ビックのオフィスに行こうとしたら、中から彼が出てきた。私のブラウスとハイヒールを見て、夫の細く整えた眉が上がるのが見えた。私は、わざと、ふざけた調子で彼の股間に眼を落とした。確かに、夫が勃起し始めているのが見えた。
「まあ、あなた。ゲイルとこれからランチに行くところなの。ちょっとしてから、後でまた来るわね」
夫は、私とゲイルが話しをすれば、多少は彼の気まずい状態も和らぐことになるはずと思ったらしく、こう答えた。
「今日は割りと暇なんだ。だから2人とも、ゆっくり好きなだけランチに時間を掛けても良いよ。電話の応答は僕がするから」
私は彼にキスをした。
「優しいのね。あなた、みるみる女性に対する思いやりが出てきてるように思うわ」
そう言って笑いながら、ゲイルと表ドアを出た。
近くの、割とよいレストランへ車を走らせながら、ゲイルと他愛無いおしゃべりをした。レストランに入り、飲み物を出された後、ゲイルが切り出した。
「あなたの、そのブラウスとハイヒール、素敵だわ。私、ピンク色ってとっても可愛いと思うの。ピンク色って人をとても女っぽい気持ちにさせると思うわ。私が言っている意味分かるでしょう?」
「ええ、その通りね」 私は、そう同意し、それから、思いっきり本題に飛び込むことに決めた。
「そういうわけで、私、今日は、ビックにピンク色のパンティとピンク色のガーターベルトとピンク色のストッキングを履かせたのよ」
そこまで言って、ゲイルの眼をまっすぐに見つめ、彼女の反応を計った。
「え、ほんと?」 にっこり微笑んで私を見ている。 「じゃあ、ご主人のピンクの爪や口紅とも良く合うはず。そうでしょう?」
私も笑顔を見せた。 「どうやら、私の言葉を聞いても、引いていないようね」
「全然、引かないわよ。性的なゲームなら1つか2つ、割と私も事情通なのよ」
「ええ? ほんと? まさかあなたもなの?」
私は驚いたフリをして見せた。ゲイルは私を見て、優しい笑みを浮かべた。手に持っていたティー・グラスをテーブルに置き、グラスで冷えたその手を伸ばして私の手の上に置いた。
「ええ、ほんと。ゲームは生活のスパイスになるものなの」