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裏切り 第2章 (10) 

ダイアナは、彼女自身のストッキングと同じようなシームいりの黒いストッキングを選んだ。そして、僕に履き方を教えてくれた。つまり丸めてドーナッツ状にしてから、足先を入れ、注意深く脚に沿って巻きを解きながら履くのである。両脚に履き終えると、彼女は両手の手のひらでしわを伸ばし、ずれを直してくれた。そうしながら、踵のシームの部分(参考)を矢印のようにをまっすぐに揃える方法も見せてくれた。

それに続いて、ガーターから垂れている吊りストラップをパンティの下にくぐらせ、ストッキングのトップ部分を留めるところを見せてくれた。ガーターのタブは4つあった。

ダイアナは、一通り仕事を終えると、一歩引きさがって、自分の手仕事の成果、つまり僕の姿を眺めた。

「まあ! ほんとにセクシー! あなたのせいで、私、一晩中、気が散ってしょうがなくなりそう。さあ、急いでスーツを着てしまって。あなたの姿を見てると、私、気が狂っちゃうわ」

僕が着替えている間、ダイアナは僕の汚れたパンティを拾い、シンクのところで軽く洗った。そして、再びトイレの個室に戻ってきて、洗ったパンティをストッキングを入れていたプラスチックのポーチに入れ、テープで留めなおし、ショッピング・バッグに放り込んだ。

僕の着替えが完了すると、ダイアナは僕のネクタイのずれを直し、それから時間をかけて優しく僕の胸を愛撫した。スーツの中、前に突き出ている僕の新しくできた乳房を、である。

それから軽く僕の唇にキスをし、ウインクをした後、トイレの個室から僕を連れ出した。そして、手洗いシンクの前で、立ち止り、手を洗った後、口紅を塗りなおした。

彼女はわざと手洗いカウンターに覆いかぶさるような姿勢をして口紅を直していた。表面的には、鏡の中、口元がよく見えるようにそういう姿勢をしていたように見えるが、僕には、彼女が僕のためにも計算してそういう姿勢をしていたのをはっきり分かっていた。というのも、その姿勢だと、重い毛皮のコートに包まれていても、その上から、ストッキングに包まれた彼女の長くて形のよい脚や、広くて引きしまった美形のお尻が目に見えるように想像できたからである。僕は背後から彼女に近づき、誘惑的な標的に僕の股間を押しつけ、同時に両手で彼女のお尻を優しく揉んだ。

ちょうどその時、女性が二人、トイレに入ってきた。トイレのドアが閉まる前に、ドアの表側が見え、そこには胴体とスカートの記号があるのが見えた。その時になって初めて、僕はダイアナが僕を女子トイレに連れ込んでいたことに気付いたのだった。

入ってきた女性たちは、僕がスーツの下にライラック色のランジェリやストッキングを履いてるところまでは見えなかったはずだと思う。少なくとも、そうであってほしいと願った。とはいえ、僕が彼女たちの「聖なる領域」に侵入していることは事実で、そのことに対して彼女たちが非難の目を僕に向けていたのは明らかだった。男を引っかけた妖しい女が洗面台にいて、恥知らずにも男に自由に身体を触らせているのを見て、僕がこの場にいることの理由づけにはなったとしても、まずい状況であることには変わりはない。

ダイアナは鏡の中、僕をちらりと見て、明らかに楽しそうにウインクをして見せた。それから口紅をハンドバッグにしまい、くるりと向きを変え、僕にまぶしい笑顔を見せた後、僕の腕へ滑らすように腕を差し込んだ。

「もう、ここの用事は済んだわ。あの人たちが用事を済ませるのを邪魔しちゃ悪いから、もう出ましょう。彼女たち、今の私だったらいいのにって思てるかも。あなたのような恋人がいたらいいのに、って」

僕たちは駐車場へと歩いた。ダイアナは堂々とした足取りで歩いていた。まるで国王に連れられた女王のような歩き方だった。一方、僕の方は、その比喩がどこか皮肉を含んでる気がして、あまり深く考えたいとは思わなかったし、身につけているランジェリや揺れる偽乳房のせいで、とても国王っぽい感覚にはなれず、忘れてしまいたい気持だった。


[2011/06/27] 本家掲載済み作品 | トラックバック(-) | CM(0)

無垢の人質 第9章 (11) 

「俺にはそうは思えないが?」 とレオンは柔らかな声で呟き、拘束された両手首を動かしてみた。スカーフがほどけないのを知り、彼は目を細めた。イサベラにとっては危険な兆候だ。

イサベラはおどおどと一方の肩をすくめた。そうやって薄地のシュミーズの肩紐を肩から滑り落とす。レオンが見ている前、軽いレース地の布が滑り降り、ツンと尖った乳首の先端に引っかかった。布地の端からローズ色の乳輪がかすかに顔を出した。レオンは固唾を飲み込み、イサベラは手に握る彼の分身が蠢くのを感じた。

「縛りを解くんだ」

そうレオンは命令したが、イサベラは下唇を噛み、小さく頭を振った。それに合わせて、乱れた深紅の長髪が両肩の周りを揺れた。

「イサベラ?」 

レオンはさらに目を細め、ピンク色に染まったイサベラの顔を睨みつけた。イサベラは恐怖を感じつつも、決して怖気づいたりすまいと意思を固め、ベッドの上、ぎこちない動きで身体の位置を変えた。そうして、すっかり固くなっている肉茎を握りながら、その指を優しく動かし、擦ってみた。レオンが息を飲むのが分かる。

「イサベラ…」 レオンは顔の表情を変えず、ただ、声をかすれさせて、繰り返した。「お前は、本当はこんなことはしたくないはず」

「どうして?」

イサベラは邪念なく、そう尋ねた。しかし、ある可能性が頭に浮かび、それまで続けていた優しい探究をはたと止めた。「私、あなたに痛みを与えてるの?」

レオンは、心配そうにこっちを窺うイサベラの瞳を見て、肺から呼気が震え出るのを感じた。

「い、いや! 違う!」 思わずがなり立てるような声になっていた。

「…俺が言ってるのは、お前の尻頬のことだ。後で俺の手にかかり、どれだけそこが熱く火照ることになるか、それを俺は気にしている」

「そう…」 とイサベラは安心して呟いた。だが、そのすぐ後で、

「まあ!」と甲高い声を上げた。レオンが、後で彼女にお仕置きの尻叩きをすると脅かしているのだと悟ったからだった。どうやら、今のレオンは危険な心境にあるみたい。だから今はスカーフを解くのは賢いことではないわ、とイサベラは思った。

彼女はレオンのことを無視することにし、再び、彼の肉茎に注意を向けた。なぜか、この姿に魅了されるのを感じる。両手の指で触りながら探究を続け、やがて触れていない部分がなくなるまでになる。その間、レオンはずっと無表情のままだった。歯を食いしばったままで、あごの表情は硬く、何も言わぬものの、両目からは彼女に重大な警告を発し続けていた。


[2011/06/27] 本家掲載済み作品 | トラックバック(-) | CM(0)