車し、IDカードを持ってブザーを押した。再びテッドに出迎えられる。

「やあ、テッド」

「おう、ジャスティン」 とテッドは俺のIDを見ながら答えた。

「テッド…ちょっと頼みがあるんだが」

「いいとも。何だ?」 

「もう少しすると、俺のゲスト・パスを持った女がここに来ることになっているんだが、その時、君にその女をエスコートしてほしいんだよ。下のクラブまで連れて行って、ステージの前の開いてるテーブルに座らせ、飲み物を注文してやってほしいんだ」

「ああ、いいぜ。それくらいならできる。その女、あんたのゲスト・パスを持ってるって言ったよな?」

「ああ」

「だったら大丈夫だ」

「ありがとう」 と俺は言い、ポケットから20ドル札を出した。そして、握手しながら、それをテッドに握らせた。

「分かってるじゃねえか」 と、テッドは、廊下を進む俺の背中に声をかけた。



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