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ポルノ・クイーンの誕生 第6章 (8) 


「・・・結婚式の後、お父さんは大学に戻って、勉強を続けた。本当は、故郷に留まって、お母さんやお前の世話を見ていたかったんだが、お母さんの両親にも、お父さんの両親にも、学校に戻るべきだと強く言われてね。ともかく、最善のことは、お父さんが、家族を養えるように学位を取るべきだと言われたんだ。お父さんが大学に行っている間、お父さんやお母さんの両親がお母さんやお前の面倒を見るからと・・・」

「・・・今から思うと、大学に戻ったことは、多分、悪いことだったと思う。だけど、いま分かっていることも、あの時は分からなかったわけだからね。それに、大学に戻らなくても、いずれいつかは、ああいうことが起きただろうなって、思っているんだ・・・」

私は、何が起きたか、分かっていたけれど、ともかく、父に話しをさせることにした。

「・・・大学1年になって半年位した頃だったと思う。その時、お父さんはルームメイトと一緒におしゃべりをしていた。大学についての不満とか、セックスについての欲求不満とかを喋っていた。二人ともかなりお酒を飲んでいてね・・・まあ、その後、どんなことになったか、お前にも想像できると思う・・・」

「・・・お父さんは、その時は知らなかったんだが、お父さんのルームメイトはゲイだったんだよ。そして、その人としたセックスは夢のようだったんだ。お母さんとのセックスよりもずっと良かった。・・・なんだか、いま大変なことを話しているね・・・それは、お父さんも分かっているよ。でも、それが事実だったんだ。休みになるたび、お父さんはお母さんのところに戻って、何も変わっていないように振舞っていた。でも、お父さんの心の中では、早くルームメイトのところに戻りたいなあって思っていたんだよ・・・」

私には、このことが父を心から苦しめていたことが理解できていた。父の目には苦悩の表情が見て取れた。この後、父が何を言うのか、私にははっきり分かっていた。だから、最後まで話してもらう必要はなくなっていた。私は父の手を握った。

「お父さん、話しを続けなくても良いんだよ。お父さんがどんな気持ちでいたか、理解したから」

父は涙を手で拭った。

「多分、分かってくれるとは思う。だけど、お父さんに、ちゃんと説明させておくれ。どうしてお前が、お父さんがお前のことを愛していないように感じてしまったか。そのわけを・・・」

「・・・お前も分かってる通り、お父さんは、大学を出た後、ここロサンジェルスで仕事を得た。そして、お前とお母さんをこっちに呼び、本当の家族のように、一緒に生活を始めた。お父さんは、男の人に近づくようなことさえしなければ、多分、大丈夫だと思ったんだよ・・・」

「だいたい1年くらいは、それで完全にうまくいっていた。だけど、以前の衝動が、時々、戻って来ることも続いていたんだ。それから、間もなくして、やっぱりお父さんは他の男の人と会い始めてしまったんだ。このような状態がばれてしまうんじゃないかと、お父さんはいつも不安に悩まされることになってしまった。そして、とうとう、お母さんに、本当のことを告白したんだ・・・」

「・・・お母さんはかんかんに怒ると思っていたし、お父さんと離婚したがるだろうなと思っていた。でも、お母さんは、離婚は望んでいなかったよ。お前が、父親のいない子供として成長するのを、望んでいなかったんだ。お母さんは、秘密の状態にしておく限り、お父さんが、誰と何をしようと構わないと言ってくれた。ただ、条件が3つあると言った。一つは、決して、外の交際を家の中に持ち込まないこと。2つ目は、お金を全部、外の交際相手に使ったりしないこと。そして3つ目は、お前をお父さんのようなホモにしないこと・・・」

「・・・お母さんは、同性愛嗜好というのは遺伝すると考えていたんだ。お母さんが、どうしてそう考えたのか、お父さんには分からない。でも、お母さんは、そう信じていた。そして、お母さんは、お父さんがお前に過剰に愛情を注ぎ込むと、お前も私のようなゲイになってしまうと考えたんだ・・・」

「・・・だから、お父さんは、お母さんの願いを聞き入れて、お前と距離を保った。確かに、お母さんが事故で死んでしまった後、お前にもっと愛情を示してあげることもできたけれど、お父さんは、そうしないよう、自分に条件を課してしまった。いま思うと、そうしていたらと思っているよ。そうしたら、多分、お前との間にあんなに問題は起きなかったと思う」

父は、話しの間ずっと、私の両手を握り続けていたし、私も父の手を握っていた。

「お父さん、私、あんな生意気で、聞き分けのない子供でいて、ごめんなさい。お父さんが怒るのを知っていて、わざとああいうことばかりしていた。そうすれば、少なくともお父さんが私のことを振り向いてくれると思って」

私の目から涙が溢れ出すのを見て、父は私の横に席を替わった。そして、まったく躊躇することなく、私を両腕で抱きしめてくれた。この時こそ、私のそれまでの人生で一番の瞬間だった。そして私の涙は、すぐに、嬉し涙に変わっていた。

しばし、そうやって父と抱き合っていると、トレーシーの声が聞こえた。

「どうやら、何もかも、大丈夫のようね?」

私は顔を上げた。

「ええ、すべて、嬉しいことばかりなの」 それから父に向かって、「お父さん、こちらのお二人は、マーク・モーガンとトレーシー。私の友達で、雇い主でもあるの」と二人を紹介した。

父は立ち上がり、マークと握手をし、私たちと同席するように誘った。私たちは、それから飲み物を飲みながらおしゃべりをした。しばらく経ち、父は、そろそろ、おいとまする時間が来たと言った。トレーシーは父の手を取り、言った。

「明日、私たち、ステフィーのためにパーティを開く予定なんですよ。ぜひ、あなたにも来て欲しいわ」

「ぜひ、そうしたいです」

父はそう言ったけれど、私は、父は、多分、その言葉に続けて、来れない理由を話すだろうと思った。

だけど、トレーシーは、すぐに父に名刺を渡し、断る隙を与えなかった。

「それは良かったわ。これが私たちの住所です。パーティは7時から。道が分からなかったら、ご遠慮なさらずに電話をくださいね」

「7時ちょうどに窺えるかは分かりませんが、必ず、出ることにしましょう」

父はそう言って立ち上がった。

トレーシーとマーク、それに私も立ち上がった。父はマークともう一度、握手をし、トレーシーとも握手をした。トレーシーは、ただの握手だけでは満足できなかったようで、父に近づき、頬にキスをした。

その後、父は私の方を向いた。最初、父は私とも握手をしようとしてるのだろうと思ったけれど、次の瞬間、私は父の両腕に包まれ、きつく抱きしめられていた。それから、私たちは、互いの頬にキスをしあい、二人とも相手を愛していることを伝え合った。ハグを解く前に、またも私の目から涙が溢れ出ていた。

3人で父を見送った後、トレーシーが言った。「結局、良い思いつきだったみたいね。あなたがお父様に会うことは」

「素晴らしいことだったわ。否応なく父と会うようにさせられて、今となっては、とてもよかったと思ってるの」

トレーシーは腕を回して私を抱き寄せた。

「それで、お父様は、誰か決まった人がいらっしゃるのかしら? もしいなかったら、お父様がここに滞在している間に、ちょっとしたお楽しみを味わえると良いんだけど」

私はくすくす笑った。「多分ね。父とマークは仲良くなるかしら?」

「バカね。私は、あなたのお父様と私のことを話しているのよ」 トレーシーは、そう言ってから、ふと気がついたように、続けて言った。「あら! ひょっとして、それって、驚くようなことなの?」

車へと向かいながら私はトレーシーに答えた。

「そうかも。それに、父は、いまも、その点は変わらないみたいだったから」

家へ戻る車の中、私は、マークとトレーシーに、父から話しを語った。すべてを語ったわけではなかったけれど、二人とも事情が分かったようだった。

家に着くとすぐ、私はマリアに、今日起きたことをすべて話した。マリアは、私と同じくらい興奮して喜んでくれた。その夜、私とマリアは、トレーシーとマークのベッドに呼ばれ、4人で素晴らしいセックスをした。私が中心となって、3人に喜ばされていたのが大半だったけれど、私以外の人もそれぞれ楽しんだのは間違いない。

[2008/12/29] 本家掲載済み作品 | トラックバック(-) | CM(0)