僕の言葉を聞いて、アンジーはさらに嬉しそうな顔に変わり、再び両腕で僕の身体を包み、抱きよせた。あまりにきつく抱かれ、僕は呼吸ができないほどだった。同時にキスもされた。情熱的なキスで、唇を重ねると同時に彼女の舌が僕の口の中に入ってきた。まるで喉奥まで到達しようとせんばかりに深く舌を入れてくる。 とても長い時間キスを続けた後、ようやくアンジーは唇を離した。「あなたのおかげで、私、とても幸せよ。さあ、私にこれをあなたの指につけさせて。私たちの約束の印として」 アンジーは上着のポケットから青いベルベットの箱を取り出し、ふたを開けた。中には、男性用の指輪があった。ゴールドのリングで、中央に大きなダイヤモンドがついている。アンジーは指輪を手に取り、僕の左手の薬指にはめた。 指輪をはめてもらった後、僕は彼女に言った。「指輪を贈るのは僕の方だと思うけど」 「普通はそうだけど、あなたも私も、私たちの関係はたいていの人とは違うのを知ってるでしょう? それに、私、おばあ様の婚約指輪を譲ってもらっていて、私が誰かと婚約したら、それをつけると約束しているの。とても思い入れがある指輪なの。だから、あなたが気にしないでくれたらいいと思っているんだけど」 そう言ってアンジーは別のポケットからもう一つ指輪の箱を出した。とても古いもののように見えた。ホコリで赤茶けていて、周辺も擦れてボサボサになっているようだった。彼女はその箱を開けたが、中に入っていた指輪を見て僕は驚いた。 3カラットのマーキーズ・カットのダイアモンド( 参考)でリング部分はゴールドだった。ダイア自体は良い状態に見えたけど、かなり由緒のある古いものだというのはすぐ分かるし、リングのゴールドもかなり擦れているように見えた。どうして、彼女に、この指輪は嵌められないよと言えただろう? それに、そもそも僕には、その指輪の代わりに同じ価値の指輪を用意することなどできなかった。 アンジーは手を出し、僕に指輪を嵌めさせてくれた。指輪を嵌めた後、僕たちは再びディープキスをし、互いに相手を深く愛していると伝えあった。 二人とも外に立っていたけど、寒さが耐えがたくなり、ようやく車に戻った。アンジーがエンジンをかけたままにしていたので、車の中は暖かかった。 それから、また、何度かキスをした後、アンジーが言った。 「そろそろ、私からのバレンタイン・プレゼントを上げてもいいかしら?」 僕自身の感覚としては、すでにプレゼントをもらっているようなものだったし、たとえどんなものをもらっても、彼女にプロポーズされたことより上回るものとは思えなかった。 「欲しいと思ったものは、もうすべてもらっているよ。もうこれ以上、プレゼントは必要ないと思うけど」 アンジーは僕にチュッとキスをし、言った。「もう一つだけ、あなたにさし上げたいものがあるの。飾りもの的なプレゼントというより、もっと役に立つものよ」 彼女がどんな物のことを言っているのか、僕には分からなかった。 アンジーは車を動かし、守衛に手を振り、グラウンドから一般道に出た。僕たちは、道路を走る間、安全のために離さなければならないときは除いて、ずっと手を握ったままだった。 気がつくと車は、新車がずらりと並ぶスペースに来ていた。アンジーはレクサスのディーラの店の前に車を寄せた。 車を止めると、ショップの中から高級そうなスーツを着た男が出てきて、アンジーのためにドアを開けた。車から降りると、その男が言った。 「マクドナルド様、ご来店、嬉しく存じます。土曜日に来ていただけるものと、お待ちしていたのですよ」 「私も来ようと思ったんだけど、私のフィアンセがサプライズのプレゼントを用意してくれていて、どうしても出てこれなくなっちゃったの」 アンジーはそう言って、そのセールスマンと握手し、僕のことを紹介した。 「お車は、詳しく点検させまして、店の裏手にご用意してあります。すぐにお乗りできますよ。ちょっとお待ちください。すぐに戻ってまいりますから」 と男は小走りでディーラ・ショップの裏手に消えた。 彼が去った後、僕はアンジーに、「新しい車を買うの?」と訊いた。 「ええ、まあ、そうも言えるわね。車を買うけど、私の車じゃないわ」 どういうことか考えているうちに、先のセールスマンが新車のレクサス300ESに乗ってやってきた。赤いボディで中は黒革仕様だった。後で分かったのだけど、それはオプション装備もすべて完備していた。 セールスマンは車を止め、中から出てくると、キーをアンジーに手渡した。するとアンジーはそのキーをそのまま僕に手わたした。 「ジャック、バレンタイン・デーおめでとう」 唖然として、口がきけなかったと言っても誇張ではない。多分、それでも控えめすぎる表現だろう。口から一言も言葉が出せない感じだった。アンジーもセールスマンも満面に笑みを浮かべて僕を見ていた。セールスマンは、僕が唖然としているのを見て、アンジーに言っていた。「フィアンセ様は驚きのようですね。元に戻られましたら、ショップの中に連れてきていただけますか。書類にサインをしていただきたいので」 セールスマンが去った後、僕は二度ほど生唾を飲み込み、ようやく言葉を発した。「アンジー、これは一体…?」 「単純なことよ。あなたにバレンタインデーのプレゼントとして車を買ってあげただけ。気に入らなかったら、別の色やスタイルのに変えてもいいわよ」 アンジーは明らかに嬉しそうだった。 「アンジー、僕は別に別の車はいらないのに。いまの車で十分なのに」 「うふふ…。あなたの車、10年は古くて、ポンコツじゃないの。もうあれだと、安全とは言えないと思うわ。なんだかんだ言っても、この冬、エンジンがかからなかったことが3回はあったでしょ? あなたが安全で良い車に乗っていると分かるだけで、私はとても気分が休まるの」 アンジーに反論して、あの車を買うのをやめさせようとしてもムリだと思った。彼女がいったん決心したら、それを変えることは不可能なのだから。それに、本当のところは、今の僕の車はダメになりかかっているので、新しいのが欲しいと思っていたところだった。僕が買うとしたら、もっと安い車を買うつもりだけど、それでは、たぶんアンジーはうんと言わないだろうと思う。 アンジーはすでに車の代金を払っていたのを知った。書類にサインをした後、僕は彼女の車の後についてレクサスを走らせ、家に戻った。ディナーに出かけるために、一度、着替えをし、その後、二人でレストランへ向かった。この時は、僕の新車で行った。アンジーが僕に運転させてくれたのは、この時が初めてだった。 レストランの後、家に戻り、深夜まで愛し合った。翌日からは、またいつも通りのスケジュールに戻った。それから間もなくして、社内で、アンジーと僕が婚約したという噂が広まった。ほとんどすべての人から、おめでとうの言葉をかけてもらった。 その次の週末、アンジーは、ジャッキーとしての僕に結婚を申し込んだ。もちろん、ジャッキーは、二つ返事で承諾した。アンジーはジャッキーに女性用の婚約指輪を贈った。1カラットのマーキーズ・カットのダイヤの指輪だった。その指輪を嵌めた瞬間から、僕はジャックの時は男性用の指輪をはめ、ジャッキーの時は女性用の指輪をはめるようになった。 つづく
「あなた、ありがとう…」 とスーザンは甘えた声で言った。「いまの私に、それ以上のことを求めることができないのは分かってるわ。あなたはいつも公平な人だったから。あなたのことで私が愛している点が、大きいのも小さいのも、何万とあるけど、あなたが公平なところは、そのうちの一つなの」 誰かシャベルを貸してくれないだろうか? このドツボ状態なのに、さらにどんどん泥が溜まってくる。 スーザンは僕の頬を優しく撫でた。 「あなたの電話を待ってるわ」 と小さな声で呟き、微笑んだ。 スーザンはそう言い、女王みたいな足取りで、通りの角、自分のレクサスを止めてあるところへ向かって歩いて行った。それを僕が見ているのを知っているのだろう、彼女は、これ見よがしに腰を左右に振って歩いていた。その腰つきはダイアナのそれに匹敵する。 すると突然、スーザンは歩きを止め、肩越しに僕の方を振り返った。 「……で、ランス? 彼女、素敵だったわね。誰だか知らないけど。それに元気も良さそうだった。あなたが選ぶ女性は、いつも間違いないわ。いい趣味をしている」 この最後のお世辞が、ダイアナについて言ったものか、スーザン自身について言ったものか、僕には分からなかった。スーザンは非常に演技がうまいのか、あるいは、ジェフがダイアナの秘密をバラしていないかのどちらかだろう。多分、後者だと思うが。 ともあれ、スーザンはダイアナのことを過去形で言及した。僕はその事実を逃さなかった。過去の事実。スーザンの目には、自分の男を強奪したあの女にはチャンスがないと映っているのだろう。圧倒的な傲慢さ。スーザンには他にも嫌なところがあるが、このそびえ立つ傲慢さには、恐れすら抱く。 しかし、そもそもどうして、スーザンはこんな見せかけだけのことをわざわざするのだろうか? ジェフと一緒なら、彼女が求めるもののすべてを手に入れられるはずだ。名声も、金銭も、安全も、それに大きなペニスも。 僕とよりを戻そうとするのは、単に、それが自分にできるということを示すためだけじゃないのか? 単なる自己満足の目的。デスクについたらすぐに、弁護士に連絡を取って、この新しい展開について知らせようと思う。そして担当の調査士に掘り下げた調査を続けるよう指示してもらうことにしよう。 オフィスビルに入った。いつもの仕事仲間が、いつも通りの明るい笑顔で陽気におはようの声を僕にかけてくれた。ビルの中、自分のオフィスがあるウイングへと進む。そのウイングには、僕も含めた会社の有能トレーダーのオフィスが6つ並んでる。僕のオフィスは真中の2つのうちのひとつ。僕たちの秘書はアンジー。僕のオフィスのドアに対面している反対側のデスクに座っている。 アンジーは僕たちのグループでこれまで2年ほど働いてきたが、僕のビジネス人生の中で最も光り輝く存在のひとりである。 デリケートな表現を使えば、アンジーはそそられる女と言える。シカゴの北西部出身の身長165センチのラテン系女性。光が当たると青っぽい色に輝く、濃く艶のある髪をしている。その黒い瞳は表情豊かで、その女性的ボディはとても官能的だ。いつもタイトな服装をしてきて、その豊かな肉体で服が破けてしまわないかと心配になる。
ケイトは俺を窓枠で箱型に組んだところへと導いた。歩いていると、大道具係のひとりが、その箱型の中に小さな黒い椅子を運び入れた。 「ありがとう、ピーター」 とケイトは立ち去る大道具係に声をかけ、彼は頷き、ステージを覆っている黒いカーテンの向こうに姿を消した。 するとケイトは俺を曇りガラスの窓枠の間に立たせ、俺のシャツの裾をズボンから引っぱり出した。 「服を脱いで」 と彼女は、急いで俺を脱がせにかかった。 ケイトはこのクラブのオーナーだし、俺を金持ちにしようとしてくれてる女だ。もちろん、俺は抵抗する気はない。言われたとおり、服を脱ぎ始めたが、その前に脱いだ服のポケットに手を入れ、中からミセス・グラフの結婚指輪を取りだした。 「これは失くせないんだ。どこか安全なところはないかな」 と割と大きなダイアモンドを見ながら訊いた。 「貸して」 とケイトは言い、俺の手から指輪を取った。 「わーお」 ダイアを見てケイトは目を大きくした。「これは私が嵌めておくわ。そうすれば失くさないでしょう」 と彼女は言い、自分の薬指にはめた。 俺は急いでズボンを脱ぎ、さらに靴もソックスも脱いだ。脱ぎ捨てたズボンや靴をまとめ、後ろのところに置いた。すると突然、ケイトが俺の下着の腰バンドのところに指を差し込むのを感じた。そして、俺が言葉を言う間もなく、ケイトは、あっという間に下着を踵のところまで降ろしてしまった。 すでにペニスは半立ち状態になっていたが、冷たい空気にさらされて、急速に固さを増していた。ケイトは俺の前にひざまずき、足元から下着を引き抜いているところだった。 「そこに座って」 と彼女は先の小さな椅子を指差した。 言われたとおりに椅子に座った。その次の瞬間、あっという間にケイトは俺の手首に手錠を当て、カチャリと錠をかけたのだった。手錠のもう一方の端は椅子に取り付けられた。手を動かせる余地はほとんどない。 ケイトはもう一方の手にも手錠をかけ、それから、しゃがみ込んだ。冷たい指が俺の足首を握るのを感じた。足を少し引っぱられ、その後、冷たい金属製の拘束具が足首につけられるのを感じた。冷たい鉄の拘束具で足首がしっかりと固定される。 俺は、こんなふうに身動きを取れなくされることに苦情を言おうとしたが、その間にも、ケイトはもう一方の足首を拘束していた。 実にあっという間に、俺は小さな椅子に固定され、素っ裸で座らせられてしまった。曇りガラスの窓枠でできた小さな空間の中、これから何が起こるのか、俺にはさっぱり分からない。 ケイトは俺が脱いだ衣服の山を抱えると、俺の方を振り返り、身体を傾け、俺の耳元に囁いた。 「ただここで待っていなさい。ショーはもうすぐ始まるから」 そう言った後、ケイトは立ち去ってしまった。背後に聞こえた彼女の足音からそれが分かる。 待っている時間は実際は短かったのだろうけど、俺には長い時間だった。その間、俺は、さっきマルチナと一緒にステージに出てたブロンド女のことを考えていた。どういうわけか、見覚えがあって仕方なかったからだ。知っているはずなのだが、どうしても顔が同定できない。あんな流れるように美しいブロンド髪をした女は、俺の記憶にはなかった。 そんなことを考えていると、突然、照明がぐるぐると回り始め、ステージがぱっと明るくなった。音楽のボリュームが上がり、ゆっくりとステージを囲むカーテンが動き始めた。カーテンが開いていくのに合わせて、俺の心臓がドキドキと高鳴る。 見てみると、この曇りガラスを通して、向こうが見えることに気がついた。ちょっと薄ぼんやりはしているが、クラブ内の人々の姿がよく見える。すでにステージの周りには数人、客が集まっていたし、中には相手の男に肩車してもらって見ている女たちもいた。 赤いドレスを着ていたケイトが見えないかと客たちを見回したが、見つけられなかった。実質、クラブのほとんど全員が裸になっているので、ケイトがあのドレスを着たままだとしたら、彼女を見つけられないはずがない。 俺はケイトが座っていたテーブルへと目をやった。次の瞬間、息が止まりそうになった。口をあんぐり開け、目を皿のように大きくしていたと思う。 「なんてことだ!」 ケイトのテーブルには、ミセス・グラフが座っていたのである。
ビルはしばらくクリスの上に覆いかぶさっていたが、ようやく回復したようだった。これは、彼にとって、人生で最高のセックスだった。身体を起こし、脱ぎ捨てた衣類を拾い、寝室へと向かった。 クリスも立ち上がった。レースの黒パンティがスルスルと脚を滑り、踵へ落ちた。精液で濡れた下着から足を抜き、拾い上げた。その汚れた下着を使って、固い木の廊下の床に点在する濡れた染みを拭った。 再び立ち上がり、自分の股間を見て、クリスはくすくす笑った。夫が出した水っぽい精液が太ももの内側からストッキングを履いたままの脚を伝って流れおちていく。右足の方では、早くも、いくらか足とハイヒールの隙間に染み入っていた。 主寝室に入ったビルは、キングサイズのベッドにドスンと音を立てて横たわった。それを見ながらクリスは寝支度をしにバスルームへ向かった。 汚れたパンティを洗濯物入れに入れながら、クリスは股間に目を落とし、いまだに脚の間から白濁が流れているのを見た。夫の水っぽい精液が流れるのをもっと見ようと、わざと陰部の筋肉に力を入れ、締めつけてみた。いまは左足のハイヒールにも精液が染み入っている。 それにしても、ビルの精液は何て薄いのだろう。クリスは信じられない思いだった。…ほんと、水みたい! でも、すごいわ。ビルがこんなに出したのは初めてじゃないかしら! たぶん、あのロールプレイのおかげね。黒人の逞しい男に私が犯されるプレイ! ビルは、あれで、ものすごく興奮したみたい」 その夜、クリスはベッドの中、疲労で大きないびきを立てて眠るビルの横、夫を喜ばせ、これまで最大の射精をさせたことを誇りに思いながら横たわっていた。オーガズムに達したように見せたけど、それはまったくの演技だった。とはいえ、それは今の誇らしい気持とは関係ない。 実際、あの時、太ももをぴっちりくっつけて締めつけていなかったら、夫のペニスの存在を感じたかどうかも怪しかった。悶えるような動き、身体の震え、痙攣、そのすべてが夫のことを思っての意図的な演技だった。自分に激しいオーガズムを与えたと夫に思ってほしかったからのことだった。 ビルが真実を知ったら、いいのに……と彼女は思った。 クリスは先週末のことを思い出しながら、ずっと眠れずにいた。その日、クリスは何かのきっかけで、ビルが夢中になってみていたバスケットボールの試合を途中から見たのである。 普段はスポーツには興味がないのだが、試合をしているのがシカゴ・チームであると聞いて、興味を持ったのであった。シカゴは、翌週、フライトで向かう都市である。それに、シェリーに誘われてアルバイトをしているスポーツ・エージェンシーから、まさに同じシカゴ・チームに属するある選手について最初の契約更新の仕事を任されていたのである。もちろん、この仕事はアルバイトであって、夫には彼女がしていることを決して知られたくない仕事であった。 テレビで、その最初の契約更新をする選手の名前が流れた時、クリスは、何て皮肉なんだろうと思った。 ちょうどその時、その選手が非常に破壊的なプレーをしたのである。その破壊力に驚いたビルは、大きな声で叫んだ。 「クリス! 今の、見たかい? バリー・ウィリアムズがボールをぶち込んで、相手のディフェンダーたちをこてんぱんに蹴散らしたところを! すごいなあ、こういうヤツを男の中の男というんだろうな。本物の怪物だ! 身長は2メートル、体重は115キロはありそうだ。しかも、固い筋肉の塊!」 「ええ、ビル、本当ね。逞しい男ってこういう人を言うのかも! それに、あなたの言うとおりね……115キロの筋肉の塊!」 クリスは独り言のように、呟いた。 それが先週末の出来事。そして、クリスは、今度は、昨夜のことを思い出していた。シカゴ往復のフライト勤務で、昨夜はシカゴに一泊してきたのである。そして、同時に、ある著名なスポーツ選手から最初の契約更新を勝ち取った。彼女は、そのバイト仕事の一部始終を、どうしても思い出さずにはいられなかったのだった。もちろん、そのスポーツ選手とは、夫がテレビを見て圧倒されていたバリー・ウィリアムズだった。
「うーん、ママ……。そういう格好のママを見たの、前にもあったかも……」 クリスティの声には絶対に笑ってる感じがこもってた。それにちょっと興奮している感じも。 もちろん、「そういう格好」というのは、クリスティが、わたしが主人と愛し合っているのを盗み見した時のことを言っているはず。娘に見られた時のいやな瞬間。あの時のことをほのめかされて、顔が赤くなってしまった。だけど、クリスティには顔を赤らめたことを見られなくて、それだけは幸い。 「ねえ、クリスティったら。ふざけてる場合じゃないの。お願いだからママを助けて」 とは言ったものの、こういう状況がわたしにもちょっと可笑しく思えていた。 音から娘が近づいてくるのが分かった。わたしのお尻の真後ろにひざまずいた様子。 その状況を想像したら、どういうわけか喉がカラカラになってきた。ちゃんとパンティは履いているけど、すごく小さいので、この姿勢だとお尻の頬の間に食い込んでしまってるはず。実際、あそこの間に深く食い込んでる感じがしていた。 ああ、イヤ! これってすごく恥ずかしいわ。実の娘に女の大事な部分を細部まで見られてしまうなんて! 恥ずかしさで心臓がドキドキしていた。 そうしたら、急に、クリスティがお尻を触れてきた。わたしはビックリして、跳ね上がり、また頭をキャビネットにぶつけてしまった。 「ママったら、今日はビックリしてばっかりね」とは言うのに、手をどけてくれない。 「クリスティ、お願いだから、ママのシャツを引っかかっているところから外して」 「ねえ、ママ? ママって素敵なお尻しているのね。知ってた? まさに完璧な形。これを見たら、誰だってスパンキングしたくなると思うわ」 突然、娘がわたしの尻頬を平手打ちした。その衝撃で、お尻の頬がぶるぶる揺れるのを感じた。軽い平手打ちで、痛みは感じず、むしろ気持ちいい感じ。どっちかと言えばだけど…。 「クリスティ!!」 ビックリして叫んだ。 「ねえ、ママ? 私が小さかった頃、ママは何度も私のお尻を叩いたわよね。その仕返しよ。いまがチャンス」 笑いながら言っている。明らかにわたしをからかって喜んでる。 またピシャリと叩かれた。一回、二回、そして三回。 わたしのお尻の頬は、叩かれるたびブルブルと震えて、お尻にもあそこにも気持ちいい振動を送り込んでくる。 わたしは自力で這い出ようと身体を後ろに引いた。だけど、結果としては、シャツがますます捲り上がって、ほとんど首のところにまで来てしまった。 ああ、なんて格好なの? もう胸が露わになっていて、垂れ下がっている。娘の目を喜ばすことになってしまってる。 「クリスティ! それをやめてママを助けなかったら、後で、お尻叩きしますからね!」 声は本気で怒っているように出していたけど、内心では、わたし自身、笑っていた。 「ふーむ、それも楽しいかも」 クリスティはそう言って、またわたしのお尻を叩いた。もうこの頃には、わたしの方もスパンキングされるのが気持ちよくなっていて、熱をもった快感が急速にあそこへと広がっていた。 「ああん…」 思わず低い溜息が唇から漏れた。 こんなふうに扱われるのを実際は楽しんでいる。それを娘に見せたいと思ってるわけじゃないのだけど、またこの時も、わたしの身体はわたしの心を裏切った。 あそこが濡れてきている! 叩かれるお尻からの熱が身体に広がって、感覚が曇ってくる。頭の中に霞がかかったみたいになってくる。ああ、こんなわたし、娘に見せてはいけないわ! 母親が自ら、この何でもない可笑しな状況を、何か性的なものに変えてしまうなんて、あってはならないこと! 「クリスティ、お願いだから、助けて」 娘はわたしを助けるために、身体を寄せてきた。だけど、そうしながらわたしの脚を広げてもきた。そうすると、お尻の左右の頬をさらに広げることにもなってしまう。ああ、ダメよ。そんなことできない。 「クリスティ!!」 「分かったわ、ママ。もう、ママったらつまんない」 つまんないって! んもう! この状態から抜け出たら、娘にたっぷりお仕置きしなきゃ。 クリスティが、引っかかったスカートを外そうと、わたしの後ろにもたれかかるのを感じた。大きな胸がお尻に押し付けられてるのを感じた。何だか、胸でわたしのあそこの割れ目を探ってるような感じ。 ふと、ほとんど露わになってる後ろの穴のところに何か固いものが当たるのを感じた。ええ? これってクリスティの乳首じゃ? ああ、なんてこと! お尻の穴に娘の乳首が触れるのを感じ、わたしは思わずぶるっと震えてしまった。クリスティに、感づかれなければいいんだけど… 「クリスティ、どうしてそんなに時間がかかってるの?」 引っかかりを解けないように感じ、娘に訊いた。 「ちょっとじっとしてて、ママ。もうちょっとで外せるから」
ノボルは、アンジェラが鏡を見ているのを見て、一度、彼女から抜け、ベッドの端に座った。鏡に対面する位置である。 そしてアンジェラの身体を背後から持ち上げ、狙いを定めて、ゆっくりと彼女の身体を降ろした。巨大な男根がアンジェラの陰部に突き刺さっていく。その様子を彼女に見せつける。 アンジェラは、鏡の中、ノボルの大きな分身が、後ろから抱えられた自分の膨らんだ陰唇の間に侵入していくのを見ていた。その光景にゾクゾクと身体を震わせた。 アンジェラの身体から出る女の香りが強さを増し、ノボルは彼女の耳元で唸り声をあげた。アンジェラは、彼の唸り声を聞き、身体をひねり背を反らせ、ノボルの毛をぎゅっと握った。その間もノボルは軽々と彼女の身体を上下に動かし、抜き差しを繰り返した。 ひとしきり抜き差しを楽しんだ後、ノボルはアンジェラからいったん抜け、彼女の身体をベッドに放り投げた。 ノボルはアンジェラをうつ伏せにさせて、ヒクヒクうごめく女陰に再び肉棒を突き入れた。彼女の左右の脇腹に獣のような爪を食い込ませながら、ノボルは言った。 「お前を俺のものにする。それがお前が求めていることだろ?」 アンジェラの脳機能のうち、快楽中枢だけが過剰に機能し、進化の結果である理性部分はすでに機能していなかった。 「ええ! それでいいわ! だから、……だから、このまま続けて!」 アンジェラの小柄な身体は、半人半獣状態になったノボルの身体に合うようにはできていない。ノボルは苦しそうにあごを上げて首を後ろに倒し、一声、唸り声をあげた後、アンジェラの後ろ首に噛みついた。 ノボルの牙がアンジェラの肩の筋肉に食い込む。だが、その痛みは、アンジェラにとって、かえって快感を高めるものだった。 「ああ、ノボル!…ノボル!……」 熱い精液が力強く体内に噴射されるのを感じながら、アンジェラは何度も彼の名前を叫び続けた。 やがてアンジェラは背後のノボルが急速に縮んでいくのを感じた。振り返ると、そこには、見慣れた姿に戻ったノボルがいた。とても心配そうな顔でこちらを覗いている。 自分の身体に目を向けると、腰の左右には何かを刺されたような傷跡が点々とあり、股間から漏れ出てきた精液にはわずかながら血が混じっていた。さらに肩を見て、思わず小さな悲鳴を上げた。そこには噛みつかれた跡があり、血が出ていたからである。 ボキボキと骨が軋むような音がし、アンジェラは振り返った。そしてノボルが再びあの獣化した姿になっているのを見た。 「そのまま動かないで」 と、ノボルはアンジェラの隣に横になり、低い声で唸った。 獣化した彼の牙の間から、生温かい舌が伸びてきて、アンジェラの傷口を優しく舐めはじめた。彼女はうっとりと溜息をもらした。ノボルの舌が驚くほどソフトで、肌がみるみる癒されていく感じがしたからである。傷口を舐め清めるときの湿った音ですら心地よく、アンジェラは無意識的に彼の身体にすり寄った。 ノボルは片手を彼女の腰に回し、ぐっと抱き寄せ、自分が残した傷跡を執拗に舐め続けた。やがて傷跡はすべて消え、かすかに白い跡が残るだけになった。ノボルはそれを見て、満足げに微笑み、ベッドから降りて床に立ち、その後、アンジェラの足元へと移動した。 アンジェラは彼の奉仕にすっかりリラックスし、ぼんやりと彼を見ていた。そして彼の青い瞳の視線が下方へ降り、自分の脚の間の割れ目へと向かうのを見る。そこは激しいセックスのせいで、かなり腫れあがっていた。アンジェラは、ノボルが彼女に微笑みかけたように感じた。顔をその部分に沈める前にふと微笑んだように思った。 あれだけ荒々しく扱われ、ヒリヒリしていた陰唇とクリトリスである。そこに優しく舌を当てられ、その快感に、アンジェラは思わずのけぞった。だが、彼の両手の指で下半身が押さえられ、固定されているのも感じた。もっとも、先ほどとは違って、今の彼は獣のようなカギ爪は立てていない。
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