2ntブログ



ジャッキー 第12章 (2) 

熱いシャワーをたっぷり浴びた後、アンジーと二人で着替えして、外に出た。彼女は黒革のズボンに白いボタンダウンのブラウスを着て、その下には、ストッキング、白レースのパンティとガーターベルト、そしてそれにマッチしたレース・ブラを身につけた。

僕は、ランジェリーでは黒レースのパンティとガーターベルト、それにマッチしたキャミソール。ストッキングを履き、その上にソックスも履いた。その上からドレッシーな黒いスラックスを履き、上には暗い赤色のポロシャツを着た。アンジーは革ジャケットを羽織り、僕の手を取り、車へ導いた。

その時まで何度か、どうして今日は休みにしたのか訊いたのだけど、アンジーは、私たちはときどき休暇を取る権利があるのよ、としか答えてくれなかった。それに加えて、彼女自身、この前の週末に予定していたことがあったのだけど、僕が土曜日にサプライズの行動に出たので、それができなかったのだとも言っていた。彼女の言い方には、不平を言うような調子はまったくないけど、それでも、彼女は予定していたことをいまだにしたがっているのは、ありありとしていた。

まず、二人であるレストランに行き、そこで朝食を食べた。その後、アンジーは公園へと車を飛ばした。あのケルト人のお祭りが開かれた場所だ。公園へ着くと、アンジーは車から降り、警備員に話しをし、公園内に車を乗り入れるのを許可してもらった。数分、公園内を回った後、彼女が言った。

「ここがあの場所だったと思うわ。ねえ、車から出て、ちょっと歩きましょ」

僕が返事をする間もなく、アンジーは車から出てしまった。

外は寒かった。氷点下2、3度になっていたと思う。地面には雪が積もっていて、見たところ10センチ以上はありそうだった。この2週間ほど雪は降らなかったから、この雪は前に降った雪が解けずに残っていたものに違いない。

アンジーは辺りを見回した。何か目印となるものを探しているようだった。ようやく、彼女は僕の手を取り、言った。

「この場所だと思う」

「何の場所?」

「この場所で私は恋に落ちたのよ。私があなたに初めてスカートを履かせたのが、この場所」

僕は辺りを見回した。そして、この場所にテントが立っていたのを思い出した。そこで彼女にスコットランドのキルトを履くように言われたのである。僕は顔を上げ、彼女の瞳を見つめた。

「あの時は、キルトであって、スカートじゃないと言っていたと思うけど?」

アンジーはヒール高10センチの革ブーツを履いていた。その結果、僕より15センチは背が高くなっていた。どうしてか分からなかったけれど、彼女は、その日、僕より背が高くなるようにわざとブーツを履いてきたような気がした。裸足でも5センチ近く彼女の方が背が高いので、彼女が10センチのブーツを履くと、完全に僕より背が高くなる。

アンジーは僕を見下ろし、あの眩しいような笑みを浮かべた。

「もちろん、あれはキルトよ。でも、あの時、あなたは心の中ではスカートを履いているような気持ちだったんじゃない? あなたが私のためにあのスカートを履いてくれた瞬間、私はあなたに深く心を惹かれたの。あなたこそ、私が探していた男性だと分かったの。私を完全に満たしてくれる人だと」

アンジーは僕を抱き寄せ、強く唇を重ねてきた。そのキスは、どこか切迫していて、彼女が何かを恐れているような雰囲気があった。実際、彼女が小さく震えているのも感じられた。おそらく寒さのせいで震えているのだろうと思ったけど、同時に、そうとも思えない感覚があった。

アンジーはキスを解くと、こう言った。

「ジャック? こういうことは、男性であるあなたが言いだすものというのは知ってるけど、分かってる通り、私たちの関係はそういう風になっていないわ。あなたも私も、提案するのは私で、それに従うか、従わないかを言うのがあなた、という関係であるのを了解している。だから、この件でも、私が一歩先に進めることにするわね。ジャック? 私と結婚してくれない?」

アンジーの素敵な唇から出てきた、この言葉が信じられなかった。前にも言ったけど、実際、僕自身、この件を何回か思ったことはあったけど、真剣に考えたことは一度もなかった。土曜日に、アンジーは結婚の件にちょっと触れたけど、彼女が結婚のことを考えていたこと自体、僕にはまったくの驚きだった。

そして今、彼女が実際に結婚を申し出たのを耳にして、僕は完全にショック状態になっていた。小さな声で「イエス」とだけ言うのが精いっぱいで、それもほとんど聞こえない小さな声になっていた。


[2012/09/25] 本家掲載済み作品 | トラックバック(-) | CM(0)